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まず、宮下さんが作家になられたきっかけと、これまでに手がけられた作品についてお聞かせください。また、発売間近の『探偵
神宮寺三郎 KIND OF BLUE』をご執筆された際に心掛けられたことなどがありましたら、そちらもお願いします。 |
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宮下氏:
最初は、テレビ映画の助監督からスタートしました。そのあと、石原プロにプロットを持ち込んで、「西部警察」の第7話でシナリオライターとしてデビューしました。その後、「特捜最前線」「ベイシティ刑事」「刑事貴族」などの刑事モノをはじめ、「仮面ライダーBLACK」「特捜エクシードラフト」「重甲ビーファイター」「忍風戦隊ハリケンジャー」などの特撮ヒーローモノ、そして「キャッツアイ」「ルパン三世」「名探偵コナン」「PROJECT
ARMS』といったアニメに携わっています。
他に映画やVシネマなどなど、数えたことはありませんが、おそらく1,000本近く執筆しているかと思います。
ゲームに関わるようになったのは、先輩シナリオライターの杉村升さん、曽田博久さんらが中心になって設立したフラグシップに参加してからです。
そこで、『バイオハザード コード:ベロニカ』『バイオハザード ゼロ』『バイオハザード ガンサバイバー4』『ゼルダの伝説
ふしぎの木の実』『エルドラドゲート』『鬼武者タクティクス』といったタイトルのシナリオ執筆に参加しました。
今回の『探偵 神宮寺三郎 KIND OF BLUE』も、そのつながりで執筆依頼をいただいたのですが、本来、数人で分担して書く分量のものを、ハードボイルド好きのわがままを押し通して、メインシナリオをすべて一人で書かせてもらいました。
『探偵 神宮寺三郎 KIND OF BLUE』を書くにあたって心掛けたのは、「ドンパチだけでなく(大好きだけど)、人間ドラマとしてのハードボイルド」、この一点です。
そのため(単に怠惰だっただけという声もありますが)、3ヶ月の執筆予定を大幅にオーバーして、半年近くかかってしまいました。
とにかく、辛抱強く待ってくれて、見事なゲーム作品として完成させてくれたスタッフに、ひたすら感謝です。おかげで、自分の作品歴の中でも、間違いなく代表作の一本になったと感じています。 |
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3ヶ月の予定が結果的に半年とは、それだけ『探偵 神宮寺三郎 KIND
OF BLUE』のご執筆に力を入れられていたのですね。ファンとして、ますます同作が楽しみになってきました。さて、宮下さんが現在のお仕事に就く決心をしたのはいつ頃、どんなことがきっかけでしたか?
その時のエピソードなどと合わせてお聞かせ下さい。 |
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宮下氏:
元々、映画監督になりたくて映像業界に入り、助監督をしていました。ですが、これがまったく自分の時間が持てない。一番早く出て一番遅く帰る、そんな毎日でした。当然のこととはいえ、つらかったですね。自分が将来作りたい映画のシナリオはおろか、ストーリーさえ書く時間がないわけです。
そんなとき、友人がシナリオライターとして仕事を始めたのを見て、「何か楽そー。一日、丸々自由に使える。締め切りにさえ間に合えば、途中はどう使っても文句は言われない!」と思ったのです。
まぁ、確かにそのとおりなのですが、結局、シナリオライターにもシナリオライターの地獄がある(当たり前のことですが)ことを、それほど時間を経ず、たっぷりと思い知らされました。
そしてある日、助監督時代のつながりで、石原プロが新番組として「西部警察」を作るにあたって新人のシナリオライターを探している、と伝え聞いたんです。そこで無謀にも10本くらいのプロットを書いて持ち込み、結果、そのうちの1本が採用されて、シナリオ・デビュー(作品として成立するまで半年かかりましたが)したというわけです。
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宮下さんは非常に多くの作品を手掛けられていらっしゃいますが、その中でも刑事モノをはじめとしたハードボイルド作品が多いように思います。ハードボイルド作品をはじめ、自分の作品作りに影響を与えた映像、文学、音楽作品などはありますか? |
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宮下氏:
映画では、アメリカン・ニューシネマ(A・ペン、R・アルトマン)、フィルム・ノワール(J・P・メルビル)、日活ニューアクション(長谷部安春、藤田敏八)、東映実録路線(深作欣ニ)。
文学では、ハードボイルド(J・M・ケイン、ハメット、ロス・マク、チャンドラー、大藪春彦、河野典生、生島治郎、結城昌治)、ノワール(J・トンプソン、J・エルロイ)。
音楽は、ジャズ(C・パーカー、コルトレーン、マイルス、MJQ)などですね。
