『勇者ヤマダくん』木村祥朗”スクウェア、ラブデリックそしてオニオンゲームスへと続く長い道のり”|シシララ安藤武博のインディーズを見ずに死ねるか!#17

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小野憲史
2016年02月12日
『勇者ヤマダくん』木村祥朗”スクウェア、ラブデリックそしてオニオンゲームスへと続く長い道のり”|シシララ安藤武博のインディーズを見ずに死ねるか!#17 ▲リリースされたばかりのOnion Games最新作『勇者ヤマダくん』(DMM.comラボ/POWERCHORD STUDIO)。新ストーリーとなる『勇者ヤマダくん2 ~幻の花嫁~』も配信中です

 スクウェア・エニックスで数々のヒットタイトルをプロデュースし、2015年に独立してシシララを設立。現在はゲーム開発を続けつつ、毎週月曜日にニコ生「ゲームDJ・安藤武博の、つくった人がゲーム実況」を好評配信中の安藤武博氏。
 本連載はそんな安藤氏が気になるインディークリエイターを直撃し、普段聞けないいろいろなことをズバリ聞いてみようという内容だ。

 今回のゲストは2016年1月に『勇者ヤマダくん』をリリースしたばかりのOnion Games木村祥朗氏。
 旧スクウェアを経て、ラブデリックで伝説のゲーム『moon』を開発。『NO MORE HEROES』『王様物語』などのプロデュースを経て、インディゲーム開発者に転身した。ニコ生「ポリポリ☆クラブ」も好評配信中だ。

 スクウェア・エニックス(旧スクウェア)からスピンアウトし、ニコ生配信も行い、大の演劇好きと共通項の多い二人。話題はゲーム作りから旧スクウェアで学んだことなど、さまざまに広がった。

『勇者ヤマダくん』リリースを終えて……

★安藤氏:
いらっしゃいませ。

★木村氏:
うわーっ、これは広いですね。
それに、いろんなおもしろい物がある。
秘密基地感が炸裂ですね。

★安藤氏:
開発は別の事務所にあって、ここは毎週月曜日にニコ生で配信している「作った人とゲーム実況」をやったり、今回のように対談をしたりと、メディア的な用途に使っている場所なんです。
よく趣味に走っているねと言われるんですが、どうせやるならとことんまでやってみようと。
せっかくなので秘密基地にしてみました。

★木村氏:
うちの事務所でもやりたいなあ。
絶対にできへんけど。

★安藤氏:
いやー、そんなことはないですよ。
とりあえず座っていただいて、始めましょうか。

★木村氏:
呑みながら対談するかもと言われていたので、駅前で焼き鳥を買ってきました。

★安藤氏:
うわ、ありがとうございます。
こちらも編集部から日本酒の差し入れをいただいていたんですよ。
ちびちび、呑みながら話しましょう。
『勇者ヤマダくん』(2016年、iOS & Android、DMM.comラボ/POWERCHORD STUDIO、開発Onion Games)リリースおめでとうございます。
反響はいかがですか?

★木村氏:
ありがとうございます。
すごい大勢の人にダウンロードしてもらっていて。
びっくりしています。

★安藤氏:
Twitterとかでも、めっちゃ書かれてますよね。

★木村氏:
今回は『moon』(1997年、PS1、アスキー、開発ラブデリック)の作者ですというのを隠さずに、逆にどんどん発信しながら作っていったんですよ。
ちょっと前の自分だと、それがカッコ悪い行為のような気がして、、そんなふうに喧伝する気がなくて。
どちらかというと、自分の作るものは、毎回別物としていたんです。
ラブデリック系のゲームが好きだという人に向かって作るのも良いんですが、新しい人に向けても作っているわけですから。

★安藤氏:
はいはい。

★木村氏:
それが今回はあえて過去の自分も今の自分も全部使いきったうえで戦いたいという気持ちもあり、結果、このような形で挑戦してみました。
リアクションとか感想を読んでいると、おもしろいですね。
ラブデリックのゲームが好きでしたと言ってくれる人がいるのは嬉しいし、あと新しく『勇者ヤマダくん』のファンになってくれた人が増えたのも、自分にとっては新しい世界が広がったということだし。
それに、たまに「糞つまらん」という声があって、逆に良かったなと。
全員がおもしろがれるはずがないと思いますし。
総じて『勇者ヤマダくん』が新しい起点になって、次はこれよりいいものを作ろうって思えるようになりました。

