インタビュー  
自爆で連鎖撃破!?
『EEE』開発者インタビュー
2006.07.16
『Every Extend Extra』公式サイト
 

  プレイヤー操る自機を自爆させ、その爆風に威力により敵を連鎖爆破させる。それが『Every Extend Extra』のルールだ。自爆すれば当然自機を失うことになるのだが、連鎖によるチェインで点数を稼いでExtendを繰り返すことにより、失った自機を取り戻す。自機を失わないように遊ぶのが今までのシューティングゲームだが、本作品はその概念を打ち破った作品と言えるだろう。
  『Every Extend Extra』はサウンドにも注力している。自機の動く方向に対応したサウンドが設定されており、プレイヤーが自機を動かすことによってBGMが生成される。爆発やエネルギーの溜め状態、そして自機の速度増加アイテムの数など、複数の要素によってサウンドもどんどん変化していく。しかもそのサウンドはUSCUS(anoyo)、h.ueda、qbといった実力派ミュージシャンが担当。さらにあの『恋のマイアヒ』(O-ZONE)のスペシャルリミックスを使ったステージを搭載しているのだ!
  発売日も8月3日(木)に決定し、期待している人も多いであろうこのソフトだが、なんと一足先に、それもこれを読んでいるあなたのPCで体験できてしまう。しかも7月14日(金)~8月17日(木)の約1ヶ月に渡り、PC体験版を使ったスコアアタックが開催されるのだ。i-pod nanoなどが当たるこのキャンペーンには、Gpara.com枠のランキングで100位以内に入った方の中からからランダムで選出される特別賞もあるので、ぜひとも参加してほしい。
  さて、実は本作品にはもうひとつの特徴がある。それは“原作”があることだ。元々『Every Extend』というフリーソフトとして配布されていたものを『ルミネス』や『メテオス』でおなじみのキューエンターテインメントがアレンジを加えてPSP向けのソフトとして大幅にボリュームアップしたというのだ。今回はディレクターである世永玲生氏と、原案者であり、本作品の開発にも協力した松久貫太氏のお話をうかがうことができた。ネット上から生まれた新世代のコラボレーションの“逸話”をお届けしよう。

■フリーソフトから生まれたPSPソフト!

―― やはり、最初は開発までの経緯からお聞きしたいと思います。もともとはネット上にアップされていた『Every Extend』に世永さんが注目されたという話ですが。

世永玲生 氏
 『Ninty-Nine Nights(N3)』や『バトルスタジアムDON』などの作品に参加しつつ、『Every Extend Extra』では、ゲームデザインとディレクターを担当する

世永氏:
  そうですね。ちょうど弊社で『ルミネス』と『メテオス』が出る前、キューエンターテインメントという新しい会社を起ち上げるときに、なんでもかんでも作るのではなく、会社としてのテーマを持ってゲームを作っていこうという指針があったんですね。それが“ミュージックインタラクティブ”なんです。“ミュージック+何か”というゲームを作っていこう、と。その際に、先日発表した『グンペイ』関連の2作品と『ルミネス』『メテオス』という4作品の企画がありました。それがそろった時点で、僕はXbox 360の『Ninty Nine Nights(N3)』の仕事に取り掛かっていたんです。で、それとは別にとある友人に仕事を頼んでいたんですが、その人が締め切りを全然守ってくれなくて「なにやってんの!?」って電話をかけたんですね。そうしたら「ネットで面白いゲームを見つけて仕事になんなくて~。ゴメン」って言うわけですよ。そんなに面白いならと思って、僕にも送ってもらったんですが、僕自身も忙しいはずなのに、やっぱり面白くてハマっちゃって(笑)。あとは、これは業務的な話になっちゃうんですけど、企画って、形があると通りやすいじゃないですか。

―― 確かにそれはありますね。

世永氏:
  松久君の『Every Extend』っていうのはもうひとつの完成形があって、ムービーすら撮影できてしまうわけですよ。そこで、音楽ソフトを使って音を割り当てて社内のプレゼンテーションに挑んだんです。実はそのときのものは完成版とそう大差はないものでした。この『Every Extend Extra』は、自機を動かしたときの方向(上下左右)と、溜めをやっている間の裏の音、この8つの音をユーザーの任意で鳴らすことができるんです。あとは爆発であったり、自爆の音であったりとか、そういうものがすべて16分音符にグリッドされて鳴るので、まるでオートクチュールのBGMのように音楽全体がゲームと密接に関わっているシステムになっています。この……簡易版をプレゼンしたんですね。そこでは「なんだ、もうできてるじゃん」とか言われました(笑)。

