Last Update:2004/08/02

週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!
>>第153回
ミストウォーカー
田中 謙介 さん
先日、代表である坂口博信さんの口から始動が伝えられた開発スタジオのミストウォーカー。今回のゲストは、陣頭指揮を執る坂口さんを陰ながら支える、同社の田中さんです。日々、ゲームの仕事に大きな魅力を感じていらっしゃるという田中さん。その理由とは、一体どんなものなのでしょうか。
 

まず最初に、田中さんがこれまでに携わられてきたお仕事について、お聞かせください。

  田中氏
 もともとは広告業界の出身です。ゲーム業界に入る前は、飲料・自動車・IT市場などの宣伝や新商品開発、さらにキャンペーン戦略などに約10年間携わっていました。その後、スクウェア(現スクウェア・エニックス)での仕事を経て、現在はミストウォーカーで新プロジェクトに参加しています。
 スクウェアでは、PlayOnlineや『ファイナルファンタジーXI』といったオンライン事業の裏方作業や、ゲームの各種販促・開発支援、メディアやパートナー企業との連携などを担当させていただきました。
 開発・宣伝・営業と、関わってきた仕事の種類はいろいろとあるのですが、それぞれの具体的な内容について、はっきりとこうです、と自分の仕事を説明するのは難しいですね。乱暴に言ってしまうと、ゲームメーカーの“裏方”という感じです。
 現在は、ミストウォーカーでゲーム開発を中心とした、複数の新プロジェクトに携わっています。
 


前回ご登場いただいたモノリスソフトの野村さんと出会ったときの第一印象は、どのようなものでしたか?


  田中氏
 野村匡さんとは、今から5年前位にスクウェアのオンライン事業(後のPlayOnlineと『ファイナルファンタジーXI』)立上げ準備で一緒に仕事したときにお会いました。当時、長い髪をまとめた頭にトレードマークの眼鏡と赤ペンのスタイルで、猛烈な勢いで宣伝原稿の文字校正をしていた姿が印象深かったですね。最初はコピーライターさんかと思ってしまったような…ごめんなさい(笑)。
 スクウェアの開発クリエイター陣はとても魅力的な人達が多いのですが、宣伝など開発以外の各部隊にもおもしろい人たちがいっぱい集まっていましたね。
 


これまで、自分の仕事に影響を与えた書籍やゲームなどがあればお教えください。

  田中氏
 ちょっと古めかしいかもしれませんが、司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」です。近代日本の、ある歴史を基にした小説なのですが、歴史小説を題材にしたシミュレーションゲームや他のシミュレーションゲーム好きの方にもエンタテインメントとしても楽しめる作品だと思います。機会があったらぜひ、読んでみてください。
 あと、最近変に印象深かったのは「ドラゴンフライ」だったりします。これは、老朽化を受けて2001年3月、南太平洋に指令落下となったロシアの軌道ステーション「ミール」とNASAとのコラボレーションの実話なんです。ですが、もう、とにかく、他人事とは思えないような…(涙)。「プロジェクトX」的な感動回顧録に食傷気味の貴方にお奨めします。
 ゲームでは…、人生を変えてしまったRPGとシミュレーションゲームがひとつずつ。あと、かなり古いタイトルですが『アート オブ ウォー』というシミュレーションゲームに衝撃を受けたことも覚えています。
 


田中さんにとってゲームの仕事の魅力とはなんですか? また、仕事に煮詰まったときにリラックスする、息抜き方法があればお聞かせください。

  田中氏
 ゲームの仕事って、少し比喩が悪いかも知れませんが、学生時代の学園祭前夜のような熱気と魅力があると思うのです。これは前職の広告の仕事も同じだったかも知れません。
 しかも、現在のゲームの仕事は良くも悪しくもとても幅広い人たちに支えられています。タイトルの中心となる開発陣はもちろんのこと、宣伝や営業といったスタッフやユーザーに届ける流通の人たち。そして一緒にゲームを盛り上げていく出版社や他業種の方々などなど。“ゲームの仕事”とは、そんなすごくたくさんの人々が創っていく不思議なお祭り…そんな気がしています。
 そんな熱気の中、才能溢れる人や情熱溢れる人と一緒に仕事できたり、新たに出会えたりすることも、大きな魅力だと思います。
 リラックス方法ですか? うーん、眠れないほど疲れた日には、深夜のMMORPGが一番です。そして、本当に眠れなくなり…、ますます生産性が…。あれ? だめですね(笑)。
 


参加したいプロジェクトなど、今後のゲーム・エンタテイメント業界についての希望・展望をお聞かせ下さい。

  田中氏
 「一社だけの作品」「あるクリエイターだけの作品」というアプローチではなく、様々な人達の、あるいは数社のコラボレーションで創り上げる作品創りにとても関心を持っています。プロジェクトに結集した、内部・外部問わず携わったスタッフ全員が「あれは僕らの作品だ」と言えるようなプロジェクトを組んでいけたらいいな…と思います。
 まだ、詳しくお話できないのが残念ですが、現在ミストウォーカーですでにスタートしているいくつかのプロジェクトからも、そんな広がりの手応えを充分に感じています。
 また、そんなエネルギーを持つ新たな作品群が、市場全体の新たな地殻変動への起爆剤のひとつになれたら…と考えています。
 


一般にゲームソフトは、特定のクリエイターや企業内のみで制作されます。その“慣習”を打ち破り、幅広いジャンルのクリエイター集団と協力し合ってタイトルを作っていきたいと語る田中さん。今後、そうした積極的な姿勢を見せる田中さんならではの、新しい作品を生み出していってくれるでしょう。もっとお話をお聞きしたいところですが、残念ながら今回はここまで。それでは、次回のお友達をご紹介いただきましょう。

  田中氏
 ミストウォーカーを牽引する、坂口博信さんをご紹介します。
 

日本を代表するRPGのひとつ、『ファイナルファンタジー』シリーズ。その産みの親である坂口博信さんに、次回のゲストにご登場いただきます。はたして、どんなお話をお聞かせいただけるのでしょうか。次回もお楽しみに! それでは田中さん、本日は本当にありがとうございました!