Last Update:2004/10/14
週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!
>>第162回

安田 朗さん
今回のゲストは、『ファイナルファイト』『ストリートファイターII』シリーズ、テレビアニメ「機動戦士ターンエーガンダム」など、数多くの作品のキャラクタデザインに携わってこられた安田朗さんです。カプコン時代は“あきまん”のペンネームで活躍されていた安田さんが、イラストレーターとして道を歩もうと決心されたのはいつごろだったのでしょうか?早速お話をお伺いしていきましょう。

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最初にこれまでの職歴や現在携わっているお仕事をお聞かせください。また、安田さんがイラストレーターになろうと決心されたのはいつごろの事でしたか?

 

安田氏:
 最初はカプコンに入社し18年程勤め、『ファイナルファイト』や『ストリートファイターII』『ヴァンパイア』シリーズなどの格闘ゲームのアートディレクターを主に担当してきました。最近では『レッドデッドリボルバー』のキャラクタデザインをはじめとする、アート周りの監修を途中までしていました。
 今から1年前に完全フリーになりまして、現在は「ガンダムエース」という雑誌に連載している漫画を中心に、イラストやゲームのキャラクタデザインの仕事をしています。

 イラストレーターの道を選ぶ決心、というような劇的な場面はなかったと思いますが、モノを作る仕事というとらえ方では、小学校の低学年の時に絵に関連した仕事に就こうと考えていました。

 


小学生の頃に自分の道を決められていたのですか!?驚きです。初志貫徹とはまさにこのことですね。では、前回ご登場いただいた、船水さんと出会った時の第一印象はどのようなものでしたか?また、船水さんとのお付き合いの中で、面白いエピソードなどありましたらお聞かせ下さい。


  安田氏:
 船水さんは、物事を何でもかんでもズバズバ言うので、最初は苦手な人でした。でも実はものすごくまじめで、本当に仕事のことを考えている方なので尊敬しています。
 船水さんとのエピソードで印象的なのは『魔界村』のロケテストの頃の話なのですが、僕が船水さんのバイクの後ろに乗せてもらう時、不安がる仕草をすると「俺のライディングを信用できないのか?」と言われ、「凄い自信だなぁ」と思いましたね。
 また、僕がアメリカに行って、いろいろ困ったことになったときには、親身になって相談に乗ってくれたり、自分の得にもならないのに手伝ってくれたりしてくれて「船水さんって“ゴイス”」と思いました。
 


これまで安田さんが携わってきた作品の中で、特に思い入れが深い作品を教えてください。また、「イラストレーター安田朗」を形作るうえで、影響を与えられた作品などありましたか?

  安田氏:
 『ストリートファイターII』も思い出深いこと満載でしたが、アメリカにまで行って制作していた『レッドデッドリボルバー』の思い入れは強いですね。制作の途中、提携会社が突然買収されちゃってびっくりさせられたり、アメリカ国内でゲーム発売後「評判が良いよ」との声を聞き、本当に嬉しい思いをさせてくれたりと、色々な思いを感じさせてくれました。

 子供の頃に見聞きして影響を与えられたと思うモノは、宇宙とか科学を扱った書籍やアニメーションではないかと思います。
 さらにさかのぼると、「アラビアンナイト」や「アンデルセン物語」などに載っていた不思議な物語になると思います。
 僕が子供の頃、科学は魔法のようにドキドキするものでした。世間には科学的なモノ、宇宙的なモノでいっぱいだったのです。その頃の僕が一番読んだ本は、学研の「宇宙」という本です。小学校に上がる前から親に与えられ、ぼろぼろになるまで読んでもう一冊買ってもらったりしました。
 その後、大人びて「シャーロック・ホームズ」などを読むようになるのですが、それよりも「キャプテンフューチャー」「レンズマン」「新世界遊撃隊」「惑星ハンター」「鋼鉄都市」といったSF小説の方がよく記憶に残っています

 映像作品では「鉄腕アトム」「海底少年マリン」「サイボーグ危機一髪」「バイオニックジェミー」「サンダーバード」「謎の円盤UFO」「原潜シービュー号」「スタートレック」ですね。
 少年の頃に触れた科学、宇宙的なモノは今でも僕の身体の大部分を占めていると思います。
 その他には子供の頃に買ってもらった美術の本に載っていた世界中の名画に、かなりの影響を受けたと思います。小さな絵でしたが、ひとつひとつ見入ってしまいました。その時はドガやダリなどの作品が凄く好きでしたね。

 


「こんなゲームをつくりたい」「こんなゲームで遊んでみたい」など、今後のゲーム・エンタテイメント業界全体への希望などをお聞かせ下さい。そして、安田さんご自身が、今後挑戦してみたいことはどんなことですか?

  安田氏:
 今よりも、もっと高い解像度になった画面に描かれた絵による格闘ゲーム、あるいはアクションゲームを遊んでみたいです。
 ゲーム業界から遠ざかるチョイスをした今は、とにかく個人的なスキルを2倍3倍にして、あらゆる創作に高い能力で対応できればいいなぁと思っています。
ゲーム業界はまだまだ若いはずなので、これからもきっと伸びると思いますし、そう願っています。

 僕が今、一番興味を持って挑戦したいのは漫画についてのいろいろです。
 漫画は日本で大発達している絵を使った物語で、そこでは通常、大量に線画を描かねばなりません。
 個人が行うにはあまりに膨大な作業量が必要で、アイディアを喰らう「漫画」と付き合うことが出来れば、自分の絵描きとしての“土台”というか“骨格”というか、“器”が大きくなれると実感しています。
 漫画の修行が一段落したら、遅くても10年後から1つの絵を限界まで追究する作業に入ります。それは絵の普遍性を追求したモノになります。そしてさらに10年後には映像の仕事をしたいと思っています。

 


では、自分がプレイしたことのあるゲームの中で、「名作」と呼ぶべきゲーム作品を1タイトル挙げるとすれば何ですか?そして、そんな「名作」を作り出すうえで一番大切だと思うことをお聞かせ下さい。

  安田氏:
 名作といえばコナミの『グラディウス』です。
 画面も芸術的に美しいし、シンプルなのに宇宙の冒険を感じさせてくれた作品です。どんなところからでも、頑張れば復活できるし、音楽も突き抜けていて何もかもが素晴らしい永遠の名作です。

 名作と呼ばれるタイトルだけではなく、ゲーム作りをメインにしていた時のことを振り返ってみると、ゲームを作るときにはチームワークが大事だったなぁと思います。チームワークが良かった時は良い作品になったと思います。
 その他には、積み重ねていくことと、忍耐が大事だと思います。そして、そういうことを無理なくするには、なにより「良いゲームにしたい」という夢と情熱を持ち続けることが一番大事なことだと思います

 


 安田さんの絵に対する情熱は、いつまでも果てることなく続いていかれるようですね。ゲームの世界から少し距離をおかれているとのことですが、いつかまた安田さんの描かれたキャラクタでプレイできるゲームが登場する日が待ちどおしいです。もう少しお話をお伺いしていきたいところですが今回はここまでです。それでは、次回のお友達を紹介していただきましょう。

  安田氏:
 カプコン時代の後輩で『機動戦士ガンダム 連邦VS.ジオン』や『ガチャフォース』のディレクターを務めた富田篤さんを紹介します。一度、一緒に仕事をしてみたかった優秀な企画マンです。
 

 大ヒット作となった『機動戦士ガンダム 連邦VS.ジオン』の製作に携われた富田さん。一体どんな話を聞くことができるか楽しみですね。次回もお楽しみに!それでは安田さん、今回は本当にありがとうございました。