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Last Update:2005/11/07
週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!
>>第204回
インテリジェントシステムズ
成広通さん
今回のゲストは『ファミコンウォーズ』、『ファイアーエムブレム』シリーズでプログラムを担当されたインテリジェントシステムズの成広通さんです。学生時代、高価だったPCを買うために経験されたアルバイトがゲーム業界へ入るきっかけを与えてくれたとおっしゃる成広さん。いったい、どのようなアルバイトだったのでしょうか? 早速、お話を伺っていきましょう。

(c)2005 Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS


最初に職歴、現在携わっているお仕事を教えてください。また、成広さんが現在のお仕事に就く決心をしたのはいつ頃、どんなことがきっかけでしたか?

  成広氏:
 ゲーム開発会社のインテリジェントシステムズの開発部に所属していまして、ここでファミコン時代からいろいろやらしてもらってます。
『ロボットジャイロ』、『ファミコンウォーズ』、『GBウォーズ』、『GBゴルフ』、『カエルのために鐘は鳴る』などなどプログラマーとして携わってきました。『ファイアーエムブレム 紋章の謎』あたりからは、『ファイアーエムブレム』シリーズ、『ウォーズ』シリーズをメインに関わっています。今は、プロデュース業と雑用が主な業務ですね。

 ゲーム業界を志したのは「コンピューター」という言葉を聞いただけでワクワクしていた大学時代だったと思います。
 当時はPCがとても高価な時代でした。僕はシャープのMZというPCが欲しかったのですけど高価すぎて買えない。なんとかお金を稼がなければとアルバイトをしようと思い、友達に紹介してもらって始めたのが、ファミコンソフト制作でした。それがきっかけですね。
 プログラムができてお金がもらえる。部分的ではあるにしろ、自分の提案が形になる。まさに、創る楽しみを感じていました。
 その中で、田中宏一さん、坂本賀勇さんなど、個性派揃いの人たちとお会いできたことも、この仕事を始めた要因かもしれません。

 


前回ご登場いただいた乃一さんとのお付き合いの中で、面白いエピソードなどがありましたらお聞かせ下さい。


成広氏:
 乃一さんはしぶとかった。自分の中にあるデザインテーマを周りのスタッフにねばり強く伝えていこうとしていました。「どうして出来ないのですか?」って、よくプログラマーに言っていた姿が印象に残っています。
 デザイナーという仕事は、絵を描くだけではなく、何かを人に伝えるための方法として何がふさわしいかを提案をすることだと思います。その事に向き合おうとしていた事が彼女の良いところかな。
 …その頃、乃一さんにジュース買出しの使いっパシリをさせられていたデザイナーが、今はチーフをやっています(笑)。


これまで、自分の仕事に影響を与えた映像、文学、音楽作品などはありますでしょうか。また、それは成広さんにどんな影響を与えてくれましたか?

  成広氏:
 音楽や小説、アニメなどたくさんのものに影響されてきましたね。その中でも今の仕事と関係していると思うのは、アニメ「機動戦士ガンダム」ですね。放映されていた当時はビデオ録画など出来なく、ガンダムを見るために土曜の夕方は誘いをほとんど断って、とりあえず家に帰っていました。内向的な主人公・アムロ、勧善懲悪ではない物語、敵の正義、人間のすばらしさと愚かさ。アニメにふさわしくないような、少し重い感じのテーマに引きつけられていましたね。『ファイアーエムブレム』の世界にも通じるところはあると思います。
 


これまで成広さんが携わってきた作品の中で、特に思い入れが深い作品を教えてください。また、自分がプレイしたことのあるゲームの中で、「名作」と呼ぶべきゲーム作品を1タイトル挙げるとすれば何ですか?

