第256回 春山 和則さん
今回のクリエイターズファイルのゲストは『ナムコ クロス カプコン』『ライトニングレジェンド』といった作品に携わられてきた春山和則さんです。ゲームのキャラクタデザインや、フィギュアのポーズ設計、小説の挿絵など様々な分野で活躍されている春山さん。ゲーム業界に入るきっかけとなった出来事や『ナムコ クロス カプコン』の思い出など、様々なお話をお聞きしています。それでは、早速伺っていきましょう。
春山氏: コナミに入社して、PS『ライトニングレジェンド』、PS『武戯』、GBA『ムゲンボーグ』などに主にキャラクタデザインに関わりました。その後フリーになりPS2『ナムコ クロス カプコン』の会話グラフィックを担当しました。 現在はゲームだけでなく、ガチャガチャフィギュアのポーズ設計や、小説の挿絵なども手がけています。いくつか企画にも参加していますので、順調にいけば今年何か発表出来るものがあるかもしれません。
中学生の頃、友人が落書きしているのを見て、自分もそれに付き合っているうちに徐々に描くことにはまっていったことが絵を描き始めたきっかけですね。ゲーム制作に興味を持ったのは、高校の頃X1-Turboというパソコンに、『グラディウス』の音楽カセットに付いていた楽譜を見ながら打ち込み、PSG音源で鳴らして遊んでいたことです。 その後、打ち込んだ音楽に合わせてドット絵でキャラクタを動かしたりして作ることの楽しさを知りました。ただその頃は、絵ではなくて『イース』や『ドラゴンクエスト』などの音楽ばかり打ち込んでいましたね。 実際に絵関係の仕事を意識したのは、高校の進路相談の頃です。大学に行くなら天文学科のある所にと思って調べてみたら、自分の学力で行けるような大学はありませんでした。となると、次にやりたいことと言ったらアニメかゲームかなと。 その後、アニメ業界ではなくゲーム業界を選択したのですが、その理由の1つに、自分にはアニメーターは出来そうにないと思う出来事がありました。私の古くからの友人に、「交響詩篇エウレカセブン」「コードギアス 反逆のルルーシュ」のメインアニメーター中田栄治氏がいるのです。高校時代、彼が黒板にロボットを爪先から描きだして頭までしっかりと素早く描き上げていました。それも勇者シリーズの決めポーズみたいな感じの格好いいポーズで。迷い線も殆ど見られませんでした。その絵を見て「ああ、アニメーターっていうのはここまでの実力がある人がなるんだろうな」って思いました。逆に私は、今でもそうなのですが迷い線ばかりでスピードも遅かったので駄目だろうなと。コナミ入社前に、東映動画(現東映アニメーション)にいたことがありますが長続きはしなかったです。
前回ご登場いただいた、斉藤さんとのお付き合いの中で、 面白いエピソードなどがありましたらお聞かせ下さい。
春山氏: 斉藤さんとは『ナムコ クロス カプコン』でご一緒したのですが、初めて見た資料が斉藤さんの描いたバトルグラフィックの原画でした。それは普通にアニメーションしているのではなく、キャラクタの上半身、下半身、腕などが分割されて、プログラム処理的に便利なように描かれていた。ですので、「よくこんがらがらずに描けるなぁ」と感心しました。また、斉藤さんのデザインした小牟(シャオムゥ)のを見て、「こいつは極上じゃぜ」と思いましたね。
春山氏: まずは『ライトニングレジェンド』ですね。PS初期の作品で、ポリゴンで作られるキャラクタにリアル志向のものが多い中、可愛いキャラに挑戦してみようかという感じでスタートしました。処理速度や当たり判定など格闘ゲームに重要なことをちょっと犠牲にして、ロングヘアの女の子・まん丸の動物・宙に浮く敵などを作りました。見た目的にやりたいことは実現できたと思います。格闘ゲームとしては「いろもの的」な内容の作品ですが、発売から10年経った今でも知っていて下さる方がいるのが嬉しいです。 また、フリーになって最初に関わった作品『ナムコ クロス カプコン』も印象深いです。 有名キャラクタ達、特に個人的に大好きなトロン・ボーンを描けるという、そんな嬉しさとプレッシャーを常に感じながら作業を進めました。作業終了後は自分の力不足を感じた方が大きかったですね。でも、「ゲームを作っている」という楽しい感覚を味わうことが出来ました。
