Last Update:2005/05/30
週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!
>>第189回

安井章さん
今回のゲストは、『ガンサバイバー4バイオハザード ヒーローズ ネバーダイ』、『ドラッグ オン ドラグーン』などの作品にCGデザイナーとして携わられた安井章さんです。小さい頃からゲームが好きだったという安井さん。あるTVアニメを見て、受け手として見るだけでなく、作り手としての視点を意識するように変わられたそうです。そのTVアニメは安井さんの最新作『ドラッグオンドラグーン2 -封印の紅、背徳の黒-』にも影響を与えているそうですよ。それでは、早速お話を伺っていきましょう。

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最初に、これまでの職歴、現在携わっているお仕事を教えてください。また、安井さんが現在のお仕事に就く決心をしたのはいつ頃、どんなことがきっかけでしたか? その時のエピソードなどと合わせてお聞かせ下さい。

  安井氏:
 初めに地元京都の印刷会社に入社し、その後、ナムコ、SCEと渡り歩いてきてキャビアに至ります。
 ナムコでは業務用バイクゲーム『500GP』、SCEではPS2用のアドベンチャーゲームなどを製作していました。
 キャビアでは『GUN SURVIVOR4 BIOHAZARD HEROES NEVER DIE』、『ドラッグ オン ドラグーン』などでCGデザイナーとして関わってまいりました。『ドラッグオンドラグーン2 -封印の紅、背徳
 小さいころからTVゲームが好きで、絵を描いたり物を作ったりすることに興味を持っていました。ですので、ゲームを作りたいとは漠然と思っていました。そんな調子でデザイン系の大学に行き、そこである人との運命の出会いをします。
 それが、『ドラッグ オン ドラグーン』のディレクター横尾太郎です。
 学生時代は彼と一緒に作品を作ったりして過ごしていました。その後、彼はちゃんとゲーム会社に就職したんですが、私は就職活動で受けたゲーム関連の会社は全滅してしまいまして…(笑)。
 結局地元で就職したんですが、ゲーム業界へ入りたいとの夢が捨てられなくて、彼に業界に引っ張ってもらいました。
 ゲーム業界に入るきっかけを与えてもらったことは今でも感謝しています。
 キャビアには、学生時代やナムコからの縁でキャビアのプロデューサー岩崎、横尾に声を掛けてもらい、現在に至ります。
の黒-』では、初めてディレクションを経験させていただきました。
 


一途にその道を諦めずに追いかけた結果、安井さんが切望して止まなかったゲーム業界の門を開くことができたのですね。それでは、前回ご登場いただいた、関さんとのお付き合いの中で、面白いエピソードなどがありましたらお聞かせ下さい。


安井氏:
 関さんは『ドラッグオンドラグーン2』のムービーディレクターとして一緒にお仕事した仲です。
 今回、ムービーに関しては、できるだけゲームと融合する形で組み込みたいと思っていたので、関さんには初期の段階からシナリオの組み立てや、デザインなどに関わっていただき、お互いフィードバックし合って制作しました。
 その甲斐あって出来上がったムービーは、ゲームとスムーズにリンクしつつ、非常に高いクオリティになったと思います。その分ご苦労もいっぱいいっぱい掛けてしまいましたが…。
 ブレストをしている時など、ニコニコしながら遠慮がちに発言されるんですが、飄々とした物腰とは裏腹に、ズバッと鋭いことをおっしゃるんです。あなどれない方です。あと、自分の身を削ってでも良いものを作りたいという、真剣にモノ作りに接している姿が印象的でした。


なるほど。お互いに良い作品を作り上げようと切磋琢磨しあった結果、素晴らしいクオリティのムービーに仕上がったのですね。一刻も早くムービーシーンを見たくなりました(笑)。これまでに安井さんが携わってきた作品の中でも、『ドラッグオンドラグーン2』は思い入れが深い作品になったのではないしょうか。それでは、安井さん自身がプレイしたことのあるゲームの中で、「名作」と呼ぶべきゲーム作品を1タイトル挙げるとすれば何ですか?

