Last Update:2006/05/01
週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!
>>第226回
クリーチャーズ
赤羽卓美さん

 今回のクリエイターズファイルのゲストには『MOTHER2 ギーグ の逆襲』(以下『MOTHER2』)『ポケットモンスター・カードゲーム』などの作品に携わられてきたクリーチャーズの赤羽卓美さんをお招きしています。もともとは雑誌の編集者をされていた赤羽さんでしたが、学生時代からの友人の誘いを受け、まったく畑違いの業界から、ゲームを開発する側に転身されたそうです。それでは、早速お話をお伺いしていきましょう。

(C)2006 Pokemon. (C)1995-2006 Nintendo/Creatures inc./GAME FREAK inc.
TM and (R) are trademarks of Nintendo,Creatures inc GAME FREAK inc.

最初に、これまでの職歴、現在携わっているお仕事を教えてください。

 

赤羽氏:
  エイプでスーパーファミコンの『MOTHER2』『モノポリー2』に、クリーチャーズでゲームボーイカラーの『ポケモンカードGB』『ポケモンカードGB2』に携わりました。ほかにも、トレーディングカードゲーム『ポケットモンスター・カードゲーム』(以下『ポケモンカード』)シリーズ、メンコゲーム『ポケモンパッチン』シリーズも手がけてきました。最新作は、『ポケモンカードゲーム』の拡張パック『きせきの結晶』になります。
  もうすぐ、『ポケモンカード』拡張パック『さいはての攻防』が発売される予定で、現在は『ポケモン』最新作のカードゲーム版を企画中です。

 この業界で働くきっかけは、あるゲーム雑誌の編集の仕事をしていたときに、学生時代の友人であり、当時エイプに在籍されていた三浦氏から「『Mother2』の仕事を手伝ってほしい」という電話がかかってきたことでした。編集部にはフラフラっと退職願いを出して転身をはかりました。

 


前回ご登場いただいた、吉田さんとのお付き合いの中で、面白いエピソードなどがありましたらお聞かせ下さい。



赤羽氏:
 吉田さんといえば、「おしえテレビのおにいさん」です。『ポケモンカード』のトレーナーカード(※)に登場いただいたのですが、そのときの写真撮影が良い思い出です。まぶしかったですね。

(※特殊効果を持つカード。ポケモンカードを場に出した際にあわせて使用することによって戦略の幅が大きく広がる)


これまで、自分の仕事に影響を与えた出来事、大きな転機となった出来事などはありましたでしょうか。また、これまで赤羽さんが携わってきた作品の中で、特に思い入れが深い作品を挙げてください。

  赤羽氏:
 大きな影響を受けたのは「Macintosh」との出会いですね。編集の仕事をしているときは「Macintosh」はアコガレだったのですが、ゲームの仕事するにあたってパートナーとなりました。コレと出会ったことでワークフォーマットががらりと変わりました。そして、生まれてはじめてのDTP(※)体験が『ポケモンカード』になったわけです。

 一方で、やっぱり思い入れが強いのは10年のつきあいになっている『ポケモンカード』ですね。対戦型のカードゲームなので、直接ユーザーと遊ぶことができて、そこからのフィードバックがとにかく面白い! 印象的だったのは、『ポケモンカード』の世界交流戦ですね。言葉をこえて、世界の子供たちがゲームでつながっている様子に、ゲームプロダクトのメディア性を強く感じました。

(※書籍、新聞などの編集に際して行う割り付けなどの作業をコンピュータ上で行い、プリンターで出力を行うこと)

 


それでは、自分がプレイしたことのあるゲームの中で、「名作」と呼ぶべきゲーム作品を挙げるとすれば何ですか? また、これまでのお仕事の中で、"これは良い"と感じたアイディアが浮かんだ経験があると思うのですが、それはどんなときでしたか?

  赤羽氏:
 これは難しい! 強いて挙げるとしたら、『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』と『キングス・フィールド2』ですかね。どちらの作品もとにかく、遊びとしてのアフォーダンスの魅力にあふれていました。

 「これは」というアイディアが生まれたのは『ポケモンバトルパッチン』を思いついたときですね。昔ながらのメンコをマウスパッドの上で遊んでいたときに、よくひっくりかえったんです。そこで、テーブルの上でそんなに力をいれずに、軽くできる遊びとして、パッドと連動するメンコゲームの仕様を思いつきました。それが、『ポケモンバトルパッチン』という商品シリーズになりました。6月末くらいには、このシリーズから派生した『ポケモンクルッパ!』という最新シリーズが発売となります。

 


「こんなゲームをつくりたい」「こんなゲームで遊んでみたい」など、今後のゲーム・エンタテイメント業界におけるご自身の展望や、業界全体への希望などをお聞かせ下さい。そして最後に、今後ゲーム業界を目指している読者へ向けて、作品作りにおいて一番大切だと思うこと、作品を世に送り出すにあたって心がけていることをお聞かせ下さい。


  赤羽氏:
 人間にとって遊びというのはとても重要なファクターです。ですので、時間を消費するだけのゲームではなく、消費した時間と質に見合うようにプレイヤーが成長していけるゲームを作りたいと考えています。
  それとは別に個人的には、世界の“聖域”と呼ばれている場所を巡ってみたいですね。

 ゲーム業界というのは、虚業の最たるものです。これが前提になります。ゲーム開発は、自分の体験がすべてを決定します。自分の背負ってきたものがすべてを支配します。ですので、アリストテレスの言葉でいうと、作品を作り出すには「テオリア(INPUT Editing:掘り起こせ!)「プラクシス(THOUTGHT Editing:突き詰めよ!)「オートポイエーシス(OUTPUT Editing:作り込め!)」の3つの概念が必要だと考えています。「虚」を「実」に変えられるかは、自分次第ということですね。

 それはそうと、2006年は『ポケモンカードゲーム』が誕生して、10年という節目の年になります。10年目の挑戦にご期待ください。

 


自分の想像を現実に変える力が大切とおっしゃる赤羽さん。自分の描いた夢を現実に変える努力をすることが何事にも大切なのでしょう。まだまだたくさんのお話をお伺いしたいところですが今回はここまでです。それでは、次回のお友達を紹介していただきましょう。


  赤羽氏:
 ジーニアスソノリティの三浦明彦さんを紹介します。『ポケモントローゼ』のディレクターさんです。
 

『MOTHER2』『ポケモントローゼ』などの作品に携わられてこられた三浦さん、一体どのようなお話をお伺いすることができるのでしょうか? 次回もお楽しみに。それでは赤羽さん、今回は本当にありがとうございました。