Last Update:2004/12/06
週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!
>>第169回

山口 直純さん
 今回のゲストは、『忍』『KUNOICHI』『サクラ大戦~熱き血潮に~』などの作品のCGムービーシーンを担当されているSEGAの山口直純さんです。元々はアニメ業界でお仕事をされていた山口さんですが、とあるRPG作品に出会いゲーム業界への道を選んだそうです。それでは、早速お話をお伺いしていきましょう。

(C) SONICTEAM / SEGA


最初に、これまでの職歴や、現在携わっているお仕事を教えてください。また、山口さんが現在のお仕事に就く決心をされたのはいつ頃、どんなことがきっかけでしたか? その時のエピソードなどと合わせてお聞かせ下さい。

 

山口氏:
 ヒューマンが最初に入ったゲーム会社で『ファイヤープロレスリング』シリーズ、『トワイライト・シンドローム』にデザイナーとして参加しました。その後、ポリゴンマジックで『とんでもクライシス』『松本零士999』『暴れん坊プリンセス』のイベント部分を担当しました。2000年にオーバーワークスに入社して『忍』『KUNOICHI』のイベントを担当し、『サクラ大戦~熱き血潮に~』ではムービーパートのディレクターをやりました。現在はSEGAの第3GE研究開発部で『ファンタシースターユニバース』のイベントムービーの制作をしているところです。

 ゲーム業界に入る前はアニメーターをやっていまして、ゲームに対しては人並みくらいの興味しかありませんでした。
 でも、ゲーム機の技術革新が進むにつれ、RPGやアドベンチャーゲームなど、ストーリー性の強い作品が数多く出てきた頃から“ゲームの可能性”を感じるようになりました。その頃、アニメは作品本数が激減していて将来的な不安もありましたし、世界がアナログからデジタルに急速に移行している時期でしたから、思い切ってゲーム会社に入りました。
 今まで鉛筆で絵を描いていたアナログ人間が、マウスを使って絵を描くことに最初はかなり違和感を覚えましたが、ドット絵のキャラを動かすのには、アニメーターをやっていた経験が生きましたね。

 


前回ご登場いただいた、山口 直久さんとは従兄弟でいらっしゃるとお聞きしましたが、山口直久さんとのお付き合いの中で、面白いエピソードなどがありましたらお聞かせ下さい。


  山口氏:
 僕の田舎は九州の佐賀県にあって、直久が子供の頃は夏休みによく横浜から親子で遊びに来ていました。とにかく山で昆虫採ったり、川で魚釣ったりと自然を満喫していましたね。彼は漫画やイラストをよく描いていたので僕とはウマがあいましたが、まさか大人になってから同じ業界で働くとは思ってもいませんでした。
 


これまで山口さんが携わってきた作品の中で、特に思い入れが深い作品を教えてください。また、お仕事中に煮詰まってしまうことも多いかと思いますが、息抜きはどのように行っているのかお答えください。

  山口氏:
 思い出深い作品といえば『忍』ですね。これは私が本格的にモーション・キャプチャーを使った作品で、それまでモーションは手付けでやっていましたから、どこまでを役者さんにやってもらうか悩みました。とにかくビルを飛んだり、壁を走ったりと超絶プレイの連続ですから役者さんを吊ったり、引っ張ったり、ぐるぐる回したりと、かなり無茶な事をやってました。ヘリから落ちたときに一回転するシーンで、「頭を支点に回って下さい」と言ったら「頭を吊れるわけないだろう。殺す気か!」と怒られました。今は生身では無理なことは手付けでやることにしてますので、だいぶスムーズに撮れるようになりました。やはり重力の法則には逆らえませんね。

 煮詰まった時は映画を観たり、スポーツジムのプールで泳いだりしています。特にプールで泳いでいると不思議といいアイディアが浮かんだりします。とある発明家も泳ぎながら発明を考えるといいますから、何か悩みがあったらプールで泳いでみるといいのではないでしょうか。

 