  安井氏:
 やはり初めてディレクションという大役をさせていただいた『ドラッグオンドラグーン2』への思い入れは深いですね。
 『ドラッグ オン ドラグーン』は独特の世界観で人気のある作品でしたので、それを壊さないようにパワーアップさせ、ゲームとしてさらに昇華させていくにはどうしたら良いか、日々悩みながらスタッフみんなでがんばりました。
 その中でも、やっぱり様々なしがらみや理想と現実のギャップがあって右往左往したり、スタッフに迷惑を掛けたりしたんで、それがつらいといえばつらかったですね。まあ、それが作品の思い入れにつながっているのですけど。世の中のディレクターさんは本当に大したもんだ、と思いました(笑)。

 逆に嬉しかったのは、様々な方とお会いして作品作りができたことです。こういうのはタイミングや縁がかみ合わないとなかなかうまくいかないのですが、今回はいろんな意味で内部スタッフも含め、ほぼベストメンバーで仕事が出来たのではないかと思っています。
 なかでも『ドラッグ オン ドラグーン』に続き『ドラッグオンドラグーン2』でも大御所キャストの皆さんにキャラクタを演じていただいたことは思い出深いです。現場にいて素直に「プロってすごい!」と感嘆しました。
 最近発売が迫り、作品の前評判や感想が耳に入ってくるのですが、良い反応をしてくださる方が多いので、それがなにより素直に嬉しいです。

 名作を1タイトルだけ、というは難しいのですが、ナムコの業務用ゲーム『スターブレード』を挙げます。
 当時の先進ビジュアル、閉鎖型の筐体、洗練された演出、シンプルなゲーム性が渾然一体となって砲撃手になりきることが出来るゲームでした。
 ゲームへの「没入感」、「なりきり感」は映像だけでは味わえない重要な要素だと思うのですが、『スターブレード』の入力と出力の一体感は、当時群を抜いていたと思います。当時、不覚にもエンディングで涙ぐんでしまったのですが、それはその現れではないかと思います。
 最近、業務用ゲームが少なくなってこういった感覚がなかなか味わえなくなっているのは少し寂しいですね。

 


『ドラッグオンドラグーン2』には声優さんだけではなく、俳優の原田芳雄さんや小雪さんといった実力派の役者さんたちも参加されていますね。それぞれの分野のトップレベルの人たちによって形作られた『ドラッグオンドラグーン2』は、素晴らしい作品になったのではないでしょうか。それでは、これまでに安井さんの仕事に影響を与えた映像、文学、音楽作品などはありますでしょうか。また、様々なアイディアが浮かばれたと思いますが、どんなときにどんなアイディアが生まれるのでしょうか?

  安井氏:
 TVアニメ「超時空要塞マクロス」には影響を受けたと思います。
 それまで、単なる受け手の視点でしかなかったのが、作り手のことを意識するような見方を覚えた最初の作品だからです。アニメをオタク的な視点で見始めたといいましょうか(笑)。
 変形メカ、映像のカタルシス、作り手の職人気質、など当時の自分には刺激物がいっぱいの作品でした。
 改めて考えると結構『ドラッグオンドラグーン2』にも影響が出ているかもしれません。
本当は高尚な作品を挙げたかったのですが、ま、そんなもんです。

 アイディアが浮かぶことが多いのは映画を観ているときでしょうか。
 映画館に足を運びよく見るのですが、「あんなアクションがやってみたい!」「あの演出かっこいい!」「この絵すごい!」などと映画に刺激されることはたくさんあります。今回も某「中世三部作」などからはいろいろ刺激を受けました。
 映画を見終わった帰り道では、それらの「わぁ!」という部分をどうやってゲームに落とし込めば伝わるのだろう、と考えて悶々とすることが多いです。
 あとアイディアが膨らむのは、街の本屋さんで何気なくいろいろなものを物色している時ですね。
 最近はネットで本とかCDとか何でも買えますが、現物をランダムに手にとって物色することはネットでは味わえません。トレンドとかもわかりますし、いい刺激になります。