『勇者ヤマダくん』木村祥朗”スクウェア、ラブデリックそしてオニオンゲームスへと続く長い道のり”|シシララ安藤武博のインディーズを見ずに死ねるか!#17
▲Onion Games代表木村祥朗氏

★安藤氏:
『勇者ヤマダくん』とは別に『ミリオンオニオンホテル』も開発されていらっしゃいますよね。

★木村氏:
もともと『ミリオンオニオンホテル』を先行して作っていたんですよ。
ストーリーっぽいところもある、ステージクリア型のパズルゲームです。
2015年10月に出す予定だったんですが、ちょっと諸事情があって、開発が止まっていて。
さっさと作って出しちゃうという考えたもあったんですが、大手のゲーム開発から一旦離れて、インディゲーム開発者として、新たな第一歩となるゲームだったので、なんとなくそれもよくないなあと思っていて。
そんなときに『勇者ヤマダくん』が佳境になってきて。
それで、まずは一回やりきろうと思ったんですよ。
ただ、それだけでも大変で。

★安藤氏:
ゲームバランスの調整がかなり必要なゲームですもんね。
レベルデザインなんか、詰め将棋の問題を延々考え続けるようなもんですし。

★木村氏:
そうそう。
できたと思ってからが長かったんですよ。

★安藤氏:
何人くらいで作られていたんですか?

★木村氏:
『ミリオンオニオンホテル』は3人くらいで作っていたんですが、『勇者ヤマダくん』は6.5人です。
最初は3人でしたが、だんだん増えていって。
インディとしてはけっこう大きい規模だと思うんですよ。
やっぱり作り込みたいじゃないですか。
どんどんやることが増えていきました。
でも、やることが増えている間はハッピーですよね。
クオリティは上がっていくだけなんで。

★安藤氏:
『ミリオンオニオンホテル』から『勇者ヤマダくん』へと続く中で、変わっていった部分はありますか?

★木村氏:
もともと『ミリオンオニオンホテル』はゲーム業界に疲れて、あちこちをさまよっていた時に、インディゲームの祭典『IGF (Independent Game Festival)』にお邪魔して、感動したのがきっかけでした。
そのため、最初から世界をめざすつもりだったんですよ。
日本に100人しかファンがいなくても、世界全体でみたら1万人になるかもしれないということが、あるかもしれないじゃないですか。

★安藤氏:
そうですね。

★木村氏:
それで、ローカライズしやすいように、極力テキストを減らそうと思っていて。
ところが、作っている間にだんだん考えが変わっていったんですよね。
というのも、外国の友達と話をしていると、日本人が日本人としてゲームを作っているものを遊びたいと、よく言われるんですよ。
それで、完全に日本人しかわからないゲームを作った後で、ちょっとめんどくさいけど、ローカライズをする手段もありだなと思うようになったんです。
だから『勇者ヤマダくん』はローカライズを見こして作るのはやめようと思って。
おもしろかったら日本人だけで喜べば良いと思って。
そのため、今は日本人だけが『勇者ヤマダくん』を遊んで、おもしろがっている状態になっています。
へんに迎合して、角を丸めるよりも、そっちの方が良いかなと。

★安藤氏:
確かに今はインターネットがあるので、すぐに検索できますしね。
そこは昔とまったく違っているところですね。

★木村氏:
もともとRPGって『ダンジョンズ&ドラゴンス』が発祥で、欧米の文化ではありますが、日本の文化として完全にこなれたと思うんですよ。
そのうえで自分たちの歴史があるじゃないですか。
それを受け継ぎながらも、オリジナリティがあって、アホなやつを作ろうと思って。
日本人しか通じないだろうなと思っても、「アラベスクッ!」とか言ったほうが、おもしろいかなと。