自分に与えた影響は…、これ言うと読者は絶対、引いちゃうと思いますが(笑)、「人を憎んだっていいんだよ」って思ったことですね。裏を返せば、「人を憎んだことのない奴に、人が愛せるか」ってことなんですけどね。もっと言えば、「そんな人間に、モノが作れるか」ってことです。
「優しさ」だの「癒し」だの「絆」だの「家族」だの「生命の大切さ」だの「平和」だの「明るく」だの「楽しく」だの「笑い」だの、そんなポジティブなキーワードばっかり押しつけられて生きなきゃいけない今の若い子たちが、ホントにホントにかわいそうに思える、今日この頃です。
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先ほど“ポジティブなキーワード”とおっしゃられましたが、そこに含まれないキーワードが大事だということでしょうか。では、今後のゲーム・エンタテイメント業界は、そうした作品を提供していけるのでしょうか? |
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宮下氏:
かつて、映画やテレビは「危ない」までの魅惑を持っていました。(高倉)健さんの映画を観たあとって必ずその気になって、肩をいからせて闊歩するなんて、当たり前のことだったんです。でも、そんな“ヤバイ”魅力は、今の映画やテレビにはほとんどなくなってしまいました。せいぜい、流行のグルメやファッションを作り出せる程度です。
しかし、僕が関わり始めたころのゲームには、それがありました。「ああ、まだこんなヤバイ世界があるんだ」と思い、小躍りしたくらいです。でも、すぐに逆の「危機感」を覚えました。
ゲームが青少年に与える悪影響云々といった批判に、ゲーム業界自ら屈しかねない空気が見え始めたからです。“ヤバく、危ない”魅惑も含めて表現なのに…、ああ、またかよ、と。
それが、すごくイヤです。裾野を広げ、より多くのユーザーを獲得する=売るためには当然なのでしょうが、とにかくイヤです。
自主規制するがごとく、やばいこと、危ないことにフタをして「心優しい」作品ばかり作っていては、絶対に“表現”は滅びます。
フツーの人が見えない、あっても見ようとしない部分に、少しでも届かないかぎり、また届こうとしないかぎり、表現の存在価値はありません。
それは、ゲームも映画も芝居も小説も音楽も同じです。すべてがハリウッドや文部省推薦を目指す必要なんかなく、単館だってロングランの可能性がある時代なのだから、なおさらです。これは、“表現者=クリエーター”として、自分自身が常に自戒を込めて確認していることでもあります。 |
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なるほど、“表現”の消失がゲーム業界における懸念のひとつなのですね。では最後に、宮下さんが一番興味を持っていることや今後挑戦してみたいことをお聞かせください。 |
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宮下氏:
ゲームに関してはシナリオライターとしての参加になるわけですが、できれば一人で全部書きたいですね。これからも。『探偵
神宮寺三郎 KIND OF BLUE』もそうでしたが、大変な作業量ではあるけれど、とにかくやりがいが大きい。書きがいがあります。
映像作品に関しては、進行中の企画もありますが、依頼されて書くだけでなく企画の中心に入りたい、オファーする側に立ちたいと思ってます。ただ、その場合もシナリオは自分で書くでしょうけど。
きっと、書くことは一生続くでしょう。多分、死ぬまで。それがシナリオなのか小説なのか、それとも芝居なのか。そして、金になるのか仕事になるのか、というのはまったく関係ありません。 |
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| 数々のハードボイルド作品を手掛けれられてきた宮下さん。そんな宮下さんだからこそ、何かと問題視されて規制されつつある“表現”に一層、危機感を感じていらっしゃるのでしょう。そして、それがご自身の作品に反映されていることと思います。もっとハードボイルドの魅力についてお聞きしたいところですが、残念ながら今回はここまで。それでは、次回のお友達をご紹介していただきましょう。 |
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宮下氏:
同じフラグシップのメンバーである竹本拓穂さんをご紹介します。竹本さんは僕にとって、信用できるプロデューサーの一人です。飲み会にはいつも一番遅く参加するのに、テンションが一番高い人です(笑)。 |
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竹本さんはフラグシップのスタッフや作品をまとめていらっしゃるプロデューサーの方ですね。何でも、あまりにも忙しいがために人一倍睡眠時間が短いとか。次回は開発にまつわる苦労話が聞けそうです。次回もお楽しみに!宮下さん、今回はお忙しいところどうもありがとうございました。
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