  成広氏:
 思い入れが深いのは『ファミコンウォーズ』かな。いろんな意味で、バランスのよいゲームになったと思います。ゲームっぽくなく、将棋を指しているようなオモチャ感が好きでした。
 ファミコンでシミュレーションゲームを作るって、結構大変なんですよ。ハードの制約がほんとにきついので、対戦相手となるAIが、次の一手を打つまでに数分考えたりすることが発生していました。今なら、バグ扱いですよね(笑)。ファミコン本体のRAMだけでは足りなくて、バックアップRAMの半分はゲーム中に使用していました。この制約の多さが、当時シンプルでおもしろいゲームが多かった事につながっていたのかもしれません。

 名作と言うと『ドラゴンクエスト』かな…。
 コンシュマーでRPG。心地よい衝撃でしたね。プレイ中はお話を書き留めたり、地図を描いたり、ほんとに冒険している気がしていました。もちろん、口ずさめるメロディーもたくさんあります。

 


それでは、成広さんが今一番興味があることはなんでしょうか?お聞かせ下さい。そして最後に、今後ゲーム業界を目指している読者へ向けて、作品作りにおいて一番大切だと思うこと、作品を世に送り出すにあたって心がけていることをお聞かせ下さい。

  成広氏:
 今、興味があるのはネットですね。人と自然につながる事にとても興味があります。既に、NDSでは今までのゲームというジャンルにはないタイトルも出始めていますが、持っていることが楽しいオモチャっぽい物を創りたいですね。僕が子供の頃、離れたところでも話が出来るトランシーバーがとても楽しくて、山に遊びに行くときによく持って行っていた様に。
 個人的にやりたいことは水族館巡りですね。沖縄美ら海水族館、鹿児島水族館、江ノ島水族館などなど、行きたいとこだらけです。

 作品を生み出すにあたって僕が重要だと思うことを3点ほど挙げておきます。
 まずはじめに挙げるのは、自分が何を表現したいのかはっきりさせる、ということです。ゲームに限らずどのようなジャンルの作品でも、普遍的なものってあると思うんです。長く残るものには、それなりに理由がある。創るということは、創り手の作品に対する答えがそこに詰まっていることだと思います。他人の答えではなく、その人の答え。そして、それを人に押しつけることの無いほどよい物を、どう生み出すかがとても大切だと思います。「いい塩梅(あんばい)」、この言葉が好きです。
 2つ目として挙げるのはコミュニケーション力ですね。
 今のゲーム制作は、ほとんどの場合、チームの仕事に成るはずです。各スタッフが、力を出し合い結果を求めていくことになります。各スタッフの技術向上も大切ですが、その上で、特に大切なのは、やはりコミュニケーション力です。人の話を聞いて理解する力、自分の考えを人に理解してもらう力、もしくは、人の話を聞いて理解しようとする気持ち、自分の考えを人に理解してもらおうと思う気持ち。これが以外と難しいですよね。
 そして最後に挙げるのは、なんと言っても「楽しくやる」ですね。チームのムードが、創る物によく現れると思います。何に取り組むにしても、簡単にはいかないし、生み出す苦しみもある。どうせ大変なら、楽しくできる方が良いしね。

 


作品を生み出すには、自分の答え、人とのコミュニケーション力、そして、何よりも自分が楽しむことが大切とおっしゃられる成広さん。名作と呼ばれるタイトルが誕生するには、こういったことが大切なのでしょう。もっとたくさんのお話をお伺いしたいところですが、今回はここまでです。それでは、次回のお友達を紹介していただきましょう。

  成広氏:
 松岡洋史さんを紹介します。
 松岡さんとは、『ファミコンウォーズ』からのお付き合いです。「何か驚かせてやろう」というのが彼のテーマみたいで、いつも新しい物に取り組んでいるところが好きです。根っからのクリエイターですね。たまに会えるとほっとします。
 

松岡さんは『メイドインワリオ』など、数多くの作品に携わられてきたクリエイターさんです。一体どんなお話をお伺いできるのでしょうか? 次回もお楽しみに。それでは成広さん、今回は本当にありがとうございました。