★安藤氏:
日本人が西部劇を撮るなよという。
チャンバラやれよということですよね。

★木村氏:
だから徹底的に海外のローカライズを無視して作ったんです。
本当はこの後、海外版を作りたいんですが、作るのがホントに大変で。
いろいろ直すところが多すぎるんですよね。
特に呪文とかの固有名詞を、をどうしようかなと。

★安藤氏: 
もっとも、ラブデリックおとくいの「ハナモゲラ語」は健在ですよね。
常にワールドワイドみたいなことを昔から気にして作られているのかなと思っていたんですが。

★木村氏: 
確かに、あれをやっておくと、テキストをかえるだけでそれっぽくなりますしね。
もともと『moon』で使われたのが発端で。
変な話なんですが、僕が一番ハナモゲラ語を使い続けているんですよ。

旧スクウェアでの出会い、そして演劇との関係

★安藤氏:
読者の方はわからないと思いますが、いま二人とも関西弁で喋っているんですよ。
木村さんは大阪出身なんですか?

★木村氏:
大阪だけ住んでないんですよ。
生まれたのは神戸で、育ったのが奈良で、京都にも住みました。

★安藤氏:
僕も実家が神戸で、親戚が岡本に住んでいたので、ちょくちょく行ってました。
じゃあ、わりと近いところで育っているんですね。

★木村氏:
そうですね。

★安藤氏:
キャリアとしては旧スクウェアからゲームクリエイターのキャリアをスタートされていますよね。
そこから会社を辞めて、インディゲーム開発者になられて。
いわば自分の大先輩に当たるわけですが、最初に携わられたゲームは何になるんですか?

★木村氏:
社会人になって初めての仕事は『ロマンシング サ・ガ2』(1993年、SFC、スクウェア)からですね。
マップを描いていました。
それまでも、ゲーム自体は作っていたんですが…。

★安藤氏:
どういう形ですか? 
BASICとか?

★木村氏:
色々ですね。友達と一緒に作ったり。
自分でプログラミングをしたり、ストーリーを考えたり、グラフィックをしたり。でも、レベルはすごく低かったです。

★安藤氏:
同人活動ということですか?

★木村氏: 
同人という言葉もなかったなあ。
原体験くらいまでさかのぼると、中学1年生くらいでゲームを作り始めたんですよ。
パソコンを触ってゲームを作っていると、画面上でいろいろなキャラクターが動いたりして、楽しくなるじゃないですか。
だからみんながファミコンとかを遊んでいる中で、自分はアルファベットを画面の中で動かしたりする方が楽しかったんですよ。
なにか生き物みたいでしょ?

★安藤氏:
なるほど。
それと、これも不思議だったんですが、『勇者ヤマダくん』とか、木村さんがつくられたものって、小劇場の演劇を見ているような感じがするんですよ。
「〜でヤンス」みたいなセリフと共に、部屋にNPCが入ってきたりとか。
次から次へと同じシチュエーションでいろんな人が入ってくるところが、とても演劇っぽいなと思っていて。僕も宝塚歌劇の鑑賞が趣味なので、よく見に行くんですよ。
木村さんもお好きなんですか?

★木村氏: 
もともと大学生の頃に演劇をやっていて、スクウェアに入ったころも続けていたんですよ。
当時は上京したばかりで、仲間もいないんで、相方と2人だけでやって。
相方は三味線担当とシンセサイザーの効果音担当の二人、自分は落語みたいに一人数役で喋って。
小さいライブハウスを移動しながら、長野とか高知とか東京でやっていました。

★安藤氏:
作っているゲームとよく似ているじゃないですか。
やっぱりそうだったんだ。
スクウェアでいうと、時田貴司(代表作『半熟英雄』シリーズ、『ライブ・ア・ライブ』など)さんも、ずっと演劇をやられていますよね。
今ではご自身で演劇ユニットを主催されて、舞台公演もされていて。

