クリエイターズファイル  
「色んな遊び、楽しみを体験して」『ヤンガス』水崎さん
2006.11.13
[『ドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョン』メインページ]
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第248回
神風動画
水崎淳平さん

 今回のクリエイターズファイルのゲストは『ロックマンXコマンドミッション』『ステラデウス』『ドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョン』など、様々な作品のムービーを手掛ける神風動画の代表取締役・水崎淳平さんです。アニメーションを用いて様々なことを表現したいとおっしゃる水崎さん。そんな水崎さんが、アニメを仕事にするきっかけとなったのは、ある2人のクリエイターの作品を見たことだとか。果たして、水崎さんが目標とするそのクリエイターとは誰なのでしょうか? それでは、早速お話をお伺いしていきましょう。


最初に、これまでの職歴、現在携わっているお仕事を簡単で結構ですので教えてください。また、水崎さんが現在のお仕事に就く決心をしたのはいつ頃、どんなことがきっかけでしたか? その時のエピソードなどと合わせてお聞かせ下さい。


 

水崎氏:
 大学を出て京都にいた頃は、任天堂のプロジェクトスタッフとして『ポケモンスタジアム』『ポケモンスタジアム2』の開発に携わりました。
  その後上京し、アニメーション制作業へ転身。吉祥寺にあるスタジオ4℃に入り、短編やCM、PVを中心にCGアニメーター・ディレクターとしてやってました。
  2002年に「神風動画」を立ち上げ独立し、映画、PV、ゲーム映像など幅広くやっています。

 神風動画として関わったゲーム映像は『ブレスオブファイアV ドラゴンクォーター』『ロックマンX7』『ロックマンX8』『ロックマンXコマンドミッション』『ステラデウス』『ブレイドダンサー 千年の約束』『ドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョン』などです。また、まだお話することができないのですが、現在未発表タイトルも3本ほどあります。
  ゲーム以外の作品では松本大洋さんの原作コミックスをプロモ化した「ナンバーファイブ 吾」、Mr.Childrenのコンサート用映像「Mr.Childrenツアー シフクノオト」、乙一さん原作の短編小説を映画化した「ZOO」、ミュージシャンHIFANAのプロモーションビデオで文化庁メディア芸術祭で優秀賞を受賞した「HIFANA~WAMONO~」、Mr.Childrenの桜井和寿さんと、MC-GAKUさんのコラボ曲のPV「手を出すな!」、大友克洋さん原案のOVAのオープニング「FREEDOM」など手掛けました。
  現在はセガの「甲虫王者ムシキング」の劇場映画を監督しています。

 アニメーションを作るキッカケになった出来事は2つあります。
  ひとつめは、大友克洋さんの「AKIRA(劇場映画)」を見たことです。この映画でアニメーションに対するそれまでの意識がガラッと変わってしまいました。
  ふたつめは、森本晃司さんが製作したテクノミュージシャン・ケンイシイさんのPV「EXTRA」を見たことです。むちゃくちゃカッコイイアニメーションなんですが、アニメーションでプロモーションをやっている、というのがものすごく斬新でインパクトがありました。これを見てアニメーションで開拓できそうな新しい方向性が見えた気がしました。自分もこれらの作家に続こう、と思ったのがアニメーションを始めた最大のキッカケです。

 


前回ご登場いただいた、副島さんとのお付き合いの中で、面白いエピソードなどがありましたらお聞かせ下さい。



水崎氏:
 『ステラデウス』の時のエピソードなのですが、副島さんからまずお話をいただいた時点では、神風動画も会社になっておらず、個人事業でした。東京のちょっと離れた位置にある住宅街に一軒家を借りて自宅兼事務所としてやってたのですが、その家がすごくボロくて、副島さんをはじめとしたアトラスの方が打ち合わせに来て驚いていたのを覚えています。あまりにも仕事場に見えないような家だったためか、場所が見つからず、ずっと外で迷ってらっしゃるのを携帯電話でナビゲートしたりして。『ステラデウス』の作業期間中にマンションに引越しをしたのですが、よくもまあ、あのボロ屋のスタジオにお仕事を出してくださったなあと今でも感謝しています。



これまで、自分の仕事に影響を与えた出来事、大きな転機となった出来事などはありましたでしょうか。また、これまでのお仕事の中で、“これは良い”と感じたアイディアが浮かんだ瞬間は、どんなときでしたか?


  水崎氏:
 転機となったのは、自分の作品がコンテストで賞をいただいたことです。
  まだ本格的にアニメーションを仕事にしようと考える前、3DCGでグラフィックを作るだけのフリーとしての仕事だけやってました。
  たまたま時間に余裕のあった時、実験的に3DCG素材でもっと個性ある絵柄を作れないのかと考え、色々と素材をいじり回してた時期があって、セル的な絵柄のメカがゴチャゴチャと密集するようなタイポグラフィックアニメーションを作ってみたのです。それが「WavyAward99」というコンテストで最優秀賞をいただきました。それが転機だったと思います。
  他にも作ったアニメーション作品がソニーのDigitalEntartainmentProgramというコンテストに入選したり。それらの作品自体は大友さんや森本さんに影響されまくった作風だったのですが、今の自分に繋がるひとつの自信になったのかもしれません。

