Last Update:2006/02/27
週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!
>>第218回
ガンバリオン
山倉千賀子さん

 今回のゲストは『ONEPIECE グラバト』シリーズや『JUMP SUPER STARS』などの作品を開発してきたガンバリオンの山倉千賀子さんです。若くしてゲーム開発会社を立ち上げられ、社長として舵取りをしてこられた山倉さん。設立当初は大変な苦労をされたとか。それでは、早速お話を伺っていきましょう。

(C) JUMP SUPER STARS プロジェクト
(C) 2005 Nintendo / GANBARION


最初に、これまでの職歴、現在携わっているお仕事を教えてください。また、山倉さんが現在のお仕事に就く決心をしたのはいつ頃、どんなことがきっかけでしたか? その時のエピソードなどと合わせてお聞かせ下さい。

  山倉さん:
 以前は、長崎のテクノソフトというソフトハウスで営業をやっていました。
その会社がゲームから撤退する事になり、当時の9名のスタッフとガンバリオンを1999年に設立しました。
今までの開発タイトルは週刊少年ジャンプで連載されているマンガ「ONEPIECE」を題材にした対戦アクションゲーム、『ONEPIECE グラバト』シリーズ(販売バンダイ)。これはシリーズで世界累計200万本以上出荷しました。その他にも、『あずまんがドンジャラ大王』(PS/販売バンダイ)、『バトローラーX』(GBA/販売バンダイ)、2005年夏に任天堂から発売された『JUMP SUPER STARS』(任天堂・ガンバリオン共同開発)があります。
私はゲームプロデューサーとして、全てのタイトルに関わっています。

 高校生の頃、ファミコンやパソコンのゲームを少し触ったんですが、好きとまでは行かなかったです。その後、ファミコンショップでアルバイトをするようになり、そこの店長を任されました。そこで実際にゲームを遊んでみて「ゲームを仕事にしたい」と思うようになったのがきっかけですね。
しばらくして、プレイステーションの登場を契機にゲーム流通の転換期になって、その時に自分も“売る側”から“作る側”に移ろうと考えて作り手側になりました。

 


前回ご登場いただいた宮迫さんとのお付き合いの中で、面白いエピソードなどがありましたらお聞かせ下さい。



山倉さん:
 いやもう、宮迫さん大好きです。システムソフト・アルファーLOVEです。
『大戦略』シリーズが大好きです。一方的に好きなんですね。わたしの方が。
そして、ピンチの時に必ず最初に電話するのが宮迫さんです。「○○なんです~。助けて~」って。
 宮迫さんは歴史のあるゲーム会社の方だけあって、振る舞いや発言が良い意味でとっても大人なので、いつも助けてもらっています! 福岡には「GFF」という近隣のゲーム会社数社が集まった任意団体があるんですが、コワいもの知らずの若輩者が多いGFFメンバーの中で、経験をもとにご指導くださる宮迫さんはGFFに欠かせない人なんです。
 そういえば以前、2軒隣に住んでたこともありました。引越しちゃいましたけど。


これまで、自分の仕事に影響を与えた出来事、大きな転機となった出来事などはありましたでしょうか。また、これまでのお仕事の中で、“これは良い”と感じたアイディアが浮かんだ瞬間は、どんなときでしたか?

  山倉さん:
 やっぱり会社設立が大きな転機でしょうか?今考えると無茶をしたなぁ~と(汗)。
嫁入り資金(苦笑)を全部会社設立へ投資したので、当時はすごく貧乏でした。設立手続きも本を買って全部自前で…。当時、夜はアルバイトとかやってしのいでましたよ。
 そして、今経営者になってみると色々大変な事が見えてきて、経営者の業みたいなものを学んでいる気がします。今現在もですが。
 でも、それ以上に「会社」と「社会」のつながりや、それに対して自分自身がやらねばならない事がハッキリしてきたと思います。

 自分はアイディアを出す側ではないので、ゲームの内容に関するひらめきは今まで無いです。ゲームプロデューサーとして最終チェックをする位で、現場指揮やゲーム性云々はディレクターに一任しています。
 なので、アイディアがひらめくとはちょっと違う話になるんですが、「現場にいないからこそ、見えてくるもの」があると思います。例えば「14型でビデオ出力だと、この文字は読めないよ!」とか「“デフォルト”じゃあ、このゲームをするターゲットはわからないよ!」とか。もちろん実際はこんな単純なレベルは、ほとんどは現場でクリンナップされているんですけど、やっぱり少しはもれる事があったりして、それを私がユーザーに近い立場で指摘する事が多いですね。…デバッグというのかな?
 作品に関わることはどちらかというと、企画作成からスケジュールや見積もり、人員確保などの最初の立ち上げの時の方が精力的に動いています。

