クリエイターズファイル  
「空想しながら描く」『ウイイレタクティクス』形部さん
2007.04.16
   
[「too much monkey business」形部一平さん公式サイト]
 
adidas, the adidas logo, the trefoil logo, FEVERNOVA, the trigon logo and the 3-Stripes mark are registered trade marks which are owned by the adidas-Salomon Group, used with permission. the use of real player names and likenesses is authorised by FIFPro and its member associations. (C)2003 KONAMI & Konami Computer Entertainment TokyoIllustration by IPPEI GYOUBU

第268回

形部一平さん

 今回のクリエイターズファイルのゲストは、『Jリーグ ウイニングイレブン タクティクス』のパッケージデザインとオープニングムービーに携わられたイラストレーターの形部一平さんです。adidas Japanや、コカ・コーラ商品のパッケージデザインなど幅広く活躍される形部さん。『Jリーグ ウイニングイレブン タクティクス』のパッケージデザイン時に経験されたジーコ元サッカー日本代表監督とのエピソードなど、今だから話せるお話をたくさんお聞きしています。それでは、早速伺っていきましょう。


最初に、これまでの職歴、そして現在携わっているお仕事を教えてください。


形部氏:
 大学卒業後SNKに入社、サムライスピリッツチームに配属になりました。当時、開発がスタートしたばかりの『SAMURAI SPIRITS ~侍魂~』の開発を経て、ドリームキャストの『Cool Cool Toon』というタイトルのキャラクタデザインを担当しました。その後、イラストレーターとして独立、広告等のお仕事を中心に活動して5年が経ちます。
  独立後の仕事にはadidas Japanの広告、ソニー「ウォークマン」のデザイン、コカ・コーラ「ドクターペッパー」の2005年パッケージデザイン等があります。ゲームでは2004年にコナミ『Jリーグ ウイニングイレブン タクティクス』のパッケージデザイン&オープニングムービーのキャラクタデザインを担当しました。
  そして、現在はアメリカのニコロデオン(※児童向け番組専門のケーブルテレビチャンネル)と「アキハバラ@DEEP」のアニメ化に向けてキャラクタデザインを担当し、映像、広告等、いろいろやらせていただいております。

 この仕事をするきっかけになったのは、就職活動時にある人と出会ったことですね。
  高校、大学と芸術系の学校に進学しました。就職活動を始めたとき、風潮として広告のグラフィックデザイナーに進路を決める仲間が多く、僕も何となくそちらの方向で考えていました。しかし、そのときに作っていたポートフォリオはイラストレーションばかりでして、今考えるとトンチンカンなことをしていたなあ、と思います。
  ところが、それが幸いして妙なきっかけが生まれました。従業員2名の小さな広告制作会社をグラフィック志望で受けたのですが、そこの社長さんが「うちよりもまず、ここ受けてみたら」とSNKの入社案内チラシをくれたのです。結局はあの社長さんがいなかったら違う仕事を選んでいたと思います。そういうはっきりとした分岐点が僕には度々、あるようです。



前回ご登場いただいた、楠本さんとのお付き合いの中で、面白いエピソードなどがありましたらお聞かせ下さい。



形部氏:
 楠本さんには『Cool Cool Toon』のキャラデザインを担当していた時、パッケージや広告制作で大変お世話になりました。
  同時期に開催された東京ゲームショウでのエピソードなのですが、SNKもブースを出展したんです。SNKブースは『Cool Cool Toon』をメインに打ち出したものでした。実はその頃、会社が微妙な状態だったのですが、それにもかかわらず、楠本さんには舞台やコンパニオンの衣装デザイン等、かなり遊ばせていただいたのが印象的です。また、僕がフリーになる前、会社にいながらもマンガの仕事を個人的に受けることをサポートしてくれたり、独立に向けてすごく前向きな流れを作っていただきました。



これまで、自分の仕事に影響を与えた出来事、大きな転機となった出来事などはありましたでしょうか。また、これまで形部さんが携わってきた作品の中で、特に思い入れが深い作品をいくつか挙げてください。


形部氏:
 先程も言いましたが、人との出会いが進路を大きく変えることがしばしばあります。初めは仕事の依頼をいただく関係ですが、彼らが僕に意外性を求めてくれることによって、僕も自分の方向性を確認できるような、そういう関係が理想的だと思います。その上で完成した仕事は自分にとって転機となりえます。
  『Cool Cool Toon』の仕事は今考えるとかなり好き勝手やらせてもらえましたし、初期のマンガの仕事は自分の世界を自分で認識することに役立ちました。そして、adidasとの仕事はその後の方向性を決定づけたと言えます。大阪のFMラジオ「FM802」との仕事や、ウォークマンとドクターペッパーのアートワークは今に続く世界観が出来た気がします。こうやって時折、転機となる仕事があり、それには必ず人との出会いがあります。

