Last Update:2003/12/22
週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!
>>第129回
フロム・ソフトウェア
代表取締役 社長
神 直利 さん
今回は、フロム・ソフトウェア代表取締役社長の神 直利さん。プレイステーション発売初期から「次世代」のゲームに関わり続けた、神さんの見据えるゲームの「未来」とは…?
(C)1997-2003 FromSoftware,Inc. All rights reserved.
まず最初に会社設立から現在に至るまでの流れ、そして現在どのような形で現場に関わっていらっしゃるかをお伺いできますでしょうか。また、会社を設立される決心をしたきっかけはどんな事だったのでしょうか?
神氏
:
1986年にフロム・ソフトウェアを設立しました。当初はビジネスアプリケーションソフトの受託開発をしておりましたが、1994年、プレイステーション発売を契機にゲーム開発に参入いたしました。
家庭用ハードの開発をする前からPCでゲームを作ろうとはしていましたが、作りたいものの構想が膨らみ過ぎ、当時のスペックでは具現化できませんでした。その一方でビジネスアプリケーションソフト開発の方は業績も伸び悩み、閉塞感がありました。そのようなタイミングにSCEさんからプレイステーションというハードの発表があり、詳細を伺っていく中で、スペック、ビジネスの両面から「トライするしかないだろう」という判断をしました。
最近は開発に直接タッチすることは極力避けてきたのですが、来春発売予定の『アーマード・コア ネクサス』については「『アーマード・コア』が本来持っているものを原点から研ぎ澄まそう」という考えがありまして、自らもかなり深い部分まで関わる形で開発を進めています。
以前、バイクに乗って事故を起こしたことがありまして、その治療で入院し、4ヶ月考える時間ができたのですが、その時独立しフロム・ソフトウェアを設立することを決心しましたので、今思えば非常に重要な出来事だったのではないかと思います。
バイク事故が会社設立のきっかけになっていたとは…「怪我の功名」とは、まさにこの事かもしれませんね。それでは、前回ご登場いただいた朝倉紀行さんとは、どんな経緯でお知り合いになったのでしょうか?
神氏
:
知り合ったきっかけは、『天誅 参』(PS2)をフロム・ソフトウェアがパブリッシングすることになり、そしてその『天誅 参』のサウンドが、朝倉さんの手がけたものであったということです。
現在、来春に発売を予定している『天誅 紅』(PS2)のサウンドで一緒に仕事をしておりまして、そちらの新曲を完成前段階でスタジオまで聴きに行ったのですが、その際、前作『天誅 参』の良かった部分と比較し、新曲に入れ込んで欲しい要望を思いつくがまま色々と注文してしまいました。するとそれが最新バージョンで見事に反映されており、とても驚きました。私自身、前作『天誅 参』のオープニング曲がタイトルのテーマとして非常に秀逸であると感じていたため、次回作『天誅 紅』のサウンドを詰める際にも非常に意識してしまいますね。
「Q1」のご解答でも感じたのですが、朝倉さんから「鋭いエンターテインメント的感性の持ち主」と神さんをご紹介していただいた、その意味がわかる気がします。朝倉さんとのコラボレーションによって、どんな作品世界が生まれてくるのか非常に楽しみです。
その『天誅 参』『紅』はもちろん、家庭用ゲームへの参入以降ジャンルやハードを問わず、数多くのタイトルを開発・リリースされていますが、神さんにとって最も思い出深い作品を1つ挙げるとすれば、どの作品でしょうか?
神氏
:
『キングスフィールド』(PS)ですね。最初に作ったタイトルということで思い入れが深いです。完成した時「これで終わった」という安堵の気持ちよりも、「買っていただけるのだろうか」「満足してもらえるのだろうか」といった不安から「発売してからが始まりだ」という意識のほうが強かった記憶があります。
思えば、『キングスフィールド』はプレイステーションの本体発売と同時期にリリースされたタイトルでもありましたね。全く新しいことを、新しいハードの幕開けとともに迎えたわけですね。
それでは次に、今後の事についてお伺いしたいのですが、将来的に「ゲーム」というものが、どのような遊び方、どのような方向へと向かうか、神さんのお考えをお伺いできますでしょうか。
神氏
:
最終的には人対人のコミュニケーション部分に戻ってくるのではないでしょうか?元来ゲームはプレイ時にたとえ1人でも、結局のところタイムアタックのスコアを競っていたり、攻略の速度を競っていたり、多人数で対戦するために練習していたりと、コミュニケーションによって熱狂的な盛り上がりに到達しているのではないかと思います。
現在のMMOゲームの盛り上がりもその流れの延長線上だと考えますし、その先にあるゲームの形も、ある程度コミュニケーションの観点から予想するのが現実的でしょう。その流れはゲームにとって理想的なのではないかと思います。
そういえば、「東京ゲームショウ2003」で発表された新作タイトルの中にも、コミュニケーションやチームワークが非常に重要視されると思われるタイトル(CHROME HOUND -AGE OF ARMS-)がありましたね。個人的に、プレゼンテーションではとても期待感を煽られてしまいました(笑)。
現在は社長という立場から社内におけるタイトル全体をご覧になっている神さんですが、最後に、フロム・ソフトウェアさんのタイトル全般における「ポリシー」がありましたら、ぜひお聞かせ願えますでしょうか。
神氏
:
「ユーザーに対して何かを残す」ことでしょうか。読後感のようなものだと思います。タイトルによって残って欲しいことは異なりますし、また受け取るユーザーによって残ることが異なっても良いと思います。とにかく「何かを残す」ことができれば、作った側としては世に送り出した意義があったものと感じます。
最近、タイトルを作るにあたり最も強く感じているのは、単純なクオリティアップや旧作を改善したゲーム性などといったことでは、ユーザーに残せるものが限られてきているのではないだろうか?という危惧です。今こそ、本来の意味でのゲームということ考える時期なのではないか、と。
今までもそうでしたが、これからリリースされるタイトルについては特に、「ユーザーに残る」タイトルを開発しようという気持ちで真摯に開発を進めています。
力強いお言葉ですね。今後のタイトルも私達の記憶に刺さる、センセーショナルな作品を期待しております! それでは、次回のお友達を紹介していただけますでしょうか?
神氏
:
弊社プロデューサーの、谷口篤士をご紹介します。3Dモデラーを経て、これまでにPS2『くりクリミックス』、GC『RUNE』シリーズのプロデューサーとして開発に携わってきました。現在は来春発売のPS2用ソフト『九怨 -kuon-』のマスターアップに向け、開発真っ只中です。
フロム・ソフトウェアのプロデューサーとしては最も社歴が長く、私とは回数・量ともに「最も多く」飲んでいるプロデューサーでもあります(笑)。
なるほど…「量」というのがまた気になりますね(笑)。新作のお話と一緒に、そのあたりのお話も伺ってみたいと思います。今回はお忙しいところご解答ありがとうございました。皆さん、次回もお楽しみに!