今回のクリエイターズファイルのゲストは、『ドラッグ オン ドラグーン』『プロジェクト シルフィード』といった数多くの作品のムービーを手掛けているアニマの笹原和也さんです。大学時代、自分が何をしていいかわからずにいた頃、出会ったのが3DCGだという笹原さん。この出会いが、ゲーム業界を志すきっかけになったそうです。それでは、早速お話を伺っていきましょう。
笹原氏: 1997年の10月に「笹原組」という会社を設立し、2002年4月に「アニマ」に名称変更しました。会社設立以前では、エムケイ、東映アニメーションにお世話になりました。エムケイは、日本最初のCGプロダクションであるジャパン・コンピュータ・グラフィックス・ラボ(JCGL)の社長、金子満さんが作った会社です。ちなみに、金子さんは僕の大学の先生でした。 これまでにお手伝いさせていただいたゲームとしては、『忍道 戒』、『ヘビーメタルサンダー』、『ベルセルク 千年帝国の鷹(ミレニアム・ファルコン)篇 聖魔戦記の章』といった作品のムービーがあります。 最新作としては『プロジェクト シルフィード』のムービー監督を務めました。
僕が3DCGと初めて出会ったのは、1992年か1993年の時です。その頃の僕は、武蔵野美大の入学試験に合格したけれど、何をしていいのか全くわからずに、毎日サンドバックを蹴っていました。そんな大学2年生の時、金子先生の授業で、3DCGに出会ってしまったのです。 その後、3DCGのソフトに触れるようになって1週間ほどたった頃、「俺は世界一になれる!」と思いました。それが、この業界に入ったキッカケです。まだ世界一にはなれてませんが、我ながらなかなかおもしろい勘をしていると思っています。
これまで、自分の仕事に影響を与えた出来事、大きな転機となった出来事などはありましたでしょうか。
ゲームの中で名作といえばBlizzardの『WARCRAFET3』です。 PCゲームなのですが、このゲームのムービーは発売当時、世界最高峰の一つだったように思います。『ドラッグオンドラグーン』のムービーを作っている時は、「目指せ、『WARCRAFET3』」を合言葉に制作していた思い出があります。このゲームはいわゆるリアルタイムストラテジーというジャンルのゲームで、僕が知る中では、最も知性を問われるゲームだと思っています。だから、友人と対戦した際に、勝てばとてもハッピーな気分になれますが、負けるとすべてをぶち壊したくなる気分になります。ところが、僕はぜんぜん勝てないのです。このゲームに勝てないと、人間の能力として劣っているような気さえしてきます。そんなわけで、『ドラッグ オン ドラグーン』開発時からやってますが、いまだに飽きません。
「こんなゲームをつくりたい」「こんなゲームで遊んでみたい」など、今後のゲーム・エンタテイメント業界におけるご自身の展望や、業界全体への希望などをお聞かせ下さい。そして最後に、今後ゲーム業界を目指している読者へ向けて、作品作りにおいて一番大切だと思うこと、作品を世に送り出すにあたって心がけていることをお聞かせ下さい。
ゲーム業界に限らず、自分がなりたいと思う職業につくために、一番大事な才能は「気持ち」です。「私はこの仕事が好きだ」という気持ちが強いということは、絶対的に必要な才能です。好きでないものはいくらがんばっても無理なので、好きでないな、と気付いた時点で諦めましょう(笑)。 次に大事なのは、「私はこれをやり遂げる!」という強い意志です。ただ、それは思い込みでもいいのです。まずは「自分はこれが出来る」と思い込むこと。これがすべての原点だと思います。自分で「出来る」と思ったことは必ず実現します。根拠はありませんが、僕はそう信じています。 世に作品を送り出すための一番大事なことは、「計画性を持つこと」です。計画性がないと、いくらセンスや技術に優れていても、それが発揮されないことがたくさんあるんですよ。なんつって、面白みの無い話になってしまったので、もうすこし夢がある話をしましょう。 表現者として、一番大切に思うことは、「いかにユーザーの感情を揺さぶる表現をするか」だと思っています。好感でも嫌悪感でもいいので、とにかく強い感情を呼び起こさせるよう心がけています。主役級のキャラクタに対して、好きなら大好きになるような、嫌いなら大嫌いになるような、そんな作り方を目指しています。最終的には、見終わったユーザー、プレイし終わったユーザーが、「明日もがんばるぞ!」とか「夢はきっと叶うんだ!」と思えるような作品作りをしていきたいですね。
強い気持ちが一番の才能だとおっしゃる笹原さん。強い愛情、熱い情熱を持って生み出された作品だからこそ、人を感動させるものになるのでしょう。まだまだたくさんのお話をお伺いしたいところですが今回はここまでです。それでは、次回のお友達を紹介していただきましょう。
笹原氏: 『プロジェクト シルフィード』のプロデューサーであるスクウェア・エニックスの山口海渡さんを紹介します。
スクウェア・エニックスとして初めてのシューティングゲームとなる『プロジェクト シルフィード』を手掛ける山口さん。一体どのようなお話をお伺いできるのでしょうか? 次回もお楽しみに。それでは笹原さん、今回はありがとうございました。