★木村氏:
時田さんの舞台は好きで、昔から良く見に行ってました。
今でも全部見てますよ。

★安藤氏:
僕が時田さんの舞台を見に行くようになったのは10年くらい前からなんですが、どこかSFCの作品を遊んでいるような感覚になるんですよ。
それって、制限に立ち向かっているからだと思っているんですよね。
白い箱を椅子に見立てたと思ったら、次のシーンでは心象風景を描くための四角いキューブとして使ってみたり。
そういうのって、8ビットや16ビットの頃のゲーム作りと似ているから、いいなあと思うんですよね。

★木村氏:
芝居って空間が動かないから、あの中でいろいろな場面にしなくちゃいけないですしね。

★安藤氏:
それから、あの人はタイムリープものがすごく得意なので、演劇もタイプリープものが多いんですよ。
どこか『クロノ・トリガー』(1995年、SFC、スクウェア)みたいだなあと思ったり。

★木村氏:
最初にスクウェアに入った時の、時田さんの存在感って大きかったですよね。
芝居をやっている人が先にいて、そういうのがありなんだという感じが。

★安藤氏:
そこで最初に『サ・ガ』シリーズを手がけられて。

★木村氏:
あの時の僕のしんどさは尋常ではなかったです。
開発を主導された河津秋敏さんを筆頭に、キレものぞろいで。
テーブルトークからコンピュータまで、RPGのことを良く知っているし、「指輪物語」にしろ何にしろ、その解釈とか知識量とか、マニアック度みたいなものが全然違いました。
僕もマニアックな方だと思っていましたが、その深さみたいなものが全然違いましたね。
だから「自分もまだまだだなあ」と、プレッシャーの方が大きかったです。
変な話、全然勝てないと。
あの当時の河津さんはホントにスゴかったですし、対等に話ができるくらいになれば、すごく楽しく仕事ができたと思うんですが、だんだんやさぐれていきました。

★安藤氏:
エニックスとスクウェアが合併して、スクウェア・エニックスが誕生した頃って、その頃の人たちがまだ現役バリバリだったじゃないですか。
田中弘道さん、石井浩一さん、松野泰己さん、土田俊郎さん、河津秋敏さん……。
その中でも時田さんの立ち位置は異色でしたから、一番最初に仲良くなりました。

★木村氏:
時田さんって飲む度に、言い争うんですよ。
倉島一幸君(代表作『スーパーマリオRPG』『moon』『王様物語』など)がよく言うんですよね。
「時田さんと木村が呑むと、言い争いになるから嫌だ」って。
こっちとしては、ああだこうだって、喋っているだけなんですけどね。
こっちは議論をおもしろいと思ってやっているから、まあいいかと思うんですが、殺伐としてみえるのかな。

★安藤氏:
でもそれって劇団で、役者が夜通し飲みながら、激論を交わしているようなもんですよね。

★木村氏: 
1960-70年代の香りがするでしょ。

★安藤氏: 
それをするために、したたかに酔っ払っていくという。

★木村氏: 
でも時田さんがいても、あの時のスクウェアに僕の場所はなかったと思う。
なんだったのかな。
やさぐれてましたね。

★安藤氏:
やさぐれているって、どんな感じなんですか?

★木村氏:
ツンデレのツンしかないみたいな。
まあ、まあ、皆さんすごいですねと。
でも、それを素直に言うこともできず。
早い話がいじけていたわけです。
そこに、ちょっとお酒が入ってるみたいな。

★安藤氏:
でも、たとえがちょっと乱暴ですが、関西のオタクはけっこうやさぐれている人が多いじゃないですか。
学生時代に週末にテーブルトークRPGのイベントに行ったりしたとき、めちゃめちゃおもしろいオタクのお兄ちゃんがいっぱいいたんですが、話をしていて、そういう人を思い出しました。

★木村氏:
僕はオタクが好きで、自分もオタク趣味が好きなんですが、全体的に浅いんですよ。
でも、その浅さも好きなんですよね。
自分が浅い方が人の深い話を喜べるじゃないですか。

