Last Update:2006/01/16
週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!
>>第212回
エンターブレイン
高山箕犀さん
 今回のゲストは『トゥルーラブ』シリーズ、『キミキス』でグラフィックを担当されている高山箕犀さんです。今だから話せる『トゥルーラブ』シリーズでのエピソードや、高山さんが今まで描いてきた一番のお気に入りキャラクタなどをお聞きしています。それでは、早速お話を伺っていきましょう。

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最初にこれまでの職歴、そして現在携わっているお仕事を教えてください。また、高山さんが現在のお仕事に就く決心をしたのはいつ頃、どんなことがきっかけでしたか? その時のエピソードなどと合わせてお聞かせ下さい。

  高山氏:
 大学の友人の紹介でビッツラボラトリーに入社し『トゥルー・ラブストーリー ~Remember my heart~』『トゥルーラブストーリー2』『トゥルーラブストーリーf』『トゥルーラブストーリー3』のグラフィックを担当。ビッツラボラトリー退社後、ゲームクラブに入社し『True Love Story Summer Days,and yet...』のグラフィック、現在はエンターブレインで『キミキス』のグラフィックを担当しています。

 この仕事についたきっかけですか? う~ん、父親がアーケードゲーム関連の仕事をしていたのも影響がありますが、はっきりと決心をしたのは中学時代にコナミのMSX黄金時代を体験した時でしょうか。MSXには本当に夢中になりました。その頃のエピソードなのですが、『沙羅曼蛇』を部屋の電気を消して、まる二日寝ずにプレイしたことがあるんです。プレイ中、突然ハドソンのJoypadが滑ることがやたらあったんですよ。おかしいな、と思い電気を付けたら親指の皮が向けてパッドが血まみれでした(笑)。
その時に改めて自分のゲーム馬鹿っぷりを確信しましたね…。
 また高校時代に担任の先生が、わざわざゲーム開発をされている卒業生の方を紹介してくれて、いろいろ話を伺ったり出来たので恵まれてましたね。
 


前回ご登場いただいた、杉山さんとのお付き合いの中で、面白いエピソードなどがありましたらお聞かせ下さい。


高山氏:
 杉山さんは愛妻家でいらっしゃって、雑談中に奥さんの話題がよくのぼるのです。その度に私が「え?脳内奥さんですか?」「そういう名前のぬいぐるみが居るんですよねぇ?」とさんざん皮肉を杉山さんに言い続けていました。ところが、ある日エンターブレインのテラスでスタッフとコーヒーを飲んでいたら、杉山さんが可愛らしい女性を連れてきて「ウチのヨメです」と紹介するんです!普段へらず口を叩いている自分は、申し訳無さと恥ずかしさで面と向かって会話ができませんでした…。
 ちなみに悔しいので、現在の私の脳内では「実は杉山さんのお姉さん」いう設定になっています。


これまで、自分の仕事に影響を与えた出来事などはありましたでしょうか。また、それは高山さんにどんな影響を与えてくれましたか? また、これまでたくさんのキャラクタを描いてこられたと思いますが、高山さんが描かれたキャラクタの中で、一番のお気に入りを教えてください。

 

高山氏:
 仕事に対する考え方に大きな影響を与えてくれたのは、大学時代のアルバイト経験です。大学時代、幕張メッセで大道具のバイトをしていたのですが、その時の現場監督がとても厳しい方で徹底的に仕事に対する姿勢を叩き込まれました。怒鳴られて蹴られる毎日でしたけど、おかげで計画的に物事を考えて行動するようになりましたね。ゲームも舞台も人が集まってモノを作る仕事なんで理屈は同じですよ。今でも幕張メッセでゲームショーがある時は菓子折り持って挨拶に行ってます~。
 それとビッツラボラトリー時代に『トゥルーラブストーリー2』や『トゥルーラブストーリー3』のプログラマのSさんと仕事をする事でゲーム製作の入り口にやっと立てた気がします。学生時代にも一人でゲームを作ろうとして挫折の繰り返しでしたが、Sさんのおかげで「挫折する理由、作り上げるためには何が必要なのか」が判りました。本当に自分にとって神様の様な存在です。
 絵的な話だと『トゥルー・ラブストーリー』のキャラクタデザインを担当された松田さんの影響も外せませんね、ビッツラボラトリー入社時は朝から晩まで松田さんの絵に似せる練習をしていました。その日の自分の仕事を終わらせてから、深夜に「のぞみ」や「天野」を描いて松田さんに見せると松田さんは、ちゃんと添削してくれるんですよ(笑)。

 絵的な要素だけだと『True Love Story Summer Days,and yet...』の「るり」がお気に入りですね。ちなみに自分には姉が3人居るんですが2番目の姉がデザインの元になってたりします。自分は根本的に猫目でショートヘアーの健康的な女の子に、小さい頃から徹底的に弱いんです。もうなんか前世で何か悪さをして呪いがかけられているんじゃないか?と思うぐらい大好きですね!
 今だから言えるエピソードだと、るりがお風呂の曇りガラスの奥で全裸のシーンがあるんですが、実際には隠れている体の部分も完全に描き込んであって、ソニー・コンピュータエンタテインメント
のOKが貰えるまで、これでもかと曇りガラスの透明度を調整してました(笑)。『キミキス』でもソニー・コンピュータエンタテインメントと仲良くしたいな~と思ってますよ!

