[福島GameJam]夏休み特別企画! ゲームづくりの素人がUE4のセミナーにガチ参加してみた

2015年08月14日

 個人開発者にとって事実上、利用料が無料となったUnrealEngine(UE)4。
 Unity、Cocos-2dxと並ぶ業界三大ゲームエンジンの一つであり、もっともハイエンド向けながら、ビジュアルプログラミング言語のブループリントによって、コードを一切書かずにゲームが作れる特徴も兼ね備えている。
 しかし、それだけに高性能なPCを要求するなど、敷居が高く感じられるのも事実だ。

 こうした状況の中、UE4の初心者向け講習会「夏休み特別UE4授業:2日間でゼロから初級ゲーム開発者へ!」が8月11日・12日に秋葉原で開催された。
 UE4を日本で展開するエピック・ゲームズ・ジャパンは東日本大震災の復興支援を目的に、福島県郡山市をメイン会場として開催される「東北ITコンセプト 福島GameJam2015」(主催:NPO法人IGDA日本)に協賛しており、今回のイベントも事前講習会という位置づけだ。

 会場と機材を提供したのは、「ドスパラ」ブランドで有名なサードウェーブデジノスで、同社が展開する「ガレリア」ブランドのノートPCを使って、ハンズオン形式で実施。
 セミナーの模様はストリーミングでリアルタイム中継された。メイン会場では学生を中心に18名が参加したほか、インターネットで200名弱の視聴者が参加し、ネットを通してさまざまな質疑応答も行われた。筆者もまったくの初心者ながら体験取材に挑戦した。

二日間で計10時間という濃密な体験

 講習会は初日が入門編、二日目が初心者~中級者編という構成で、初日は下田純也氏によってUE4の概要と基本的な操作方法、レベルデザインとブループリントの基礎が説明された。
 二日目はロブ・グレイ氏からUIデザインや敵キャラクターの移動・攻撃、ゲームの勝利条件設定など、より詳細な説明が行われた。二日間で合計10時間という、短期集中型の非常に濃密なセミナーだ。

 さて、改めてUE4の特徴を整理してみよう。本エンジンは米エピック・ゲームズから2014年にリリースされたもので、最新バージョンは4.8.3(8月13日現在)。
 先日発表された『ドラゴンクエスト11』でもPS4版の開発に採用されたことで話題を集めた。TVドラマ「デスノート」でも採用されるなど、ゲーム以外の用途でも急速に事例が広がっている。3ヶ月で3000ドル以下のゲームプロジェクトなら、無料で使用することも可能だ。

 機能面では大量のパーティクルや間接光などを駆使した、これまでにないリアルな絵作りが上げられるだろう。前述の通り、ゲームデザイナーやアーティストがブループリントを使って、コードを書かずにゲームを作ることもできる。その一方で、エンジンの中身がオープンソースで公開されており、プログラマがC++で自由に改変できる拡張性の高さも特徴だ。Oculus RiftなどのVRデバイスにも標準で対応している。

初日:横スクロールのステージでキャラクターを動かす

 初日の講座では下田氏から、こうした概要紹介が終わった後で、いよいよハンズオンがスタートした。UE4にはFPSをはじめ11種類のステージテンプレートが用意されており、今回は「Side Scroller(横スクロール)」を選択。画面に横スクロールのアクションゲームの舞台となるようなステージが表示され、画面中央に左右キーで移動・スペースキーでジャンプするキャラクターが登場した。これをベースにさまざまに改造していく流れだ。

 下田氏は続いてステージ上に立方体や円柱などのブロックを配置する方法や、配置したブロックの大きさや角度を変えたり、移動したり、コピーしたりする方法を紹介。MayaなどのDCCツールと基本は同じということだが、3D空間上で思い通りにBSPを配置するには、ある程度の慣れが必要だ。一方から見たらきちんと配置されていても、他方から見れば軸がずれている、なんてことも多く、指がつりそうになってしまった。