 アイディアが浮かぶのは机の前に居ない時のほうが多いですね。首都高速道路とかを運転している時にいいアイディアが出ます。
  きっと作業中には使わない部分の脳にいいアイディアが入っているのかもしれません。 運転に絡む話としてアイディアとはちょっと違う話になるかもしれませんが、『マリオカート』の不屈の精神が仕事に役に立っていたりはします。
  『マリオカート』ってガクッと順位が落ちても、コツコツと走っているといつの間にか1位になってたりするんです。その「あせらず継続すればいつかはいい位置に戻ってくる」という構造が自分が仕事をする上でとても励みになってますね。
  仕事のトラブルなどで出遅れても、そこでめげずに毎日毎日コツコツ進めていくといつしか余裕が出ているという、「ウサギと亀」的なあれです。やばい!と感じても『マリオカート』の精神で「丁寧に丁寧に運転していこう」と念じると冷静になれたりしますね。

 


それでは、自分がプレイしたことのあるゲームの中で、「名作」と呼ぶべきゲーム作品を1タイトル挙げるとすれば何ですか?また、これまで水崎さんが携わってきた作品の中で、特に思い入れが深い作品をいくつか挙げてください。


水崎氏:
 名作として挙げるのは、ニンテンドウ64の『ゼルダの伝説 時のオカリナ』ですね。
  相当な時間をあの世界の中で過ごしました。ハイラルを散歩するだけでも楽しかったですし、特に楽しかったのが「釣り」です。釣りのイベントが終わってもずーっと釣りやってました。特別なおもりでドジョウとか釣ったりして。いまからもうWii版『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』の釣りが楽しみでしかたありません。やりすぎて仕事に悪影響が出ないか心配です。

 思い入れが深い作品はいくつかあります。
  『ブレスオブファイアV ドラゴンクォーター』は初めて手掛けたゲーム作品ということもあってかなりの苦労がありましたが、そのぶんの思い入れは強いです。カプコンのデザイナー吉川さんのこだわりが炸裂し、プロの世界のハードルの高さに初めて触れた仕事です。
  あと、副島さんとの『ステラデウス』も、副島さんの描くキャラのハードルが高く、なかなかムービーの方向性がキャラデザインに届かず、最後まで課題が残ってしまったような感じがあります。
  最近では『ドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョン』が印象的です。
  『ドラゴンクエスト』は第一作目からずっと遊んでおり、堀井雄二さんの大ファンだったのもあり、自分なりに『ドラゴンクエスト』のアニメーションを表現できただけでも感動でした。鳥山明先生のコミックスの雰囲気を維持したまま動かし、そこにすぎやまこういち先生の音楽が流れ、八奈見乗児さんのナレーションがのるという、「ドラクエ&ドラゴンボール世代」としては実に興奮冷めやらぬ貴重な体験でした。

 


「こんなゲームをつくりたい」「こんなゲームで遊んでみたい」など、今後のゲーム・エンタテイメント業界におけるご自身の展望や、業界全体への希望などをお聞かせ下さい。そして最後に、今後ゲーム業界を目指している読者へ向けて、作品作りにおいて一番大切だと思うこと、作品を世に送り出すにあたって心がけていることをお聞かせ下さい。


  水崎氏:
 自分は作り手としてはアニメーション屋さんになりますので、作りたいゲームではなく遊んでみたいゲームの話になりますが、とにかく今は任天堂さんの「Wii」がどういうものなのかで心はいっぱいですね。
  ニンテンドウ64の『ゼルダ』の釣りもそうですが、やはり手ごたえを感じる遊びにはとても興味があります。
  また携帯ゲーム機も好きでニンテンドーDSとかしょっちゅう持ち歩いているんですが、カートリッジの抜き差しが必要なくなるといいなあなんて考えてたりします。毎日ちょっとずつ遊びたいゲームが色々あるのでいっぺんに何本もカートリッジがささるDSが欲しいですね。
  個人の目標としては、これまでの仕事では短編的な作品しか作ってこられなかったので、この先は長編でもいいクオリティーの映像を出せるようにしたいと考えています。
  現在取り掛かっている「甲虫王者ムシキング」が初の長編劇場監督作になるのですが、まずここで何かをつかんで次に繋げることが重要だと考えています。

 僕自身はアニメーション監督というのが本業なのですが、娯楽を提供するという共通点から言えることは「色んな経験値による表現の引き出し」がある人ほど楽しませるモノ造りができるのではないかと考えています。
  ありがちな意見かもしれませんが、ゲーム作りというのは他人に楽しく遊んでもらうためのサービス業だと思うのです。作り手を目指すのであれば自分自身が色んな遊びや楽しみを知っていることが重要なのではないでしょうか。

 神風動画は常に全力を注いでアニメーションを作っています。ゲームに入るアニメーションにおいても、ゲームと連動して楽しんでもらえるような工夫を意識して盛り込んでいますので、ここはスキップボタンで飛ばさずにぜひ見てください!

 

人を楽しませるためには自分が遊びや楽しみを体験することが大切とおっしゃる水崎さん。実体験から生み出される作品だからこそ、よりリアリティのある楽しみを提供することができるのでしょう。まだまだたくさんのお話をお伺いしたいところですが、今回はここまでです。それでは、次回のお友達を紹介していただきましょう。



  水崎氏:
  キャビアの浅尾祥正さんを紹介します。
  自身の作ろうとする目標へのぶれが無く、打ち合わせでも惜しまずに丁寧な説明や対応で接してくれる姿がシブカッコイイ。そんな1973年生まれの同学年ディレクターさんです。ちなみに、アトラスの副島さんも同学年です。


 

『ドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョン』のディレクターを務めた浅尾さん。一体どのようなお話をお伺いすることができるのでしょうか? 次回もお楽しみに。それでは水崎さん、今回は本当にありがとうございました。

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