 


自分がプレイしたことのあるゲームの中で、「名作」と呼ぶべきゲーム作品を1タイトル挙げるとすれば何ですか? また、これまで高山さんが携わってきた作品の中で、特に思い入れが深い作品をいくつか挙げてください。

  高山氏:
 アイレムの『イメージファイト』、トレジャーの『エイリアンソルジャー』もご馳走ですが、名作として挙げるのはSEGAの『スペースハリアー』ですね。
 フォントひとつ取ってもこれ一本に無数のTVゲームのお手本が詰まってます。我々の世代だとSEGA、ナムコ、コナミあたりは文字フォントを見ただけで何処のメーカーか判別付くんじゃないですか(笑)?
 当時の仲間内では勝手にSEGA文字とかナムコ文字とか言ってましたし(笑)。更にグラフィック的な話だと『ファンタジーゾーン』や『ファンタシースター』等のSEGAのファンタジー作品はドラゴンと戦闘機、ロボットと魔法使いが同時に出てきても独特の彩度の高さが統一感のある世界を構築してるんですよね。こんな作品はもう「スターウォーズ」ぐらいしか無いですよ。
 ゲームっていかに上手に嘘を付くかが重要なんじゃないかと思います。いくらグラフィックやシステムがリアルでも、ゲームとして面白くなければそれは駄目なんじゃないかと…。
 『スペースハリアー』は画面奥の小さく表示されてる敵にもプレイヤーの弾が当たるように、弾の軌道と当たり判定をゲームデザイナーが上手く操作してますよね。また地面に落ちる影で時機と敵との距離をプレイヤーに無意識のうちに判らせるなど、今となっては当たり前のアイディアがキラリと輝いています。そして、あの有名なBGMももちろん素晴らしいですが、各々の敵キャラの登場時や飛行音が個性的なので、プレイを繰り返すうちに自然と画面だけでなく音でも体が反応するようになるんですよ。『トゥルー・ラブストーリー』や『キミキス』でも各キャラクタのBGMは冒頭部分で誰が登場するのか判る様に特徴を付けてるんですよね。

 印象深い作品としては、プレイヤーの視点だと『トゥルーラブストーリー2』です。今でもシリーズで最高の出来とボリュームでは無いかと思います。
 敷居は高いですがゲーム性も一番高いですしね。自分は下手なプレイヤーと上手なプレイヤーがプレイして結果に差が出無いゲームはちょっと苦手で…。と言いつつも『トゥルー・ラブストーリー』の独特の懐かしさも外せません。エンディングに関しては『トゥルー・ラブストーリー』がどうしても最強なんですよね。
 作り手としては『True Love Story Summer Days,and yet...』ですね。それまでもキャラ原画のクリンアップと塗り、下校会話や立ち絵の目パチアニメーション、背景原画とやってましたが、更にキャラデザも含めて一人で全部やる事になって、凄いプレッシャーでした。またそこまで信頼して任せてくれるゲームクラブの期待にも応えたい気持ちで自分なりに最後まで頑張りましたね。
 


今後こんなゲームが作りたいなど、ゲーム・エンタテイメント業界におけるご自身の目標を聞かせてください。そして最後に、作品作りにおいて一番大切だと思うこと、作品を世に送り出すにあたって心がけていることを教えてください。

  高山氏:
 全く持って個人的な妄想が『キミキス』のイメージを壊してしまいそうで申し訳無いのですが、一本はGBAカートリッジの傾きセンサーを使ったちょっとHな奴を作ってみたいです。
 GBAを寝転がって下から覗く様に見るとキャラクタがスカートを抑えたり、女の子がソファーの側に居る時に画面を横に倒すと女の子がソファーに横たわるので、そこから更に仰向けにすると女の子も仰向けに寝たり、縦に持ち直して上下に揺さぶると画面内でも上下に揺れるゲームが作りたいです。
 もう一本はヒロインの両親に結婚の許可を貰いに挨拶に伺うだけのゲームですね。全てのヒロインの両親が登場するので登場人数が多くて大変そうですが、両親の設定と主人公の前では見せないヒロイン達の親と子の関係を上手く表現できたら今までに無いオモシロさを出せると思います。どちらも30分ぐらいの短時間でさくっと遊べる奴が良いですね。
 そして、昔のPC向けアクションRPGの様な、画面下に取得したアイテムがズラッと表示されてシナリオがスティーブ・ジャクソンっぽいテキストRPGが作りたいですね。
 今、個人的に興味があるのは『キミキス』に寄せられるアンケート葉書です。毎回全部目を通して一人で百面相をしてますよ(笑)。

 作品を作るのに大切にしていることはいくつかあります。まず最初に、商品と作品、個人とチームの違いを自覚する事。そして次に、自分が好きなモノ嫌いなモノがなぜそうなのか他人に説明でき、更に自分なりに噛み砕いて再構成出来る事。そして最後に過去を振り返り、無駄を無くす努力をする事ですね。
 自分は以上の事がどんな業界においても仕事をするうえで必要かな~と考えてます。

 新作の『キミキス』はノベル系のゲームには無い、シミュレーションゲームらしさがウリです。遊び方によってはプレイヤーのみなさんが、「ッ~~~~~!!!」と驚く展開もあるかもしれないのでぜひ遊んでみて下さい!
 


過去のエピソード、製作秘話などたくさんのお話を聞くことができ、高山さんの最新作『キミキス』の発売が待ちきれなくなった読者の方もたくさんいるのではないでしょうか? 楽しみに発売を待っています。まだまだお話をお伺いしたいところですが今回はここまでです。それでは、次回のお友達を紹介していただきましょう。

  高山氏:
 ビッツラボラトリーの宮崎暁さんを紹介します。足音が静かでとても器用でメカに詳しい方です。
 昔、自作のポケットステーション用ゲームを転送するためにキットを買ってきたんですが、軽く半田で組み上げてくる身近な感じの社長です。
 

『ティアリングサーガ』『ファイアーエムブレム』など様々な作品に携わられてきた宮崎さん。一体どんなお話をお伺いすることができるのでしょうか? 次回もお楽しみに。それでは高山さん、今回はありがとうございました。