 


クリエイターとしての物の見方を「超時空要塞マクロス」で学ばれたのですね。僕もアニメをもっと真剣に見ておけば良かったです(笑)。それでは、今後のゲーム・エンタテイメント業界におけるご自身の展望や、業界全体への希望をおしえてください。そして最後に、今後ゲーム業界を目指している読者へ向けて、作品作りにおいて一番大切だと思うこと、作品を世に送り出すにあたって心がけていることをお聞かせ下さい。

  安井氏:
 最近、次世代機が発表されて、作り手としてはエキサイティングな日々なのですが、業界としてはプラットフォームなど多様化してきているのに、続編や特定ジャンルなど、出てくる作品に広がりがない気がしています。
 ハード的、ソフト共にやりたいことが出来るのに、ビジネス的に許されないというジレンマを抱えているのでしょうか。
 そのような状況を変えるパワーを持ったゲームを作って行きたいです。
 あと、業界が再編されて、ますますこの業界も厳しくなってきていますが、その中でも作り手がもっと安心して、そして愛をもって仕事ができる環境になっていってほしいですね。それがより良い作品の提供につながっていくと思うので。
 あと、ゲームを作っていてモテる世の中になって欲しいです(笑)。
 今は次世代機にわくわくしています。どんなゲームが遊べるのか、どんなゲームが作れるのかその両方で。次世代機の発表は、5年に一度のお祭りみたいなものなので、バンバン夢を膨らましています。

 作品を作るのに大切なのは、人の意見に耳を貸すことでしょうか。物事に一生懸命取り組むのはもちろんなのですが、ゲーム制作は共同作業なので、人の意見に耳を貸すことも重要です。自分と違う意見でも、その中で納得できるかどうか吟味することが大切だと思います。
 あと、以前のインタビューで『ドラッグ オン ドラグーン』プロデューサーの柴さんもおっしゃられていましたが、愛は大切です。
 作品だけでなく、制作スタッフに対しても大切だと思います。人には愛を持って接しましょう。
 ビジネスとしてゲームを作っていると、愛とロジカルな部分とのバランスを取るのが難しいのですけど、最後にモチベーションになるのはそこな気がします。
 そんなこんなで、何度もくじけそうになりながらも完成した『ドラッグオンドラグーン2』は、そんなみんなの愛で高い完成度でなおかつ、この期間で完成までこぎつけることが出来ました。
ぜひ『ドラッグオンドラグーン2』をプレイしてそんな愛を感じてください!
 たとえそれが歪んだ愛だったとしても(笑)。

 


人の意見に耳を傾けつつ、愛を持って接する姿勢が大切だとおっしゃる安井さん。最新作『ドラッグオンドラグーン2』も安井さんをはじめ、作品に携わったたくさんのスタッフの愛を一身に受けて開発されたことだと思います。まだまだたくさんのお話をお伺いしたいところですが、今回はここまでです。それでは、次回のお友達を紹介していただきましょう。

  安井氏:
 キャビアサウンドプロデューサーの佐野信義さんぜひ紹介させてください。
 『鉄拳』や『リッジレーサー』シリーズなど、数々のゲームサウンドを手がけられ、『ドラッグオンドラグーン2』ではゲームサウンドディレクターとして大変お世話になりました。
 いままで出合った人の中でも最強にテンションの高い人です。
 

そのほかにも、『ガンサバイバー4バイオハザード ヒーローズ ネバーダイ』『攻殻機動隊 Stand Alone Complex』など数多くの作品で楽曲を手掛けられてきた佐野さん。一体どのようなお話をお伺いすることができるのでしょうか?次回もお楽しみに。それでは安井さん、今回は本当にありがとうございました。