[CEDEC2016]『アイドルマスタープラチナスターズ』プレイヤーに驚いてもらいたい表現を意識して作った

記事カテゴリ: PS4
たて りょうた
2016年08月24日

 バンダイナムコエンターテイメントは、「『目指せトップアイドル!』 PS4アイドルマスタープラチナスターズで目指したこと」と題して、『アイドルマスタープラチナスターズ』においてアイドルマスターチームが初となるPS4作品でチャレンジしてきた事例をもちいて、どのように開発におけるスタートラインを設定したかを講演しました。

 登壇したのは、バンダイナムコスタジオから、ビジュアルアーティスト阿部貴之さん、背景アーティスト富田智子さん、リードプログラマ前澤圭一さんが登壇しました。

 2005年にアーケード作品としてデビューした『アイマス』シリーズも2016年で11年を迎え、これまでブラッシュアップすることで作品をリリースしてきた形から、新たな技術をもちいた表現にチャレンジしたという阿部さん。キャラクターを当時のトレンドから現在のトレンドへとどのように変化させていったのかが語られました。

楽曲、キャラクター表現が増えた作品でいかにして背景表現のコストを抑えるのか

 最初に登壇したのは、背景を担当した富田さん。背景が担当するものは、ステージから小物、そして、キャラクターを生かすための演出だとのことです。今回、背景をデザインするにあたり、どうしてもチャレンジしたかったのは空間を大きく、ダイナミックに使ってキャラクターを魅力的に見せるということだったといいます。

 楽曲が増え、ステージやシチュエーションが増えることにより、どうしても増えてしまう技術的コストをいかにして抑えるのかがキモだったとのこと。たとえば、ステージでのライトの表現に関しては小さなライブ会場も、大きなステージも9つの光源グループに分けた構成で作ったそうです。その光源の表現を流用することを可能にすることにより、大きくコストを抑えることができたそうです。

 どうしても、新しいことにチャレンジしようとすると、特殊なことをしたいと安易に考えて動いてしまうことが、無駄なコストを生み出してしまう。だからこそ、動き始める前に構成を考えることが必要だそうです。

10年前のトレンドで生み出されたキャラクターを、今のキャラクターデザインのトレンドに合わせるチャンスだったPS4

 シリーズ初となるPS4作品となった『アイドルマスタープラチナスターズ』のキャラクターデザインは、現在のトレンドに合わせる大きなチャンスだったと語る阿部さん。

 これまでは、キャラクターをブラッシュアップして作品に落とし込んでいたものを、新たな技法をもちいることで、新しい表現を得ることができたとのこと。

 事例として、これまでキャラクターの表情の表現はひとつで管理していたそうですが、今作からは目元と口回りの管理を分割させることにより、よりキャラクターの表情の表現を生み出すことができたと手ごたえを感じられたそうです。
 この分割された表現の管理をすることにより、スクリプター側で様々な表情を模索することができ、デザイナーに発注するコストを大きく減らすことが可能になったとのことです。

 また、イラストのように輪郭線に「ヌキ」「イリ」を入れることを意識して制作されたとのこと。

 これまでは、トゥーンシェーディングによりキャラクターを制作する形でしたが、今作からは新たに「ヴァリアブルトゥーン」という技術を導入し、より魅力的なキャラクターにすることができたと語りました。

 トゥーンシェーディングは、端的に言うと情報を間引き、イラストを絵として記号化する技術と語る阿部さん。しかし、これまでの技術では、必要な情報すらも間引いてしまっていたそうです。ヴァリアブルトゥーンは、今まで間引いてしまった重要な情報を残すことができ、現在のトレンドにあったキャラクターにすることができたといいます。

ただの円柱をどれだけ「セクシー」に見せれるのか。それが「ヴァリアブルトゥーン」

 『アイマス』に革新的な表現を与えることができた「ヴァリアブルトゥーン」。その開発に携わったのが、前澤さん。
 『アイドルマスタープラチナスターズ』のキックオフ時に目標にしたことは「とにかく、すごくする」だったそうです。

 「ヴァリアブルトゥーン」の特徴は、足りない情報を足し、細かなディテールを加えることができ、様々なシチュエーションに対応できることだとのことです。
 これまで、欲しくない色が出てしまったとのことですが、「ヴァリアブルトゥーン」では、意図しない色は出ないようにしたとか。

 事例のひとつとして、キャラクターのふとももを例に挙げ、ふとももはただの「円柱」、それを肌の表現に近づけ、よりセクシーに見せることができる表現ソフトになっているそうです。必要のない情報をカットし、影など立体的な表現を加えることができるようになったと語られました。

 ブラッシュアップではなく、新たな手法がもちいられた『アイドルマスタープラチナスターズ』。最後に、チーム全体が目標に掲げたことは、「プレイヤーに驚いてもらいたい」だったと語る阿部さん。多くのファンに愛されるキャラクターたちに手を抜くことなく、魅力を与え続けてきた姿勢があったからこそ、10年以上愛され続けるシリーズ作品になったのでしょう。

 

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