 


それでは、自分がプレイしたことのあるゲームの中で、「名作」と呼ぶべきゲーム作品を1タイトル挙げるとすれば何ですか?また、これまで山倉さんが携わってきた作品の中で、特に思い入れが深い作品をいくつか挙げてください。

  山倉さん:
 『ゼルダの伝説』シリーズです。
 もうこれ無しにはゲームは語れないと思ってます。あのゲーム性、謎解き、操作感、リンクの動きやら臨場感やら演出やら脚本やらグラフィックやらがもう全てのアンバイがいい感じです。
 どれか1つが飛びぬけてたり、そこそこだったりするゲームが多い中で、あの絶妙なバランスは「遊び」として素晴らしいです。何も気にならない、遊びだけに純粋に集中できるのが一番凄いと思ってます。

 思い出深いのは、最初に開発した、いわば0番目の作品です。
記念すべき最初の作品だったのですが、諸事情でお蔵入りになってしまい、当時とても悲しかったです。もう二度とこんな思いはしたくない、と自分の力の無さを悔やみました。
 でもその後、初めて世に出したゲームが誰もが予想しなかったヒットを記録して、PlayStationアワードで50万本以上販売したタイトルに贈られるゴールドプライズを受賞した時は嬉しかったです!

   しかも2作品が一挙にゴールドプライズだったので、あの嬉しさは言葉には言い表せません。
 


それでは、今後挑戦してみたいことを教えてください。そして最後に、今後ゲーム業界を目指している読者へ向けて、作品作りにおいて一番大切だと思うこと、作品を世に送り出すにあたって心がけていることをお聞かせ下さい。


  山倉さん:
 壮大な野望として、先程述べた九州・福岡のゲーム会社でつくっている任意団体「GFF」にて、九州・福岡を「ゲームのハリウッド・ゲーム特区」にしようと色々とがんばっています! あと、ガンバリオンで社長ブログを書いていて、ブログをとおしてゲーム業界に入りたい人、興味ある人にむけての情報発信をしています。
 また、創業関連の支援や講演などもさせて頂いていまして、社会や地域への貢献も最近始めたばかりのところです。

 “ゲーム作りに大切なもの”として「最高の情熱」「最高の技術追求」「最大の思いやり」の3つをガンバリオンでは掲げています。これはゲーム作りに関わる全てのものに対してです。この3つをスタッフそれぞれが持つことによって、『スーパーマリオブラザース』のような「永く愛されるゲームをつくる会社へ」を目指しています。
 ガンバリオンがある九州・福岡には、GFF会員の会社をはじめとした沢山の元気なソフト会社があります! 将来ゲーム業界を目指している人には、都心以外にも選択肢がある事を覚えておいて欲しいですね。
 尚、先ほども言いましたが、わたくし山倉千賀子こと“やまちか”がゲーム会社ガンバリオン!女社長のBlogをやってます!
 残念ながら今発表できる新作はありませんが「ゲーム会社の実態」や「タメになる?」話がもり沢山、今のところ毎日更新中です(汗)ので、ぜひ一度お越しください!

 


「情熱」「技術」「思いやり」が大切だとおっしゃる山倉さん。スタッフ全員がその気持ちを持ち、一丸となった結果生まれるのが名作と呼ばれる作品なのでしょう。まだまだお話をお伺いしたいところですが今回はここまでです。それでは、次回のお友達を紹介していただきましょう。


  山倉さん:
 同じ福岡の開発会社の先輩にあたるサイバーコネクトツー、略してコネツーの松山洋さんを紹介します。
 とにかく熱い社長さんで、多分、このページでは収まりきれない程しゃべりまくる事は必至です(笑)。
 

『.hack』シリーズ、『ナルティメット』シリーズなどの開発に携わってきたサイバーコネクトツーの松山さん。一体どのようなお話をお伺いできるのでしょうか。次回もお楽しみに。それでは山倉さん、今回は本当にありがとうございました。