―― そりゃそうですね(笑)。たしかに完成版でも上下左右+溜めの8音の組み合わせでBGMができあがりますね。これって音を聞いているだけでどんな動きか想像できますね。

世永氏:
  まさにそうですね。しかもプリジェクトって社内プレゼン通らないと起ち上げられないじゃないですか。だから最初松久君には曖昧なことしか言えなくて……。そういう曖昧なのはディレクターやプロデューサーとしてはよくないですよね。でも僕は、できないことを「できる」って言うのが嫌いなんですよ。だから最初に松久君にメールで伝えた言葉は「『Every Extend』の将来についてちょっとお話しませんか?」っていう。そしたらものすごく警戒されましたよ(一同笑)。当時はまだ弊社のホームページもありませんでしたし、ネット上に掲載されていた“水口哲也が新会社、キューエンターテインメントを設立”っていう記事だけが存在証明だったんです。だからそのURLを送って「決して怪しい者ではありません」って(笑)。それでなんとか松久君と会うという話になって、みそカツサンドを食べながら話したんですね。

―― それってずいぶん前の話になりますよね?

世永氏:
  ええ、そうです。実は、開発過程で、パッケージソフトとしてリリースするに足るボリュームがあるのかという話になって、ペンディングされていた時期があったんです。その困難を乗り越えて今日に至るわけなんですが(笑)。

―― 足掛け2……3年くらいですか?

世永氏:
  下手をすると3年くらいかかってるのかな? 東京ゲームショーの時にTGSバージョンとしていったん発表しましたが、実はあのときから全部作りなおしています。インタラクティブさは増していますし、音との一体感も増しています。「グラフィックを見てもTGSバージョンとは別物じゃん」とよく言われますが、実際その通りなんです。

―― 松久さんは、自分の制作した作品がPSPで製品化されるということになるわけですが、どういう気持ちですか?

松久貫太 氏
 OMEGAのハンドルネームでゲーム制作を行ってきたアマチュアゲーム作家で、『Every Extend Extra』の元となる『Every Extend』の作者。webサイトはコチラ

松久氏:
 いやぁ、なんと言っていいやら……。「すご~い」って感じです(笑)。

―― 非常に素直な感想ですね(笑)。じゃ、最初はどう思われました? メールで連絡があったんですよね。

松久氏:
  はい。先ほどの通り「『Every Extend』の将来に~」って感じの文面で、驚きました。

―― それで何度かメールのやり取りなどもされたんですか?

世永氏:
  メールのやり取り自体はほとんどなかったんですよ。すぐに「じゃあ会いましょう」的な展開になったので、すぐに直接会いに行きました。

―― すでにネット上で発表されているゲームを製品化するというのは結構珍しいパターンかなと思います。たしかに環境もよくなってきて、個人で開発する作品というのが増えていますが、例えばキューエンタテインメントでは、こういった流れで製品化をするというのはこれからも増えていくと思いますか?

世永氏:
  そうですね……正確に言うと、正しいプラットフォームへの落とし込みというのを考えているんです。たとえば、本来はPCゲームであるべきものがPSPで出ていたり、PCゲームとして制作されたけれど本来の落としどころはPSPなのではないか、そういうゲームもあると思います。実は未発表の企画でもそういうものがあるのですが、本来、その作品が落とし込まれるべき場所に落とし込むという作業は今後もやっていきたいと考えています。ベストなハードへの落とし込み、特化したアレンジを加えていく。そういうことは今後もあると思います。それと、弊社自体が少人数で多数のラインが動いていることもあり、それぞれのチームの方向性が多種多様なんですね。その中でウチのチームの人数というのは、自分たちがやりたいものをやろう、自分たちが欲しいものを作ろう、っていうことがやりやすい人数だったりするんですよ。ネット上のゲーム作家の人たちも、まさにそうですよね。

―― なるほど。ということは『Every Extend Extra』では最初からPSPというハードが決定されていたわけですね。

世永氏:
  そうです。PSPのアナログスティックとの相性がいいと思ったんです。PCの『Every Extend』も十字のコントローラやキーボードでプレイするよりアナログコントローラでプレイするほうがいいなと感じましたし。PSP特有の平行移動するアナログスティックというのは精密動作にはピッタリなんですよ。あとはPSPというハードは音がすごくいいハードなので、そこも理由のひとつですね。