★安藤氏: 
たしかに、今話されていることが作品とか、いってみれば芸風にすごくにじみでてますよね。

★木村氏: 
だから人間がすごく好きなんですよね。
みんな違うでしょ。
『チュウリップ』(2002年、PS2、ビクターインタラクティブソフトウェア、開発パンチライン)も『勇者ヤマダくん』もそうなんですが、ファンタジー世界よりも、近所にいるおっちゃんとかのほうが好きなんですよ。
実際、めっちゃおもしろいですよ。
この前、飲み屋に「俺が甲州街道を作った」とか言い張るおっちゃんがいて。
冗談かと思っていたら、ホントに設計した人じゃないとわからないエピソードが出てくるわけですよ。
そういった飲み屋での人間観察というのは、今でも好きですね。

伝説のスタジオ、ラブデリックと『moon』

★安藤氏:
そもそもスクウェアを辞めて、西健一(Route24代表、『moon』『ちびロボ!』など)さんや、工藤太郎(バンプール代表取締役社長、『moon』『もぎたてチンクルのばら色ルッピーランド』など)さんとかと、一緒にラブデリックをやろうという感じになったのは、どういう流れだったんですか?

★木村氏:
もともと西さんや工藤君たちが、『moon』の前段階にあたる企画を進めていたんですよ。
その時はへーっていう感じでしたね。
その後、だんだんと自分が「このままゲーム業界にいてもなあ」とやさぐれていって、スクウェアを辞めちゃうんですね。
それで、ペルーに旅に出ちゃうんです。

★安藤氏:
ペルーですか!

★木村氏:
そうそう。
最初『moon』の走り始めの冒頭で、その集まりにも呼ばれたんですが、「海外に行くし、いいわ」といって、断ったんです。
実際、ゲームを作るのを辞めようかなと思っていたんです。
ところが、ペルーの山の上で屋台のおじさんが子どもにファミコンとかスーファミを遊ばせている光景をみたんですよ。
屋台の前に行列ができていて、みんなで1円とか出して、数分ごとにプレイヤーが交代して『ファイナルファンタジーIV』(1991年、SFC、スクウェア)みたいなRPGを解いていくんですよ。
それを周りで子どもが見ているんですよね。

★安藤氏: 
なにそれ?
全員で解いているわけだ。

★木村氏: 
ホントに屋台のヒヨコ釣りみたいな感じで。
これが最新のゲームじゃなくて、微妙に古いんですよね。
それを見てちょっと感動したというか。
改めてゲームを作りたいなと思ったんですが、ふと我に返って、「もうスクウェアを退職してしまった」という。

★安藤氏:
なるほど。

★木村氏:
思えばその時のやる気で、もう一回ゲームを見つめ直して、大手でやるという方向性もあったかなと。
ところが帰国したとたんに、工藤君と倉島君から「映画を見に行こう」と誘われて。
「ウォレスとグルミット」を見に行ったのかな。
映画を見終わった直後に「明日から働けるんでしょ」といわれて。
こっちとしては「えっ?」て感じですよ。
席を用意しておくからと言われて、会社に行ったらミカン箱がおいてありました。

★安藤氏: 
どんなところで開発していたんですか?

★木村氏: 
マンションの一室で、10人くらいしか入らない、狭いところでした。
そこで机がなくてミカン箱で。

★安藤氏: 
「ウォレスとグルミット」を見に行こうというのは、どういうメッセージだったんですか?

★木村氏: 
たぶん僕が人形アニメが好きだからなのと、あとはその時に流行っていたんですよね、仲間内で。
それからは怒濤のようでしたけどね。
その時に開発初期段階の『moon』を見せられて、これをやるからと言われて。
まだキャラクターとマップが動いてるだけで、ゲーム部分のモンスターキャッチやストーリの核がなかったんですよ。自分の世界観を出していいというその場の空気感というか、仲間からの「自由にやればいいじゃん」というお墨付きみたいなものをもらったので、とことん好きなようにやらしてもらいました。

★安藤氏: 
スクウェアでまいた種が『moon』のころに開花したという。
おもしろいですね。
さっき自分の浅い部分が気に入っているという話をされていましたが、『moon』の時点ですでに、そういう考え方で物を作られていたんですか?

