Last Update:2005/09/12
週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!
>>第198回
ナムコ
小沢純子さん
今回のゲストは『ドルアーガの塔』『ドンキーコンガ』など数多くのナムコ作品に携わられたサウンドクリエイター小沢純子さんです。大学時代に『マッピー』のキャラクタ「ニャームコ」と出会われ、ナムコへ入社することを決めたという小沢さん。しかし、お母様からは猛反対されてしまったそうです。しかし、その反対を覆してくれたのはお父様の一言だっただとか。一体、どんなエピソードがあったのでしょうか? それでは、早速お話をお伺いしていきましょう。

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最初に、これまでの職歴、現在携わっているお仕事を教えてください。また、小沢さんが現在のお仕事に就く決心をしたのはいつ頃、どんなことがきっかけでしたか?

  小沢さん:
 どこまで記憶を巻き戻したら良いのやら…。キュルキュルキュル…。新卒でナムコに入社して以来、ずぅ~っとサウンドチームにいるお局です。
一番最初に関わったのが、『ギャプラス』。その次が『ドルアーガの搭』。次は『ディグダグII』か『スカイキッド』だったかなあ。
 その後、ファミコンソフトの開発部署になり、『ファミリーテニス』、『ワールドスタジアム』、『風のクロノア』、あと『トップストライカー』なんてのもありました。アーケード機だと『スイートランド4』『トレトレクリッパー』『すごろちっくJAPAN』なども担当しています。最近までは『ドンキーコンガ』シリーズを足掛け3年やっていました。現在、サウンドチームのチームリーダーという役割なので、その仕事の合間に制作をやらせて頂いています。

 大学3年の時、マイクロマウス大会(※)のイベントで「ニャームコ」との出会いがあり、一目惚れしてしまいました。それがこの仕事に就こうと思った最初のきっかけですね。
 4年になり、就職は音楽を生かせる仕事に就きたいと探していたところ、ナムコで音楽のできる人を募集しているのを知り、「あ!ニャームコのナムコが私を呼んでいる!」と受けにいきました。面接では、どんなに私がニャームコを愛しているかを話して終わってしまったような記憶。
 その頃のゲーム業界はまだイメージが悪く、内定をいただいた後、母は涙を流すくらい猛反対していましたが、そんな時、真面目でゲームなんてまったく興味のなかった父が「ダイエーの屋上にナムコの『ポールポジション』というゲームがあったからやってみたよ。おもしろかった」と後押ししてくれて、無事、家族の承認が得られました。

(※マイクロコンピュータや各種センサなどを内蔵している小型自走車で、記憶・判断ができる知能を持ち、急発進や速度調整などが自由にできる完全自立型ロボットを用いた競技大会)

 


前回ご登場いただいた、小林さんとのお付き合いの中で、面白いエピソードなどがありましたらお聞かせ下さい。


小沢さん:
 小林さんは愛車のマーチ(色はホワイト)をいつもピカピカにしておくことに命をかけています。
 ちょっとでもくすみがあると、どうにもがまんならないようで、そこがおもしろく、「マーチにはあんなにかわいい色がたくさんあるのに、ホワイトをわざわざ買う人の気がしれないよ」とつっこみを入れてしまいますが、いつも「いいんです!マーチはホワイトなんです!」と切り返されます。そう思って見ていると、小林さんは服も白っぽい服装をしていることが多いです。なぜか彼は「自分には白が似合う」と思っているようです。はい。


台風や雨の翌日は洗車が大変そうですね。それでは、これまで自分の仕事に影響を与えた映像、文学、音楽作品などはありましたらお答えください。また、これまでのお仕事の中で、“これは良い”と感じたアイディアが浮かんだ瞬間は、どんなときでしたか?

  小沢さん:
 仕事で曲をつけるときは、もちろんそのゲームの映像やスピード感に影響されますが、仕事でない時は、雑誌「MOE」のイラストから音楽を想像するのが好きなんです。色や質感みたいなものが音楽で表現できたらいいなあと思っています。最近はアノラ・スペンスの絵が気に入っています。

 曲作りに悩んでいる時、アイディアがよく浮かぶのは、電車の中なんです。それも少しうとうとしている位が良いみたいです。ですので、いつも五線紙の小さいメモ帳を携帯していて、思い浮かんだらすぐにメモしておきます。
 『トイポップ』『ローリングサンダー』『フォートラックス』『ドリラーA』などはみんな電車の中で思いついた作品です。会社に出社せず、電車にずっと乗っていた方が仕事がはかどるかもしれません。

 


これまで小沢さんが携わってきた作品の中で、特に思い入れが深い作品をいくつか挙げてください。また、自分がプレイしたことのあるゲームの中で、「名作」と呼ぶべきゲーム作品を1タイトル挙げるとすれば何ですか?

