Last Update:2004/08/30
週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!

>>第156回
スクウェア・エニックス
石井 浩一さん

今週のゲストは『聖剣伝説』シリーズを生み出し、また、『ファイナルファンタジー』(以下『FF』)シリーズのマスコットキャラ「チョコボ」の考案者でもある石井 浩一さんです。石井さんが『聖剣伝説』シリーズ、「チョコボ」を生み出したきっかけとはなんだったのでしょうか?早速伺ってみましょう。
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Character Illustration Shin'ich Kameoka

前回ご登場いただいた、『FF』シリーズで一緒にお仕事をされている天野さんとの第一印象はどのようなものでしたか?また、天野さんとのお付き合いの中で、面白いエピソードなどがありましたらお聞かせ下さい。

 

石井氏:
 『FF I』の開発当初、世界観のイメージを膨らませるためにいつも天野さんの画集を眺めていたんです。ですから、僕には『FF』のイラストを頼むなら天野さん以外は考えられませんでした。なので実際に会えた時はすごく感動しましたね。ただのいちファン状態でしたから。
確かその時だったと思うんですけど、坂口さんから「今日、天野さんが来るけど、あくまでも仕事だから、みんなでサインをねだらないように」と警告されていたにも関わらず、天野さんに挨拶するやいなや僕がまっ先に画集にサインをしてもらってしまって。僕がきっかけで天野さんへのサイン会の列ができちゃいました。あの時の坂口さんのあきれた顔は今でも覚えています(笑)。

 天野さんとのエピソードで一番印象深いのは、『FF XI』のワールドマップ製作の時の出来事ですね。僕が『FF XI』を担当することになり、ネットワーク内の世界を表現すると同時に『FF』の集大成と言えるような絵が必要だと考え、天野さんにイメージを伝え、描いて頂くことになりました。
後日事務所に行くと、タタミ4畳分の巨大な白い紙が並んでいて、何に使うつもりなのか天野さんに訊ねたんです。

石井:「なんですか、これ?」
天野:「うん。これに書こうと思って」
石井:(え??)
天野:「金箔も張るから、かなりの大仕事になるなあ」
石井:(ぐわっ)

天野さんと僕のスケールの違いを垣間見た瞬間でした。

 


『FF I』『II』『III』『XI』、『聖剣伝説』シリーズ、『チョコボスタリオン』など、これまで石井さんが携わってきた作品の中で、特に思い入れが深い作品を挙げてください。また、開発にあたりこだわったことなどございましたらお答えください。


  石井氏:
 やはり、一番思い入れのある作品はシリーズ最初の作品となったGB『聖剣伝説 ファイナルファンタジー -外伝-』です。『FF IV』の頃に坂口さんがGBの新規タイトルである『聖剣伝説 ファイナルファンタジー -外伝-』を任せてくれて、あらゆるものを自分の世界観だけで表現できるチャンスを得ることができたんです。そこで『聖剣伝説 ファイナルファンタジー -外伝-』では4つのことをキーワードに、自分の世界観を表現していきました。1つめは「『FF』とは違うアプローチのゲームであること」、2つめに「タブーとされていたアンハッピーエンドとなる"せつなさ"をテーマにしたストーリーであること」、3つめには「女性や低年齢層の子供達といった、アクションが苦手なプレイヤーでもエンディングまでいけるアクションRPG」、そして、最後が「キャラクタ・モンスター・背景が絵本のようなファンタジービジュアルの統一感を持たすこと」です。
 自分の世界観で初めて作り出したタイトルですので、『聖剣伝説』シリーズのなかでも、最初の作品である『聖剣伝説 ファイナルファンタジー -外伝-』への思い入れは強いですね。

 


『聖剣伝説』だけではなく、『FF』シリーズのマスコットキャラ「チョコボ」の生みの親とお聞きしましたが「チョコボ」の名前の由来、生み出すまでの思い出などありましたらお聞かせください。

  石井氏:
 チョコボの原点は小学校低学年の頃に祭りの夜店で買ってもらったヒヨコです。そのヒヨコがある程度まで成長した、ヒヨコでもないニワトリでもない姿をモチーフにしています。
その後、夜店で買ったヒヨコはニワトリに成長してしまい、親がもう飼えないと判断して誰かにあげてしまったんです。僕が学校から帰ると家にヒヨコがいなかった。そのすごく悲しかった思い出が頭の片隅に残っていて、チョコボを生み出したのかもしれません。
チョコボの名前の由来は、昼休みの時間に、チョコレートのテーマソングを口ずさみながらチョコボの絵を描いていたからです。みなさんが想像していたとおりだと思います。


 


それでは、自分がプレイしたことのあるゲームの中で、「名作」と呼ぶべきゲーム作品を1タイトル挙げるとすれば何ですか?

  石井氏:
 ファミコンディスクシステム用にリリースされたアクションRPG『ゼルダの伝説』です。プレイを通して、自分の中で様々なイメージやアイディア、表現の可能性が広がりました。僕がゲームの中での世界作りを強く意識しはじめたのもこの作品がきっかけです。


 


最後に、これまでのお仕事の中で、"これは良い"と感じたアイディアが浮かんだ瞬間はありましたか? また、そのアイディアがどういった作品でどんな風に使われたのかお聞かせください。

  石井氏:
 素晴らしいアイディアと言えるのは「世界観とゲームシステムを融合させることでゲームの中に"世界"を表現できるはずだ」と思い付いたことですね。
『FF I』の時は、その考え自体を世界観の軸として打ち出しました。世界を形成する「風」「火」「水」「土」の4つの属性の相互関係を「クリスタル」という形でゲームシステムにルールとして組み込み、データをリンクさせることで『FF I』の"世界"をユーザーに実感させることができたと思います。
その考え方の姿勢が、『FF I』から『聖剣伝説』に引き継がれていき、『FF XI』へ続いていきました。『FF XI』では、種族やアイテムなどゲーム中のあらゆるものに意味を持たせ、データを張り付けていきました。それらの、意味を持たせた"全てのもの"を繋ぎ合わせることによって「ヴァナ・ディール」をプレイヤーが実感できるところまで昇華できたと思います。

 


 ゲームの中に「世界」を作り出すことにこだわり、細部まで作り込んだ「世界観」とゲームシステムを繋ぎ合わせることによって、「ヴァナ・ディール」というネットワーク世界を作り出すまでに至ったのですね。
 また、カワイイ「チョコボ」誕生の裏に少し切ない石井さん自身の思い出が関係していたというお話は大変興味深いエピソードでした。まだまだたくさんのお話をお聞かせ願いたいところですが今日はここまで。それでは次のお友達を紹介していただきましょう。

  石井氏:
スクウェア・エニックスの河津秋敏さんを紹介します。『FF I』の開発以来、酒を飲みながらゲーム談義をしていた仲です。いつまで独身生活を続けるんだと心配していましたが、最近結婚して幸せそうです。

 

 スクウェア・エニックスの河津さんはゲームボーイソフト『魔界塔士Sa・Ga』、PS2『アンリミテッド・サガ』といった、ほとんどの『サガ』シリーズに携われた方ですね。一体どんなお話を聞くことができるのでしょうか?次回もお楽しみに。それでは石井さん、今回は本当にありがとうございました。