名作といえば『ロードランナー』やファミリーコンピュータの『ゴルフ』など色々ありますが、今回挙げたいのは『トゥームレイダー』です。 限られた空間の中を隅々まで探索して、奥への道を発見する感覚がたまりません。そして、奥へ奥へと進んでいくうちに、奇っ怪な生物が現れ始め「来てはいけない所に来てしまった、どうしよう」という雰囲気が良かったです。
春山氏: 『ムゲンボーグ』のオープニングムービー製作時のエピソードなのですが、この作品には元々ムービーを入れる予定も時間も無かったんです。ですが、せっかく格好いい曲があるのに、一枚の絵だけでオープニングを終わらせるのも勿体ないと思い、それまでに作られた絵素材などを駆使しました。1枚絵を動いているように見せたり、ロボットアニメのオープニングのようにストーリ性を持たせてみたり、1人で2日くらいかけて作ってました。こういった「有り物」や「制限付き」の素材を組み上げるひらめきも一種のアイディアかなと思います。
春山氏: 遊ぶなら暇つぶしに使えるゲームがいいですね。5分くらいでも遊べちゃうような。 内容も、「落下速度の遅い『テトリス』」を延々遊ぶような単純単調なものが良いです。ただ市場として需要はなさそうですが…。 作ってみたいのはホラー。遊んでいて怖くなるならゲームジャンルはRPGでもアクションでも何でもよいです。 自分の左右にモニタを置いたりして、視界の端に「何かが見えた気がする!」なんて遊びが出来たら面白いかもしれないですね。「気のせいシステム」という感じで。 また、現在せっかくフリーの状態ですので、ゲームに限らず他のメディアにも参加してみたいという気持ちもあります。
作品作りにおいて大切なのは、チームメンバーとの会話でしょうか。その中でも特に違った業種、例えばデザイナーだったらプログラマーとの会話が大切です。デザイナーがやりたいことでも、プログラム上出来ないことがあったりします。 でも、なぜ出来ないのかプログラムの構造を知れば、もしかしたらそれをうまく回避する方法が見つかるかもしれません。ゲーム作りをしていると、制約に縛られることは当たり前のようにあります。でも、各セクション間で協力し、制約を回避するアイディアを出すこともゲーム作りの面白い所だと思います。 また、私自身が心がけていることは、作品に対して愛のない批判をしないことでしょうか。近年はネットの普及で気軽に発言できるようになり、ファンの方々と接する機会も増えてきました。そんな中で制作者自らが作品を罵倒してしまってはいけないと思います。世に出てしまったら作品はファンのものです。その好きでいてくれるファンを落胆させてしまうような発言は、公の場では控えるべきかなと思います。
新作をいつ発表できるかはまだ分かりませんが、いろいろ企んでいます ので楽しみにしていて下さいませ。
自分の作品であっても、愛の無い批判はしないという春山さん。自身の作品のファンを大切にするという心使いが、描く作品へのクオリティアップに繋がっていくのではないでしょうか。まだまだたくさんのお話をお伺いしたいところですが今回はここまでです。それでは、次回のお友達を紹介していただきましょう。
春山氏: 東野美紀さんを紹介します。 私がゲーム制作に興味をもったきっかけである『グラディウス』の作曲をした方です。この音楽が無かったらゲーム業界にいなかったかもしれません。
『グラディウス』『幻想水滸伝』など、様々な作品に携わられてきた東野さん。一体、どのようなお話をお伺いすることができるのでしょうか。次回もお楽しみに。それでは春山さん、今回は本当にありがとうございました。
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