 その後、いよいよ本日のメインテーマであるブループリントの作成方法に進んだ。
 今回解説されたのは、平べったい板を上下に移動させてエレベータにしたり、その場で回転させて障害物や足場にするやり方だ。移動距離や回転速度を変数に設定して、自由に変更することもできる。まず先ほどの要領で画面にブロックを表示させ、大きさや厚さを整えて、四角い板を作成する。

 ブループリントは対象となるオブジェクトを指定し、「ブループリントエディタを開く」メニューを選択することで行う。実際の設定は右クリックメニューでさまざまなブロックを呼び出し、それらをノードでつなぐことで行っていく。筆者は下田氏の説明通りにブロックを配置するだけで精一杯で、とても意味を理解するまでには至らなかった。
 しかしコードを書くよりも画面がカラフルで、プログラミングの未体験者でも楽しめた。

 なお、一度作成したブループリントつきのオブジェクトはコピー&ペーストで増やすことができる。また作業中にメインスクリーンから「再生」ボタンを押すとゲームがスタートし、キャラクターを自由に移動して、試せるようになる。ESCキーか「停止」ボタンを押すとゲームが停止し、再びエディットやブループリントの設定が可能だ。このように何度も遊びながら微調整ができるので、作業効率の高さをあらためて実感できた。

 またキャラクターのブループリントには、移動などのほかにカメラに関する設定も紐付いている。このパラメータを調整すると、キャラクターとカメラの距離が変更できた。デフォルトの距離は少し近すぎるように感じたので、少しカメラを引き気味に設定すると、より快適に遊べるようになった。他にキャラクターに対する重力の変更も可能で、ムーンウォークばりの移動にしてみたりと、さまざまな設定が試せた。

二日目:敵キャラやヘルスバーなどがつき、よりゲームらしい形に

 セミナー二日目はグレイ氏がハンズオンの完成形を披露するところから始まった。
 ステージ上にプレイヤーキャラクターに向かって弾を撃ってくる砲台や、プレイヤーキャラクターに向かって接近し、自爆する敵キャラクターがうようよしている。その中を移動していき、体力がつきる前にゴールにたどり着くというものだ。初日の制作物に比べて、格段にゲームらしさが増している。若干および腰になりながらハンズオンにのぞんだ。

 最初にテンプレートの中から「Third Person」を選択すると、画面上にステージとセットアップされたキャラクターが表示された。WASDキーで自由に移動でき、スペースキーでジャンプもできる。キャラクターを移動させたり、ボックスの上をジャンプしていくと、これだけでゲームをプレイしている気分になれるから不思議なものだ。
 もっとも、今日の目標はUIと敵キャラクターとゴールを配置することにある。

 はじめにヘルスバーを設定する。キャラクターを選択してブループリントエディタを開き、キャラクターに対して体力の計算を行うロジックを追加する。
 その後、ウィジェットブループリントという項目を新たに開き、ヘルスバーの形状を作成する。最後にヘルスバーのブループリントからキャラクターの体力を参照するようにロジックを組む。これだけで、キャラクターの残り体力に応じてヘルスバーが減少していくようになる。

 このようにUE4のブループリントはオブジェクト指向で作られており、画面上に配置されるキャラクターや扉などと紐付いている。そのためコピー&ペーストで増やしたり、あるブループリントから別のブループリントを呼び出したり、組み合わせて複雑な動作をさせることが簡単にできる。ただ、昨日と同様にロジックの意味を理解するまでには至らず、手本通りにロジックを組むだけで精一杯だった。

解説をみながらブループリントを“写経”する

 ヘルスバーができたら、次は砲台の作成だ。砲台は円筒型と球型のブロックを組み合わせて作成し、ステージ上に配置する。次にブループリントでプレイヤーキャラクターが一定の範囲に近づくと、自動的にプレイヤーキャラクターに対して弾丸を発射するようにする。弾丸がヒットしたらヘルスバーが10ポイントずつ減少するという仕様だ。繰り返しになるが、これも手本を見ながらなぞっていく。いわばコードを「写経」している感覚だ。