 印象に残っている作品は『Jリーグ ウイニングイレブン タクティクス』ですね。
  フリーになってから参加したゲームのタイトルはこのタイトルのみなのですが、このパッケージに当時代表監督だったジーコをイラスト化して入れようということになり、実はこれで大変苦労しました。
  他キャラクタと合わせる形でディフォルメしていましたが、案外ジーコのチェックが厳しく、スケッチブック一冊をほとんどジーコで埋めてしまいました。
  このタイトルではオープニングムービーを担当していた3DCG制作スタジオ「ポリゴン・ピクチュアズ」から、「アキハバラ@DEEP」アニメーションの企画でご一緒させていただくという縁も生まれています。



それでは、自分がプレイしたことのあるゲームの中で、「名作」と呼ぶべきゲーム作品を1タイトル挙げるとすれば何ですか? また、これまでのお仕事の中で、“これは良い”と感じたアイディアが浮かんだ瞬間はどんなときなのでしょうか?


形部氏:
  名作を1タイトル挙げるのなら、カプコンの『ソンソン』です。僕が最初にハマったゲームです。
  当時小学4年生くらいだったと思います。ゲームセンターの雰囲気にビビりながらも、スーパーの屋上などでプレイしていました。ノリのいい音楽やキャラクタやフルーツの瑞々しい独特のドット絵、その頃のカプコンのゲームはとにかく個性的に見えました。しかもお金が無いから1プレイの比重が大きい!

 アイディアですか? 僕はお仕事をしている時、その依頼内容以外の発展も空想しながらキャラクタを考えたり、イラストを描いたりするのが基本です。ですから、大体が「これは良い」と自分のアイディアに興奮しながら絵を描いています。そして、絵と共に簡単なストーリーやキャラクタ設定を頼まれてもいないのに添付したりします。例えば、adidasのお仕事では当初「adidasマンガフィーバー」という本でのみの展開でしたが、僕がかなり広告を意識した為なのか、その後、雑誌広告やadidasの店頭ポスター、Tシャツ、マンガフィーバー限定版BOXへと発展しました。そして、TVCMでの映像展開を意識したのが功を奏したのか、『Jリーグ ウイニングイレブン タクティクス』のムービーに発展しました。…偶然かも知れませんが。



「こんなゲームをつくりたい」「こんなゲームで遊んでみたい」など、今後のゲーム・エンタテイメント業界におけるご自身の展望や、業界全体への希望などをお聞かせ下さい。そして最後に、今後ゲーム業界を目指している読者へ向けてメッセージをお願いします。


形部氏:
 僕はゲーム業界とは多少畑違いになってしまったのですが、未だにゲームが完成した時の感動を忘れられないところがあります。壮大なRPGやシンプルなアクション等、キャラクタデザインでがっつり自分の世界を表現してみたいとつねづね思っています。
  個人的には久々に作品の展示をやりたいと思っていますが、腰が引けていたりもします。

 みなさんへのメッセージといっても、やはり僕はキャリア的にゲーム業界について語る資格はないと思うので、とにかくまずは僕のほうこそがんばらないといけませんね。今後も何かとがんばりますのでどうぞよろしくお願いします。ホームページ(http://www.gyoubu.com/)も是非チェックしてみてください。


 作品を描く時は望まれている以上のことを空想しながら描くという形部さん。言われた以上のことを生み出すことができるクリエイターだからこそ、様々なジャンルで活躍されることができるのでしょう。まだまだたくさんのお話をお伺いしたいところですが、今回はここまでです。それでは、次回のお友達を紹介していただきましょう。



形部氏:
 カプコンの大黒健二さんを紹介します。 元会社の先輩です。当時からきれる才能の持ち主で、この人はいつかすごいことになると思っていました。そしたらやっぱりすごかったです。


『鬼武者』シリーズ、『ロスト プラネット エクストリーム コンディション』などに携わられた大黒さん。一体、どのようなお話をお伺いすることができるのでしょうか。次回もお楽しみに。それでは、形部さん。今回は本当にありがとうございました。

■ゲームクリエイターのとっておきの話が聞ける!
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