今回のゲストは『夢幻戦士ヴァリス』『アランドラ』『トルネコの大冒険3』など、数多くの作品でプログラミングを担当されてきたチュンソフトの山本雅康さんです。決まっていた大学への進学を蹴り、ゲーム業界に飛び込まれたという山本さん。プログラマーとして長年第一線で活躍されている山本さんが、ゲーム製作において大切にしていることとは? それでは、早速お話を伺っていきましょう。
山本氏: 最初に、日本テレネットという会社に入社しました。シャープX1、PC88SR、MSXなどが主流の時代。芸能界では、「おにゃんこクラブ」「光GENJI」などが流行っていたころですね。 日本テレネットではシャープX1、PC88SRなど向けの『夢幻戦士ヴァリス』『エグザイル 破戒の偶像』といったテレネット初期のゲームを手がけていました。そこで7~8年ほどお世話になり、その後、クライマックスと言う会社に移籍、『RUNABOUT』というプレイステーションのカーアクションゲームを手がけました。 そしてマトリックスという会社に移籍し、『アランドラ』『アランドラ2 魔進化の謎』といったタイトルを手がけました。マトリックス時代にチュンソフトの外注として、『トルネコの大冒険2』『トルネコの大冒険3』などを手がけ、その後しばらくフリーランスとして細かい仕事を請け負っていましたが、いまはチュンソフトに社員としてお世話になっています。 現在は『不思議のダンジョン 風来のシレンDS(仮称)』のプログラム作業を手がけています。
ゲーム業界に入るきっかけは高校3年生のときの出来事ですね。推薦で大学を受験して合格したのですが、私の当時通っていた高校は進学校で、受験前の秋から冬にかけては授業などすべて受験スケジュールにあわせてしまうため、推薦で進学が決まると暇な時間ができてしまうのです。それでアルバイトでもしようと思い、日本テレネットにアルバイトに行くことになったんです。そして、そのまま推薦で受かった大学にも行かず、日本テレネットに入社することになってしまいました。 そのときは出身高校、大学、両親などみんな巻き込んで退学だの入社だのと大騒ぎになって大変でした。あのころはゲームの仕事などほとんど無かった時期でして、ムリしてでも一山当ててやろうと、結構野心がありましたね。今でも出身高校の方々はじめ当時の関係者の方々には申し訳なく思っています。
大学進学を蹴ってまでゲーム業界で働くことを選ばれたというのは、やはりゲームを作るという仕事が山本さんの天職だったからなのでしょうね。最初に就職された日本テレネットでは、前回登場された小田桐さんと一緒にお仕事をされたことがあったそうですが。
技術面で影響を受けたのはテレネット時代にメガドライブ版の『イースIII ~ワンダラーズ フロム イース~』の仕事をしたときです。ファルコムからPC88SR版のプログラムソースを参考に見せていただいたのですが、一目見てスゴイと思いましたね。今でもプログラムデザインなどはその時に得たものをベースにしてやっています。
それでは、今後のゲーム・エンタテイメント業界におけるご自身の展望や、業界全体への希望などをお聞かせ下さい。そして最後に、今後ゲーム業界を目指している読者へ向けて、作品作りにおいて一番大切だと思うこと、作品を世に送り出すにあたって心がけていることをお聞かせ下さい。
ゲームプログラミングにおいて大切なことはいくつかあります。まず、開発手順、プログラムコードの美しさなどより、ユーザーに対する部分の完成度を重視してください。面白いゲームには必ずしも高技術は必要ない、簡単な技術で実現できるなら出来るだけ簡単に実現するべきです。また、手を抜くと後になって必ず自分に返ってくる。結局、ゲームを作るというのは人間同士の仕事なので、仕事仲間との関係を大事にすることも大切です。仲間内で「つまらない」人間が、赤の他人のゲームユーザーを楽しませることなど不可能なはずですから。
見た目の美しさや高度な技術を使うのにこだわるのではなく、プレイヤーが触れる部分の完成度を高く保つことが大切だとおっしゃる山本さん。プレイヤーを第一とした考え方があるからこそ、長年に渡って楽しまれるゲームが生まれていくのでしょう。さて、そろそろお時間になってしまいました。それでは、次回のお友達の紹介をお願いします。
山本氏: 以前、私が在籍していたマトリックスの大堀康祐さんを紹介します。 10数年前、かつて私と同じ出身高校でありながら、『ゼビウス』日本一プレイヤーとして君臨、そしてプロゲーマーとしてTV出演などで一世を風靡、ゲーマーの先駆けとなって活躍されていました。
大堀さんは、PS2『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』や『トルネコの大冒険3』など数多くの作品に関わられてきたマトリックスの社長さんですね。一体、どのようなお話をお伺いすることが出来るのでしょうか、次回もお楽しみに。それでは山本さん。今回はありがとうございました。