 また初日も登場していたのだが、ヘルスバーや砲台を作る過程で「変数」の概念が多用され、徐々に理解が進んだ。残り体力やタワーの高さなどを変数として設定することで、体力がゼロになったら「DEAD」と表示させたり、タワーの高さを簡単に変えたりできるのだ。変数は必用に応じて任意に設定すれば良く、同じ名前をつけようとするとエラー表示で警告がなされる。この点は初心者でもわかりやすかった。

 砲台が作成できたら、次は敵キャラクターの作成と配置だ。砲台の頭部と同じアクターを指定し、これに移動と爆破ロジックを設定する。今回はプレイヤーキャラクターが一定距離まで近づいたらスイッチが入り、プレイヤーキャラクターに向かって移動を継続、接触したら破壊エフェクトが表示されて消失する、というロジックが組まれた。AIの設定にはナビゲーションメッシュの設定が必用だが、これもマウス操作で簡単だった。

 ただ、このあたりから徐々に処理が思い通りにならないことが増えてきた。敵キャラクターがうまく動かなかったり、発射された弾丸が消失してしまったりするのだ。そのたびに手を挙げて下田氏に画面をチェックしてもらいながら、修正していく。これは自分だけではないようで、他の参加者も作業ペースが落ちてきた。ロジックを組むというのは、それだけ論理的な作業なのだと感じた。

参加者それぞれでまったくことなるステージに成長

 ハンズオンの最終コーナーはゴールとリトライの設定だ。ステージ上にゴール地点を設定し、プレイヤーキャラクターが到達するとゲームが終了。リトライボタンをマウスでクリックすると再スタートする。文字で書くのは簡単だが、けっこうめんどくさい処理が続く。ただし残り時間の兼ね合いもあり、説明が非常に速くなった。そのため追いつくことができず、残り30分くらいのところでドロップアウトしてしまった。

 もっとも空いた時間を有効に使って「自習」が楽しめた。
 ブロックを配置したり、敵キャラクターや砲台をコピペして配置したり、実際にゲームをプレイして遊んだりしたのだ。またUE4を触っていくうちに、さまざまな視覚効果が試せるようになった。キャラクターや壁のテクスチャーをプリセットされたものの中から選んだり、シェーダーを切り替えたり、ライトを増設できるようになったのだ。

 もちろん、これらは入り口にすぎず、本格的な絵作りを行うためには、さまざまなテクニックが必用なことは容易に推測できる。しかしツールをちょこちょこ触っているだけで、表示がいろいろと切り替わるのは、初心者にもわかりやすい。
 一方でブループリントについては、とても理解が進んだとはいえない。ただロジックがグラフィカルに組めるのはとっつきやすく、タイプミスによるエラーも少ないので、さらに勉強してみたいと感じた。

 ハンズオン終了後にまわりの参加者のPCを見たところ、これが同じセミナー受講者かと思うほどに、多彩なステージが作られていた。セミナーの内容をすべておさえながら、そこら中で爆発エフェクトが表示されたり、ステージが複雑な立体構造になっていたりしたものもあったほどだ。
 参加者は学生が中心だったが、授業で他のゲームエンジンやDCCツールを使った経験がある者も多く、さもありなんと思わされた。

 以上で2日間、合計10時間のセミナーが終了した。
 「2日間でゼロから初級ゲーム開発者へ!」というタイトルで、どれくらい自分が「初級ゲーム開発者」に近づけたかはわからないが、実際にレベルデザインを行い、ロジックを組むというのは新鮮な体験だった。セミナーの模様はYoutubeで公開されているので、忘れないうちに復習したい。そのうえで自分も福島GameJamに挑戦するつもりだ。

[福島GameJam]夏休み特別企画! ゲームづくりの素人がUE4のセミナーにガチ参加してみた
▲写真左から、エピック・ゲームズ・ジャパンの今井翔太さん、下田純也さん、ロブ・グレイさん
 

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