Last Update:2004/07/20

週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!
>>第151回
ステラヴィスタ
野島 一成 さん
RPGやアドベンチャーゲームで、ユーザーを感動させる要素のひとつがシナリオ。今回のゲストは、そのシナリオの制作を生業とされているステラヴィスタの野島さんです。野島さんは『ファイナルファンタジーVII』をはじめ、数々の『ファイナルファンタジー』シリーズのシナリオを手掛けられていらっしゃいます。はたしてユーザーの涙を誘う名シーンは、どんなときに生まれるのでしょうか? それでは、お話をお聞きしましょう。
C)2001 SQUARE CO.,LTD.  CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA

野島さんが現在のお仕事に就く決心をしたのはいつ頃、どんなことがきっかけでしたか? また、これまでに携わられた作品などもお教えください。

  野島氏
 札幌で生まれ育ち、20歳くらいのときに大学を辞めて、これといった夢や希望もなく、かと言って不幸でもなく、日々アルバイトに勤しんでいました。そして稼いだお金はエレキギターに注ぎ込んでいましたね。ギターの本数を増やせば上手くなると思っていたんでしょうか(笑)。
 そんなある日、とても高いギターが欲しくなって、ローンを組もうと考えたことがありました。しかしローンの審査が通らず、これはもう就職するしかないと思ったんです。そうしたら友人がたまたま当時できたばかりのデータイースト札幌開発室に就職していて、その彼から社員募集中の情報を得て、応募したのが始まりです。そして1年間の東京研修で上京したのですが、なぜかそれ以来居ついてます。
 データイースト時代に『探偵 神宮寺三郎』シリーズの3作目『探偵 神宮寺三郎 危険な二人』と4作目『探偵 神宮寺三郎 時の過ぎゆくままに』、『ヘラクレスの栄光2~タイタンの滅亡~』『ヘラクレスの栄光3~神々の沈黙~』『ヘラクレスの栄光4~神々からの贈り物~』のシナリオを中心に担当しました。その後30歳記念でスクウェア(現スクウェア・エニックス)に入って『バハムート・ラグーン』のディレクターを拝命。シナリオでは『ファイナルファンタジーVII』『ファイナルファンタジーVIII』『ファイナルファンタジーX』『ファイナルファンタジーX-2』『キングダムハーツ』に関わりました。そして昨年、40歳記念で独立しました。
 


それでは、前回ご登場いただいた植松さんと出会ったときの第一印象はどのようなものでしたか?


  野島氏
 『ファイナルファンタジーVII』の開発に携わっていたころ、仕事の件でメールをもらったのが最初です。
 そのメールに、古くて誰も知らないようなプロレスラーの名前を
使ったギャグ(当然くだらない)が書いてあったんです。「同僚とは言えほとんど見ず知らずの人間に、しかもプロレスを好きかどうかもわからぬ相手に、このネタかい!」と、一体どんな人なんだろうと思っていましたね。
 今ではすっかり唐突なネタフリにも慣れましたが。
 


これまでに自分が携わったタイトルの中で、特に記憶に残っているものは何でしょうか? また、いちユーザーとして「名作」だと考えているソフトを挙げてください。

  野島氏
 自分の仕事の中で特に忘れられないタイトルは『ヘラクレスの栄光3』でしょうか。僕にとっていろいろな意味で転機になったゲームです。
 シナリオの後半部がなかなかできなくてスタッフに怒られたのですが、今となっては懐かしい思い出です。このタイトルは25~26歳のときに作ったはずですが、今見ると拙さがやたらと目についてしまいますね。もし過去に戻れることができるのなら、当時の僕に、あそこと、ここと、そこを直せと助言したいです。絶対言うことをきかないと思いますが。
 1人のユーザーとして名作だと思っているのは『ICO』ですね。あんなに感情移入して遊んだゲームはありませんでした。
 大抵のゲームは様々な面で良くも悪くも過不足があると思うのですが、あの“丁度良い感じ”は見事です。『ファイナルファンタジーX』のプロモーションで欧州数ヶ国を巡ったことがありますして、そのときも各国で同じような質問を受けたのですが、僕はいつも『ICO』と答えていました。
 


お仕事中に煮詰まってしまうことも多いかと思いますが、息抜きはどのように行っていますか? また、アイディアが浮かぶ瞬間についてもお聞かせください。

  野島氏
 玉川高島屋のスターバックスの外がかなり好きです。新国立劇場の中庭周辺もいいですね。駒沢公園も好きです。こうして考えると、世間の空気に触れることでリラックスしているようです。
 直接でもメールでもなんでもいいのですが、人と会話をしている最中にアイディアが生まれることが多いですね。登場キャラクタのしゃべり方や考え方には大抵身近なモデルがいますし。
 思いついた小ネタはその都度メモするようにしているのですが、ある日突然、これらがキッチリ組み合わさって見えてくることがあります。このときは、光どころかすべてを見渡せる神の目を得たような気分です。この気分になるのは、経験上、午前3時くらいが多いようです。そうなると一気呵成に作り上げるだけなのですが、神の目で見たものでも表現するのは人間ですから、これがなかなか上手くいきません……。
 人それぞれ、表現は違うとは思うのですが、何かを作ることに関わっている人は、こういう体験があるのではないでしょうか。まあ、僕の場合はそんな大げさなものではないし、勘違いも多いのですが(笑)。
 


最後に、今後クリエイターを目指している読者へ向けて、メッセージをお願いします。

  野島氏
 業界を目指す皆様。若いうちにご意見番みたいになってしまう人が多いので、気をつけましょう。
 そうならない秘訣は、他人より先に動くことだと思います。意見するより、される側。キツイことも多いですが達成感が段違いですよ。
 僕自身、今後もリスクを恐れない挑戦者であり続けたいと思っていますので、よろしくお願いします。
 


室内でのお仕事が多いためか、屋外に出るとリラックスするという野島さん。『ファイナルファンタジー』シリーズや『キングダムハーツ』におけるクライマックスシーンなども、公園などで生まれたのでしょう。さて、もっとお話をお聞きしたいところですが、今回はここまで。次回のお友達をご紹介いただきましょう。

  野島氏
 モノリスソフトの野村匡さんをご紹介します。野村さんとは『バハムートラグーン』のころからお付き合いさせていただいています。出会ったときから、ハードロック・ヘビメタ談義です。飲みすぎに注意してくださいね。
 

大作RPG『ゼノサーガ』シリーズの開発を手掛けるモノリスソフト。野村さんは同社で宣伝をご担当されていらっしゃる方です。ゲームの魅力をプロモーションという形でユーザーに伝える、宣伝のお仕事について、いろいろとお聞かせいただけそうです。次回もお楽しみに。それでは野島さん、今回は本当にありがとうございました。