  小沢さん:
 それぞれに思い入れがあるので、一つ選ぶのはむずかしいですね。うーむ。
一つの作品を作りあげる過程で、一番危なっかしかったのが『ドルアーガの搭』だったと思います。
まだ大してプログラムも書けないのに、自分でサウンドドライバーを組んだので、締め切り間際になってバグが出たりしてました。
 音楽の調整ももちろん行わなければならないのに、確認したい曲がバグで鳴らない…。自分で書いたプログラムは自分でないとわからないので、誰にも助けてとは言えないし、バグが取れなければ製品にならないというプレッシャーをひしひしと感じました。初めてプロの厳しさを味わったってとこですかね。もちろんその分、出来上がった時の達成感は最高でした!

 名作というとこれまたいろいろあって悩みますが、今回はアタリの『マーブルマッドネス』を挙げさせていただきます。
 まだゲームにFM音源なんてほとんど載ってなかった時代に、既にFM音源を完璧に使いこなしていたことにまずびっくりです。無機質なキャラクタなのにトラックボールでの操作感がすばらしく、プレイしているとどっぷりゲームの中の世界にはまり込んでしまいます。
 各面もものすごく個性的で、最終面前なんて天に昇ってしまいそう。ああ、また久しぶりに遊んでみたくなりました。どこかプレイできる所があったら教えてください。

 


小沢さんが今、一番“はまっている”ことはどんなことですか?そして最後に、小沢さんが作品作りにおいて心がけていることをお聞かせ下さい。

  小沢さん:
 はまっていることといえば生き物の飼育でしょうか。え~、現在二人の小学生の息子がおりまして、鈴虫、後にカエルとなるおたまじゃくし、金魚、カブトムシ、蚕などなど、勝手に持ってきては放置するので、私が飼育する羽目になっております。
 現在、アトラスオオカブトの幼虫を6匹飼っています。今、7cm位まで成長しているのですが、熱帯性の生き物なのでどうやったら越冬できるかが気になっている所です。
 カブトムシは幼虫の時、白くてとてもかわいがっていたのですが、成虫になったとたんゴキブリのように羽をぶんぶん言わせて飛ぶので、それまでの愛情がすっとんでしまいました。アトラス君たちには「ずっと子供でいてね」と毎日言い聞かせています。

 昔からなんですが「プレイしたら元気が出るゲームを作っていきたい」と思っているんです。だから私の曲は長調が多くなってしまうのかもしれません。虚脱感のあるゲームや殺伐としたゲームはあまり好きではありません。ゲームをやったことによって、ゲームからエネルギーをもらえるような、もしくは幸せを感じられるようなゲームを作って行きたいです。
 ゲーム制作は山あり谷あり。どんなゲームでも、トラブルがあって当たり前。私にとっては、ゲーム制作の過程がゲームなんです。技術的なトラブルからメンバーとのトラブルまで、問題がやってきたら「そら、きたきた! ようこそ!」と迎えてあげましょう。最強のボス敵だと思って挑んだら、ザコ敵だったという場合も多いです。
 それでもあまりに自分が悲惨だと感じたときは「渡る世間は鬼ばかり」のドラマの配役に抜擢されたと思って、張り切って主役を演じてしまいます。
『ドルアーガの搭』の話でも出ましたが、問題が多かった作品ほど思い入れも深いです。好奇心をもってどんどんチャレンジしてください。

 


困難がやってきても楽しんで挑むことが大切とおっしゃる小沢さん。トラブルがやってくると気持ちが沈みがちになってしまうと思うのですが、明るい気持ちで挑むと簡単に乗り越えていくことが可能になるのかもしれませんね。もっとたくさんのお話をお伺いしたいところですが今回はここまでです。それでは次回のお友達を紹介していただきましょう。

  小沢さん:
 トムキャットシステムの高橋由紀夫さんを紹介します。一言で表現するなら「風流なお方」です。ご実家近くの花火大会の時、高橋邸の屋根の上にみんなで寝そべって見た花火がとても感動的でした。その節は御世話になりました。
 

高橋さんは、ナムコ『源平討魔伝』や、D3パブリッシャー『SIMPLE2000シリーズ THE 鑑識官』などの作品を手がけられたクリエイターさんです。一体どんなお話をお伺いできるのでしょうか? 次回もお楽しみに。それでは、小沢さん。今回は本当にありがとうございました。