―― ところで、元となった『Every Extend』にどの程度のアレンジを加えてあるのでしょうか。

世永氏:
  基本的にはパッケージソフトにするためのボリュームアップ以外はなるべく手を加えないようにしています。『Every Extend』はルール的に三つ巴(自機の自爆による残機減少×自爆から連鎖によるスコア獲得×スコア獲得による残機数アップ)になっている中で高得点を目指すというのが目的になっています。しかし、その目的だと1ステージしかプレイできないんですよね。だからパッケージソフトにするにあたってステージクリアタイプに変更しています。それにともなうバランスは多少いじっています。ただ、元の作品をPSPで遊びたいというのがスタート地点なので、オリジナル版も移植して収録しています。だから、ただ単に「オリジナル版をPSPで遊びたい」という人もご安心ください。PC版との違いは各モードをそれぞれプレイしていただけるとわかってもらえると思います。モードによってゲームの目的やバランスを変えてありますので、4つのまったく違うゲームが遊べると思ってもらっても構わないと思います。でもゲーム+音楽というのが一番の違いと言えば違いかもしれませんね。

―― 元の『Every Extend』のBGMは現在のような仕掛けではなかったんですか?

世永氏:
  そうですね。バックトラックとして流れていました。

―― 『Every Extend』の音楽やグラフィックは松久さんが制作されたんですか?

松久氏:
  音楽はやはりネット上で活動しているサウンドクリエイターの方に許可をいただいて使わせていただきました。グラフィックは自分でやりました。

世永氏:
  オリジナルモードに関しては音楽に関する連動のみ入れていますが、それ以外は完全移植になっています。オリジナル版に音楽との連動を入れたかったんですよね。さっき話をした“パッケージのボリュームにはちょっと足りないかな”と言われたのはこのオリジナルモードだけだった場合の話です。ただ、バランスも含めてこのくらいのシンプルさのほうが社会人にとってはちょうどいいのかなとも思っていました。

―― 松久さんが『Every Extend』を作ろうと思ったきっかけはなんだったんですか?

松久氏:
  この作品を作る前にシューティングゲームを作っていたんですが、その制作に煮詰まっていたんですね。それでいったんそちらの制作をやめて、新しくて単純なゲームを作ってみようかなと思ったんです。

―― 自機が自爆するっていうのは驚きですよね。

松久氏:
  自爆するっていうのは最初はもうちょっと不謹慎なネタから始まっているんですが、ま、そのへんはなんとか誤魔化して……。

―― こういう“物体”ならいいか。みたいな?

松久氏:
  ええ、そんな感じです。その頃はあまり細かいものを作ることができなかったので、幾何学的な図形にならざるを得なかったんですが、それはそれでカッコイイかなと。

―― アイディアを思い付いてから完成までにどのくらいかかりました?

松久氏:
  そうですねぇ……4ヶ月くらいはかかっているんじゃないかなと思います。実際に作業をしていたのは2ヶ月くらいですかね。

世永氏:
  (手元で稼働していたPSPを持ち上げて)このゲームオーバーの声なども実は彼の声なんですよ。

松久氏:
  自分の声をサンプリングして加工してあります。

―― なるほど、ひとりで作るとなると素材集めは大変ですよね。ところで、制作中、このゲームをプレイして、どうなったら楽しいだろうと考えながら作っていました? やはり連鎖ですか?

松久氏:
  んー、最初は連鎖は考えていなかったんですよ。作っている最中にテスト的に連鎖する仕様を加えたら面白かったので、それを後押しするような方向にシフトしました。

―― 現在は学生さんですよね。『Every Extend』を作っていたときは……。

松久氏:
  ええ、大学生です。制作していたときは休み中にダラダラ作っていた感じですねぇ。

―― 元々フリーソフトとして発表されていたわけですが、『Every Extend Extra』が発売されるにあたって、元ゲームである『Every Extend』はどうなりますか?

世永氏:
  そのまんまですよ。ネットで生まれた作品ですから。松久君と僕らでそれ以上のものを一緒に作りましょうという話で始まったので、過去をなくすというのは違うと思うんです。なんて言うんでしょうね……普段はネット文化側というか、権利とかそういうしがらみに文句を言ってる側ですからね、僕は。「なんで配布中止になるんだよ!」って(笑)。自分がそういうことはやりたくなかった。最初からそれは決まっていましたよ。彼のサイトなどを訪問してくれる人もそこが一番気になるところだと思うんです。実際配布中止になるんじゃないかと危惧する声もあったよね?

