Last Update:2004/06/21

週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!
>>第147回
パンチライン
木村 祥郎 さん
独特な世界観が当時のユーザーに衝撃を与えた『MOON』『チュウリップ』。これらの作品を手掛けられたパンチラインの木村祥郎さんが今回のゲスト。他では見られないオリジナリティに溢れた作品を生み出した木村さんは、はたしてどんなクリエイターなのでしょうか。2つの良作の陰には、深い苦悩が隠されていたのです!
(C)2002 PUNCHLINE
(C)2002 Victor Interactive Software Inc.

木村さんが現在のお仕事に就く決心をしたのはいつ頃、どんなことがきっかけでしたか? そのときのエピソードなどと合わせてお聞かせ下さい。

  木村氏
 僕がゲームを作りはじめたのは、中学1年生のとき。パソコンをお小遣いとバイトしたお金で買って、ベーシック言語で一発ネタみたいなゲームを作っていました。
 その時代に『ロードランナー』というのがありまして。その作者のダグ・スミスという人に憧れていました。そのときの学校の文集かなんかで、「なりたい職業・ゲーム作る人」というのを書いた覚えがありますな。
 ちなみに、その後、ぱたっとゲームを作るのをやめて、芝居や漫画、なんでもかんでもに手を出していました。
 …で、また突然、大学卒業時に友人とゲーム作ろうという話になりましてね、そこで「こりゃ、おもろい。おれ、なんで止めてたんだろう…」と思ったわけです。
 そして、新卒募集してたスクウェア(当時)を受けました。
 2年後、シアトルのスクウェア(当時)にダグ・スミス氏がいて、偶然、青春時代の憧れの人物に会えました。感動したなぁ。
 


木村さんの作品に強い影響を受けたクリエイターや衝撃を受けたユーザーが多いと思われます。反対に、木村さんが影響を受けた作品などはありますか?


  木村氏
 僕が物語を作ることに強烈に惹かれたのは、大学時代に唐十郎のテント芝居を見に行ったときからだと思います。
 神社にテントが立ち、変人たちが大騒ぎして、そして3~4日後にはその神社から影も形もいなくなる。…その超自然現象のようなインパクトが、僕に芝居や語りをやる力を与えてくれたような気がします。
 このときの経験が『チュウリップ』に生きています。『チュウリップ』には僕の演劇的な演出がかなり色濃く残っていると思いますね。
 


なるほど。それでは、『チュウリップ』に関して、また別のエピソードはありますか?

  木村氏
 『チュウリップ』はこれまでに手掛けた作品の中で、最も思い出深いタイトルです。
 実は『チュウリップ』開発の2~3年前に一度、重い病気になって「ゲーム作るのやめようか」「どうやって生きていこうか…?」と本当に悩んでいた時期がありました。でも、そこから、じわーっと心の底で「ゲーム作りたい。もっと作りたいんだー」ってパッションが沸いてきましてね。それから本当に色々なことがあって、開発にこぎつけました。
 僕の心が復活した理由は2つ。
 ひとつは、スキップの鈴木さんの言葉のおかげ、もう1つは、明大前の御近所付き合い。
 この2つが僕の体と心を回復してくれたと思うんですわ。ちなみに明大前では近所の飲み屋にしょっちゅう行って、そこでワイワイやっていました。東京に親戚というか家族ができたようで、心が落ち着きました。僕はいつのまにか奈良の人じゃなくて東京の明大前の人に変わったんやなーと思います。
 


『チュウリップ』開発の背景には、そんなことがあったんですね。いろいろな登場人物と“チュウ”をしていくというシステムが、木村さんの心情を表しているのでしょうか。では、『MOON』に関するエピソードをお聞かせください。

  木村氏
 すごいっつうほどのもんでもないんですが、良いキャラクタを作れたと思います。『MOON』の中に「よしだ」っていうキャラがいましてね。鳥なんですが、あれはおもろかったかな。いままで手がけたキャラの中で一番ひょうきんで好きなキャラクタです。
 なんか、某銀行のキャッシュディスペンサーでお金を下ろしていたとき、鳥の声が聞こえてたんです。その後、道を歩いているときに鳥が関西弁しゃべるっつうのが思い浮かんで、一人で笑っていました。
 はたから見ると、気持ち悪かったと思いますわ。
 


『チュウリップ』以降、新作の発表がないようですが、次回作についてお聞かせいただけますか?

  木村氏
 実は、趣味で人形アニメを作っていまして、最近完成しました。その作品で広島アニメーションフェスティバルに応募してみたんですが、落選したみたいです。
 やっぱ、そんな簡単にはいかんね。精進精進。このアニメ制作はどんどんやりますよ。
 新作はちょいとまだ発表できんですわ。ただ、いろんな過程をへて、今回の作品はかなり自分にとってのチャレンジ作であるのは間違いないですね。
 『MOON』や『チュウリップ』みたいなタイトルを連続で作るのはちょっと止めて、別の自分を見てみようと思っています。
 


学生時代から多趣味で様々な分野の作品に触れてこられた木村さん。その経験が、独自の世界観を形成していったのでしょう。もっとお話をお伺いしたいところですが、今回はここまで。それでは、次回のお友達を紹介していただきましょう。

  木村氏
 倉島一幸さんをご紹介します。わしは倉島の絵が本当に好きです。ある意味ファンです。いつかまた、一緒になんかできるとええなぁと思っています。
 

倉島一幸さんは『MOON』『チュウリップ』のキャラクタデザインを手掛けられた方ですね。木村さんの作品には欠かせないクリエイターさんの一人です。両作品や木村さんに関するおもしろいお話を聞くことができそうです。次回もお楽しみに。それでは木村さん、本当にありがとうございました。