適度に全身を動かすことが、心身共にリラックスさせ、新しいアイディアが生まれるきっかけになるのでしょうね。それでは、そんなアイディアについてお聞きします。これまでのお仕事の中で“これは良い”と感じたアイディアが浮かんだ瞬間は、どんなときでしたか? そして、そのアイディアがどういった作品でどんな風に使われたのか教えてください。

  山口氏:
 アイディアはよくアニメや映画からヒントをもらいます。
 『忍』の時にキャラクタデザインがまだ固まっていなかった頃、ゲーム画面の中を走り回る仮のキャラを操作していて、何か物足りなさを感じていました。ある日、アニメを見ていたときにバイクが走り去る際にできるテールランプの残像を見て「これだ!」と思い、キャラクタデザインの担当と話し合って「紅いマフラー」を追加してもらいました。
 紅いマフラーがテールランプの残像のように、キャラの軌跡を描いていくというアイディアは自分でも「結構いけるはずだ」と確信はあったのですが、実際にプログラムで動かしてみると「ありえない」くらい伸びるマフラーになっていました…。これはこれでインパクトがあったので結果は良かったのですが。やはりアイディアというのは色んな人の手を経ることによって磨かれていくものだなと思いました。
 


ご自身がプレイしたことのあるゲームの中で、「名作」と呼ぶべきゲーム作品を1タイトル挙げるとすれば何ですか?そして最後に、そんな名作を作り出すために一番大切だと思うこと、作品を世に送り出すにあたって心がけていること、そして「こんなゲームを作りたい」といった、今後のゲーム・エンタテイメント業界におけるご自身の展望をお聞かせ下さい。

  山口氏:
 やはり『ファイナルファンタジー』シリーズでしょうか。スーパーファミコンの頃にプレイをしていて、ドット絵に、こんな壮大なストーリーと、映画を観るような感動を詰め込めるのかとショックを受けましたね。アニメからゲームに転身するきっかけになった作品でもあります。

 今のゲームというのは昔のゲームと比べると「総合エンターテイメント」になっていると思います。アメリカでは映画業界からゲーム業界に人材が流入してきていますし、企画、プログラム、映像、音楽とあらゆる面で高度な技術を要求されるようになっています。
 ゲーム業界を目指している人はゲームだけでなく、あらゆるものに興味を持って欲しいですね。「ゲームのネタがゲーム」だとマニアックなものになりがちで購買層が広がりません。
 ゲームはもっと色んな要素を放り込めるメディアだと思うので、思いもよらないアイディアで新しいジャンルを作り出せる可能性があります。今、なかなかゲームが売れなくなっているのも購買層を広げるためのアイディアが不足しているのだと思います。現在のゲーム業界に風穴を開けるようなアイディアを持った人がどんどん出てくれることを期待しています。

 将来的にやってみたい事としてはフルCGアニメの映画を作ることですかね。ゲームは何でもありだと思うので、そのうちCGアニメの間にちょっとミニゲームが入っているような作品を制作したいと思っています。

 


 「最近挑戦していることは?」との質問に「DVDハードディスクレコーダーを2台買って自宅のビデオライブラリーのデジタル化を推進していますが、思ったより手間と時間がかかるものだと痛感しています」と答えられた山口さん。お仕事柄、きっと膨大な量の映像をご覧になっているのでしょう。そんな山口さんのようにゲーム以外の事も良く知り、既成概念を打ち壊すようなアイディアを生み出せる人が、今後のゲーム業界には必要なのかもしれませんね。もっとお話をお伺いしたいところですが、今回はここまでです。それでは、次回のお友達を紹介していただきましょう。

  山口氏:
 タイトーの青木洋さんを紹介します。
 飲み友達で作品のダメだしをしてくれる熱心な『忍』ファンでもあります。アクションゲームへのこだわりは誰にも負けない人です。

 

 


 青木さんは、ミュージシャンのGacktさんをメインキャラクタのモデルに起用して話題となったアクションゲーム『武刃街』のディレクターを務められた方ですね。一体、どんなお話をお伺いすることが出来るのでしょうか?次回もお楽しみに!それでは山口さん、今回は本当にありがとうございました。