松久氏:
 そうですね。

世永氏:
 ほかのハードに落とし込むときの最低限のマナーとして、ネット発のモノに対する関わりっていうのはそうあるべきなんじゃないかと思いますね。

―― なるほど。元からのファンにとっては嬉しいですね。ところで、『Every Extend』というタイトルの由来は?

松久氏:
 もともとシューティングゲームとして作る予定だったんですが……シューティングの用語に自機が1機増えるExtendという用語がありますよね。このゲームでは自機がボロボロと減っていくんですが、そこで点数を稼いでそれ以上に自機を増やしていく……そういう意味で付けました。

―― そしてPSP版で『~Extra』と。

世永氏:
  そうです。タイトルに関しても変更したほうがいいんじゃないかという声もあったんです。ですが、元があってのゲームですからね。それにEvery Extendという言葉自体もシューティングゲームの用語として使っている人もいますし、ゲームの本質をあらわすには一番いいかなと思ったのも事実です。

―― なるほど。本当に、完成された作品にExtraの部分を加えたという感じですね。タイトルも『EEE』と略せてますし(笑)。

世永氏:
  この作品のボスの名前だとか、ほかの作品に関してもそうですが、僕は言葉遊びが好きなんですね。Eが3つ並ぶように、というのもそうですし。あ、タイトルは松久君も同じものを考えていたんですよ。

■ゲームの難易度・バランスを“ユーザーに返す”!?

―― 世永さんはほかにどんなタイトルを作られたんでしょう?

世永氏:
  あ、僕はこの1年くらいで合計4~5本発表される予定なんですけど、それまでゲームを作ったことがなくて、もともとレコード会社でweb関連の仕事をやっていたんですね。そのときにFlashゲームなどは結構作りましたけど。で、その後にセガに入社したんですが、お蔵入りになったゲームばかりに関わっていました(笑)。そうですね……今発表されている作品だと『バトルスタジアムDON』のゲームデザインとディレクター、あとは『N3』のゲームコンセプトデザイン。今のところはそれだけかな。3本目と言えば3本目ですね。

―― また方向性が全然違う気がしますね(笑)。

世永氏:
  んー、でも実は『バトルスタジアムDON』(以下、『バトスタ』)と『Every Extend Extra』は似ているところがあるんですよ。

―― えっ、どんなところですか?

世永氏:
  なんと言いますか……、『Every Extend Extra』の場合は“難易度”なんですが、僕は“バランス”を取るのが嫌いなんですよ。だって、ユーザーさんそれぞれが気持ちいいと思うところって違うじゃないですか。……って、バランス取るのは嫌いなんですけど、実はそれにめちゃくちゃ時間かけてるんですが(笑)。『Every Extend Extra』は『Out Run』みたいに分岐するようになっているんです。1~2ステージのプレイ内容を判断して3ステージ目から分岐するんです。だからゲームを始める前にEasyとかNormalとかHardとか選ばせない。プレイ中に難易度が推移するようにしてあるわけです。ユーザーさんが触っていて気持ちいい難度ってそれぞれ違うじゃないですか。それなのに会議で「難しすぎる」とか「弾が多い」とか「弾が速すぎる」とか……そんなことを言われる前に難易度は推移するようになっていました。だから会議では難易度に関してはみんなが言っていることがそれぞれ違う(笑)。すごく下手な人がサクッとクリアできたと言ったかと思えばすごく上手い人が難しいって言ってたり。一方で『バトスタ』のほうでは攻撃力からキャラの落下法則まで、ルール自体をありえないくらいにカスタマイズすることが可能になっています。

―― そのあたりをユーザーに委ねると。

世永氏:
  ゲームのバランスはそろそろプレイヤー自身に返すべきなんじゃないかなぁと思うんですよね。ファミコンの時代のゲームって、繰り返しプレイするものというか、ゲームの難易度ってそんなに大事じゃなくて、面白いのかどうかすらわからないものを延々とプレイしていたというか……(笑)。そういうものでしたよね。それがなんだか学問的というか、ゲームも洗練されていって、難易度に関する部分が変わってきているなと。某社の低価格路線のゲームなども(難易度的に)非常にザックリとしたものが実は面白かったりするじゃないですか。僕自身もwebのゲームを作ってきたから感じることなんですが“プレイしている人が気持ちいいもの”というところまで戻すのが大事なんじゃないかなと。だからアプローチは違うんですが『Every Extend Extra』もそうだし『バトスタ』もそうだし、先日発表した『グンペイ』関連の2本もそうだし。コンセプトとしてはゲーム好きの視点に立ち戻ってやってみようかなぁと。