★木村氏: 
最近やっと自分を認めるというか、そういう状態もありなんだなという感じになりましたが、その時の僕はもっとぴりぴりしていたと思います。

★安藤氏:
若い時はなかなかねえ。
20代とかでそういうのを認めたら、仙人みたいですもんね。

★木村氏: 
無理無理。
そんときの僕の感じは、もっとカリカリしていて、まわりは不快だったんじゃないかなあ。

★安藤氏: 
その後『エンドネシア』(2001年、PS2、エニックス、開発バンプール)を作られましたよね。
プロデューサーが僕の同期の女性なんですが、昔の工藤さんのとんがり方が尋常ではなかった、今は丸くなったという話をされていたので。

★木村氏: 
全員とんがっていたでしょうね。
西さんが一番人間的に優しい、柔らかい人だったなぁ。
★安藤氏:
そうなんですか。

★木村氏:
お互いに役割があったと思います。担当関係なく、全員が全部に口出すのがラブデリックだったわけですが、僕がストーリーをみていて、(工藤)太郎ちゃんが演出を見ていました。きれているサウンドの演出が『moon』にはいっぱい入っているんですが、それは太郎ちゃんがやっていて。
西さんがプロデューサーというか、対外的な諸々をやっていて。カリカリしてくると、夜みんなを飲みに連れていったりする役回りでしたね。
大人になったからわかるんですが、そういう人がいなかったら、あの状態は保てなかったと思います。
まぁ、僕は飲むと、今でも「moonを作ったのは俺だぁ〜」とやさぐれて語るわけです(笑)
だってストーリーとか、ルールとかを考えてたわけだから。
でも、思えば、西さんのプロデューサー的な動きと、太郎ちゃんの音楽的なフィーリングがなくてはできないものだったなあと。
それこそが『moon』でしたからね。

★安藤氏: 
すべてが噛み合わさった感じで。

★木村氏: 
いや、なんか話していて、すごく良い子チャンになってますね。
最近やさしすぎますね。
いっつも、酒飲むと「あれは、俺が作った、俺のゲームなんだぞ〜」とくだをまくわけですけどね。あはははは。

★安藤氏: 
バンドみたいでいいじゃないですか。
それぞれがその後、違う道を進んで活躍しているから。
その3人が奇跡的に一瞬だけ集っていたのが、ラブデリックというバンドだったんだなあと。

★木村氏:
みんな独り立ちしてしまって。

★安藤氏:
よくそれだけのメンバーが集ってましたよね。
梁山泊感がハンパないというか。
一瞬できらめいて燃え尽きて発展解散したバンドみたいな。

★木村氏: 
あれがたぶんインディなんですよ。
大きい会社にいたメンバーがやめて、新しいことに挑戦したわけだから。

★安藤氏:
ゲームとしてもインディというか、反体制側からメッセージを投げかけている感じがしましたよ。
僕が大学を卒業して、ちょうどゲーム業界に入るか、入らないかくらいでしたから。
ちょうど飯野賢治さん(代表作『Dの食卓』『エネミー・ゼロ』)が、バンドみたいにゲームを作るんだと言われていて。

★木村氏: 
でも僕は飯野賢治さんの、その話を聞いたときに、 この人とは一緒にはならない!この人とは違う道を行く!とか思いましたけどね。
あかん、ちょっとエンジンがかかってきたかも。

★安藤氏:
ぶれていない感じがすごく良いですね。

★木村氏: 
このまま、酔っ払い続けて良いですか? もう顔が真っ赤になってきた。
やばいですね、この回はやばいですね。
ちょっと最初のころは警戒していたんですが、だんだん酒の力で、バリアがはがれてきました。

さっきの西さんや太郎ちゃんと『moon』を作ったという話は、完全によそ行きトークでした。


(以下次回)

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ジャンル RPG / 思考・知略 / ファンタジー
リリース日 2016年01月15日 (【スマホ】iPhone(アプリ))
2016年01月15日 (【スマホ】Android(アプリ))
価格 基本プレイ無料
コピーライト ©DMM.com POWERCHORD STUDIO/Onion Games
公式コミュ https://twitter.com/Yamadakun_info
PRサイト http://www.yamadakun.jp/
 

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