Google  

Last Update:2005/03/29
週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!
>>第183回
チュンソフト
冨江慎一郎さん
今回のクリエイターズファイルには、『キャプテン翼』や、『風来のシレン』シリーズに携わられたゲームデザイナー、冨江慎一郎さんに登場いただきます。大学時代に進路を決める際、「自分がサラリーマンをやったら会社の迷惑になるに違いない」と考えられたという冨江さん。そのとき、ご自身の進路の候補に挙がったのはビックリするような職業でした。その他にも、『風来のシレン』『キャプテン翼』の誕生秘話などをお聞きしています。それでは、早速お話を伺っていきましょう。

(C)1996-2005 CHUNSOFT/ALL rights reserved.


最初に、これまでの職歴と現在までに携わっているお仕事を教えてください。また、冨江さんが現在のお仕事に就く決心をしたのはいつ頃のことでしたか? その時のエピソードなどと合わせてお聞かせ下さい。

 

冨江氏:
 初めにテクモにゲームデザイナーとして入社しました。代表作は『テーカンワールドカップ』『キャプテン翼』『テクモボウル』と言った作品です。その後、チュンソフトに入社し、『風来のシレン』の全シリーズ、『ネットサル』に携わってきました。

 ゲーム業界に入ろうと決心したのは大学生の時ですね。その頃、自分には普通のサラリーマンは無理だと思っていまして、築地の八百屋でバイトをしていました。八百屋になろうかなと決心をしかけたのですが、圧倒的に朝が早いのがきつくて断念しました(笑)。その後、海外にたくさん行けそうな広告代理店や、羊飼いになろうかと色々と考えたのですが、そんなときにテクモの求人を見つけたんです。自分の好きなサッカーを題材にしたゲームが作れるかなと思い、テクモを受けました。入社当初、アメリカ向けに、僕自身まったくルールを知らないアメフトを題材にしたアーケードゲームに携わったのですが、あまり売れなかったんです。しかし、トラックボールを使ったこのゲームがあったからこそ、『テーカンワールドカップ』を生み出すことができたのではと思います。

 


進路に考えられたのが八百屋に羊飼いだったとはビックリです(笑)。それでは、前回ご登場いただいた、麻野さんと出会った時の第一印象はどのようなものでしたか、お聞かせ下さい。また、麻野さんとのお付き合いの中で、面白いエピソードなどがありましたでしょうか?


冨江氏:
 最初に麻野さんにお会いしたときの印象は、「眉毛が怖い人だ」というものでした。
酔っ払った麻野さんには、お札破かれたり、唇奪われたりと……理不尽でした。彼。
 麻野さんは『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』のシナリオを担当していまして、『風来のシレン』も彼がやると思っていたんです。しかし、麻野さんは『かまいたちの夜』のディレクションで忙しく、『風来のシレン』のシナリオは担当できない、ということになったんです。そこで、「じゃあ自分が」と立候補しました。周りの人からは「大変だよ」と言われていたのですが、本当に大変でした(笑)。
 当時、まだシナリオを書くということに手馴れていなかったので、非常に苦労しました。特に、ひとつのダンジョンの中に、ステージ性ではなく、一本の流れを持ったストーリーを持たせるのは難しかったですね。


これまで、自分の仕事に影響を与えた映像、文学、音楽作品などはありますでしょうか。

  冨江氏:
 映画、「がんばれベアーズ(※1)」かな。みんなでがんばるパターンにすごく弱いんです。ゲームのシナリオもやはり、自分の好きなこのパターンになってしまいますね。でも、まじめな話を書くのがすごく苦手で、書き上げても恥ずかしくなっちゃうんです。ですから、僕が書くシナリオには、ちょっとふざけた要素が入ってしまうんです。夜中に気分が乗ると、一気に書くことはできるんですが、翌朝、書き上げたシナリオを見ると赤面してしまいます。まじめなものも書けるようにしなきゃとは思うのですが(笑)。

(※1:リーグのお荷物と言われた少年野球チーム「ベアーズ」が、様々な出来事を経て勝ちあがっていく姿を描くアメリカ映画)

 


冨江さんが携わってきた作品の中で、特に思い入れが深い作品をいくつか挙げてください。また、これまでのお仕事の中で、"これは良い"と感じたアイディアが浮かんだ瞬間は、どんなときでしたか? また、そのアイディアがどういった作品でどんな風に使われたのかお聞かせください。

  冨江氏:
 思い入れが強いのは、『風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!』かな。スタッフ一丸って感じがありました。みんなで徹夜して、みんなで銭湯行って帰りにコンビニでアイス買って……とても楽しかったです。
あと『キャプテン翼』と『ネットサル』では、趣味に走りました。作っている間、とても幸せでした。

 仕事に煮詰まってしまったときは良く「ぼうっ」とするのですが、そんなときにアイディアを思いつくことが多いです。
 そんな思いついたアイディアのひとつに、『キャプテン翼』を従来の見下ろし型視点のサッカーゲームから、あのようなビジュアルに変えたりといったものがあります。はじめ、『テーカンワールドカップ』をファミコンに移植するというプロジェクトに携わっていたのですが、サッカー漫画「キャプテン翼」をテーマにしたゲームを作るというふうに路線変更したんです。
 当時、「ドラゴンボール」などのキャラクタものはすごく人気があり、テクモでも「キャプテン翼」をテーマにしたサッカーゲームを作ろうということになったんですね。『テーカンワールドカップ』の見下ろし型視点では、キャラクタの区別が難しく、髪型を変えるぐらいしかできない。そこで、『ドラゴンクエスト』やテキストアドベンチャーが子供たちに受け入れられていたということからヒントを受け、RPGのような演出を思いつきました。
 思いついたときは嬉しくて、プログラマーに早速アイディアを話したのですけど「つまらない」の一言だけ。悔しかったですね。そのときの悔しさから「キャラに負けないゲームを作ってやる」と思い同作に携わりました。

 


冨江さんが今、一番興味を持っていることはどんなことですか?そして、最後に、今後ゲーム業界を目指している読者へ向けて、作品作りにおいて一番大切だと思うこと、作品を世に送り出すにあたって心がけていることをお聞かせ下さい。

  冨江氏:
 一番興味があるのはフットサルですね。脱力したジンガ(※2)を極めたいと思っています。
作品を生み出すのに大切なのは、周りを大切にしつつ、自分を見失わないことです。
他人の意見も大切ですが、鵜呑みにすると痛い目にあう。かといって、まったく聞かないのもダメ。そこらへんのバランスが難しい。でも、最終的に大切なのはやはり自分です。

(※2:サッカー用語。ボールをキープしながら、ボールに触れず、脚や身体を動かして相手を混乱させるフェイントを特徴とする選手を指す)
 


ゲームデザイナーとして、数々の名作に携われてきた冨江さん。ご自身の携われた作品からも解るとおり、相当なサッカーファンだそうです。冨江さん自身も10年以上サッカーをプレイされているそうですよ。もっとたくさんお話をお伺いしたいところですが、今回はここまでです。それでは、次回のお友達を紹介していただきましょう。

  冨江氏:
 同じチュンソフトの丸田康司さんを紹介します。現在、最新作『ホームランド』のディレクターを務められています。『風来のシレン』シリーズでも色々お世話になりました。
 

丸田さんは、『MOTHER2』や『風来のシレン2風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!』などの作品に携わられてきたクリエイターさんです。一体、どんなお話をお聞きできるのでしょうか?次回もお楽しみに。それでは、冨江さん。今回は本当にありがとうございました。