―― ゲームが上手くなると難しくなるっていうのは面白いですね。変化するゲームというか。

世永氏:
  たぶん3回目くらいのプレイが一番難しいかもしれませんね。なんでさっきはステージ8までクリアできたのに今度はステージ3でクリアできないんだろう? そんな局面が出ると思います。

―― ゲームが上手くなると難しくなるっていうのは面白いですね。変化するゲームというか。

世永氏:
 たぶん3回目くらいのプレイが一番難しいかもしれませんね。なんでさっきはステージ8までクリアできたのに今度はステージ3でクリアできないんだろう? そんな局面が出ると思います。

―― 1~2ステージばっかり上手くできてしまうと大変なことになりそうですね。

世永氏:
  そうかもしれませんね。1~2ステージがたまたま上手くできてしまうと後のステージが難しくなってしまいますから。そしたらリトライしたほうがいいかも(笑)。

―― そのへんも駆け引きというか、1~2ステージをギリギリでクリアすれば後が楽に……。

世永氏:
 それだと隠しステージに辿りつけないわけですよ

―― なるほど、いろいろあるわけですね。単純にステージが続いていくというわけではなくて、実際はいろいろなステージになっているということですか?

世永氏:
 はい、そうですね。ステージのデザインとして用意されているのは全部で9つなんですが、中の分岐を合わせると相当な組み合わせの数になります。それを松久君には延々テストしてもらいました。点数の平均値を出してもらったりとか、途中でわざと何度かやられてもらったり……ありとあらゆるデータを取ってもらいました。その作業にしても、もともと説明しずらいゲームで、しかもベタ付きでやってもらわないといけないわけですから、頼める人がいなくて悩んでいたんですね。でも、「あ、作った人がいるじゃん!」と(笑)。

―― で、呼び寄せて、と。

世永氏:
 ええ。ですからバランス面で言うとPC版が好きだった人には文句のないものに仕上がっていると思いますよ。なにせ原案の作者が寝る間も惜しんで調整してくれたものなんですから。

―― 調整の期間はどのくらいかかりました?

松久氏:
 3週間くらいですかねぇ……ずーーーっとやってました。

世永氏:
 上がってきたデータを見て「これ○○に注意してプレイした?」「あ、やってません」「はい、やり直し~」ってダメ出しも何度かありましたけど(笑)。あんまり同じことの繰り返しというのも可哀想なので別のゲームのデバッグも手伝ってもらったりして。

―― すでにデバッガーですね。

世永氏:
 ですからそっちのゲームにもスタッフロールに名前が入っています(笑)。彼もまた何にでも首を突っ込みたがる性格で、すごくアグレッシブでしたしね。そういう性格がネットでアップしているソフトにもあらわれているんだと思います。学生ということもあって、デバッグシートなんかに直接書くと波風が立ちそうなことも遠慮なく書いてくれたりするんですよね。だからデバッグシートに「松久貫太のひとり言」という欄を作ったんです。スタッフには“あくまでもひとり言だから、自由な発想で書いてもらっています。参考にしてもしなくてもいいです”って言って。そこに彼の日記のような……ときには開発の方向性そのものを否定するようなことまで書いていたんですが、松久君自身もプログラムをするので、担当プログラマーと通じるものがあったようで、水面下では松久君の書いたことにさらにアレンジを加えた内容がいつのまにか実装されたりしていたんですよ。途中から開発がフリースタイルになっていた部分がありますね(笑)。

―― 開発側とすると、「そう書かれたならやってやるぞ」みたいなところもあったわけですね。

世永氏:
 そうなんです。だから仕様書に書かれていないすごいアレンジが加わったりしました。本当に最後の3週間程度はかなりみんな頑張ってくれましたね。

―― かなりのチューニングが入ったんですね。

世永氏:
 そうですね~。

―― ということは原案の制作者としてはかなり嬉しい状態で完成したんじゃないですか?

松久氏:
 ええ、はい。

世永氏:
 今、PSPを持っている人を見ていると結構年齢層が高い人が多いと思うんですよね。そういった人がよく「最近のゲームはルールが難しすぎる」とか「時間がかかりすぎる」と言うのを耳にするんです。通勤途中だったり通学途中だったり、そういう時間にサクッとプレイできる内容、ルール、一回覚えてしまえば「ああ、これってこういうことね」と理解できる、『ツインビー』世代とか『グラディウス』世代とか、20代後半から30代前半あたりの年代の人が普通に遊べて普通に楽しめる、そういう内容にしつつ、音との連動であったり、覚えゲーとはまた違ったインタラクティブ性のあるゲームになっているかなと。弾幕ドライブと謳っているので、たしかに弾幕はあるのですが、今のアーケードのシューティングのような弾幕系とは方向性が違って、見せ弾中心になっています。それほどハードではないはずです。弾幕系って、『怒首領蜂』とかの頃は「避けられた!」っていう気持ちよさがあったじゃないですか。でもそのプレイヤーたちがどんどん上手くなっていって、上手くなった人のニーズに追いつくように(ゲームのほうが)どんどん難しくなっている気がするんですよね。そうすると新しいプレイヤーは入ってこられないし、置いてけぼりになっている人っていうのもいるんじゃないかなと思うんです。

―― たしかにそれはありますね。話は変わるのですが、松久さんは今後どんなことをやっていきたいと考えていますか?

松久氏:
 とりあえずは卒業したいな、と(笑)。その後については、今はまだちょっとわからないですね。ゲームは作っていきたいと思っていますので、だったらゲーム会社というかここ(キューエンターテインメント)に就職したいなと(笑)。

―― ……と、おっしゃっていますよ?

世永氏:
 いや、会社内でも「松久はまだ退学にならないの?」とか冗談半分に聞いてきます(笑)。これからっていうのは……PSPやDSが元気だということもあるんですが、規模の小さめなゲームがやっとまたリリースできる環境になったと思うんです。だから大事なのはファミコン時代のように企画のできるプログラマーなんじゃないかと。そういった意味だと松久君はまさに企画のできるプログラマーなんで、あとはデザイナーとサウンドの人と組ませればそれだけでプロットはできてしまいますからね。

―― そうですね。これから求められる作品って、手軽でアイディアで楽しめる作品のような気がします。

世永氏:
 最近みんなゲームをプレイしなくなっているというのは値段とかの問題じゃなくて、僕は時間だと思うんですよね。『バトスタ』などでは友達同士で集まってプレイするのとソロでプレイするのを考えていて、ソロではチケットを貯めて、友達が集まったらそのチケットを使ってわーっと戦って、チケットがなくなったら帰るとかね。たとえば『Every Extend Extra』だったら会社や学校の行き帰りだったりトイレの中だったりお風呂の中だったり……5分10分あったらプレイできる。そういう意味では、自分がこういうゲームがあったらなぁと考えて作ってみたという感じですね。

―― では最後になりますが期待しているユーザーさんにメッセージをお願いします。

世永氏:
 現時点で『Every Extend Extra』に注目してくれている人たちは弊社が出したゲームを好きな人か、『Every Extend』をプレイした人が多いと思います。そのどちらもが満足できる内容に仕上がったと思います。PC体験版やPlayStation®Spotで配信されている体験版などもありますので、とにかく一度遊んでもらえるとありがたいです。そして、PC体験版やPlayStation®Spotで配信されている体験版よりも製品版は、その10倍以上いいものになっていますので、気に入ったらぜひ購入してみてください。

松久氏:
 『Every Extend Extra』はオリジナルに加えて音楽が非常によくなっています。音楽の連動など、フィーリングを楽しんでほしいです。あと何気にスゴイのが対戦モードなんです。ぜひ2人で遊んでみてください。

世永氏:
 そうそう、対戦はまた別の面白さになっていて、『Every Extend Extra』の新作みたいな感じですよ!

―― 確かにルールがまったく違いますね。モードが違うだけでこんなに変わるのかと驚きました。

世永氏:
 追い込みの時期にスタッフすらハマってしまったモードですからね。

 今回の記事を通して、『Every Extend Extra』に興味をもった方は、パソコンでプレイできる体験版を配布しているので、ぜひさわってみて頂きたい。また現在、豪華賞品が用意されているスコアランキングも実施中!上位に食い込まなくても、プレゼントをゲットするチャンスがあるので、チャレンジして頂きたい。

(C)Q ENTERTAIMENT,Inc.
 
 
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