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Last Update:2003/06/23
週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!
>>第118回
(有)企画デザイン工房 戦船
赤司 俊雄 さん
今回のクリエイターは、(有)企画デザイン工房 戦船の赤司俊雄さん。『シルフィード』をはじめ、ゲーム、アニメ、その他多くのSF作品に係わっておられる赤司さんの目から見たゲームとは一体どんなものなのでしょうか…?
(C)BROCCOLI 2003

まず最初に、赤司さんがこの業界に入るきっかけを教えていただけますか?また、これまでに係わった作品、ならびに現在進行中のお仕事などをお聞かせ下さい。

  赤司氏
 学生の頃は、アニメ、マンガに惹かれ手当たり次第に観ていました。河森正治氏のメカデザイン、金田伊功氏というアニメータに惹かれ一時期はアニメ界を目指していました。中でも富野喜幸(由悠季)監督『ガンダム・めぐりあい宇宙』『伝説巨人イデオン・発動編』のあたりで決定的に人生が曲がったように思います。実はゲームはあまりやりません。落とし穴にはまるより、人をはめたいと思う方です。「物語で人の感情が動くこと」への興味が強いですね。人を驚かせたい、人をドキドキさせたい、人を喜ばせたいという指向が強いです。その手段としての映像であり、ゲームであると思っています。新しいことには割と飛びつく方なので、学生時代にたまたまゲームの仕事に誘われた際に飛びついて今に至ります。
 1991年に、大学卒業後すぐ(有)企画デザイン工房 戦船を設立して、しばらくはゲームの演出の仕事とメカニックデザイン関連の仕事をしていました。最初に開発に参加したゲームタイトルは、ゲームアーツ社のメガCD用RPG『LUNAR(ルナ)』で、生意気な学生として進行、雑用、ゲーム演出までなんでもやっていました。その後『シルフィード』(メガCD/ゲームアーツ)に参加、その際にグラフィックディレクションとしてストーリー構成とCGデモシーンをやらせていただいたのがその後の大きな方向性を決めたと思います。
 それからは『LUNAR』シリーズのゲーム演出、CG制作、いくつかのアニメのメカデザインワークの制作プロデュース、その後会社もだんだん大きくなり『エヴォリューション』(DC/ESP、スティング)の演出、一部グラフィック制作、CG制作、『シルフィード』(PS2/ゲームアーツ)のデザインワーク、演出、CG制作、近年では『ガングレイヴ』(PS2/レッドエンタテインメント)のグラフィック、CG制作、『ギャラクシーエンジェル』(PC/ブロッコリー)のゲーム開発を会社のスタッフと共に手がけています。
 自分自身の仕事としては企画、ヴィジュアルディレクション、ゲーム演出、プロデュース、社長業というあたりを仕事にしてきています。元々自分はアニメーションへの指向性が強く、会社も初めはスタジオぬえ(「超時空要塞マクロス」「機動戦士ガンダム」をはじめ、メカニック・SF作品を数多く手がけているデザインスタジオ)を目指して立ち上げましたが、コンピュータ技術の成長に乗って、ゲームとCGの方向へ仕事内容が伸びていきました。会社はこの3年ぐらいでようやくなんとかゲームの開発ができるようになったばかりで、ばたばたとしながら毎日回していますね。

 


大卒後に会社設立ということは、若くしてエンタテイメントの世界に飛び込んだ…というよりは、自然にそうなったのかもしれませんね。これまで、ここに挙げただけでもかなりの多くの作品に係わってこられた赤司さんですが、ご自身が手がけられたタイトルの中で一番印象深い作品を1本挙げるとすればどの作品でしょうか。また影響を受けられた方はいますか?


  赤司氏
 メガCD版『シルフィード』(ゲームアーツ)ですね。初めて思う存分に商業ペースで映像を作らせていただいた作品です。原作はあるもののメカデザインからストーリー、設定制作まで大分自分の好みで組ませてもらいました。宮路武氏を初めゲームアーツの腕利きのスタッフのバックアップの元、1992年当時の3DCGとしては相当贅沢な環境での制作だったと思います。それでもEPSON486で手打ちのスクリプトで座標を入力し加減速をつけ、16色のパレットで色をコントロールして絵を作り、一晩かけて1カットの結果を見る。今からは考えられませんが当時はそんな状況でした。それでも個人で映像を作り込める快感は本当に大きく、CGと付き合って行こうという思いを強く持ちました。レイアウト、カメラワーク、シーン構成、トライ&エラーを繰り返した回数も多いせいか、納得も含め大変思い出深い作品です。
 たくさんの作品や、多くの方々のおかげで今の自分があるのですが、仕事の中ではゲームアーツ社長の宮路洋一氏の存在が大きいです。職制ではプロデュース、社長業という所でのお手本なのですが、なにより面白いモノを創りたい、関わった人が楽しいと思ってほしい、そんな雰囲気がとても良く伝わってくる方で、一緒にいるとおもわず元気になってしまうほど存在がポジティヴな方です。
 自分の中には、魅力的な人物の基準として上位に、「修羅場の中で他人に文句など言わず、にやりと笑って前を見ている男」というのがわりと明快にあるのですが、その代表例のような方です。人間ドラマもとても好きな方で『LUNAR』シリーズを作る際にはとても大事にしていただき、今でも感謝しています。プロデュース、社長業として、多くの人と共に仕事をしていく上で、とても大きな影響を受けています。
 


前回ご登場いただいた青山さんも、PS2版ですが『シルフィード』を挙げておられました。お二人共通で同じタイトルの作品を挙げられたことは、何かただならぬ縁があるのかもしれませんね。赤司さんはあまりゲームをおやりにならないとの事でしたが、これまでにプレイされたゲームの中から、最も感銘を受けたものを1本だけ選ぶとすれば何でしょうか?

  赤司氏
 SFC版『ファイアーエムブレム』(任天堂)です。これは自分がゲームを遊んでいて、とても大きな衝撃を受けた作品です。敵のユニットにフェイスがありながら好みでないキャラがいて、仲間になる可能性はあったのですが、戦闘で攻撃すると、なんと!「仕方が無く戦いに出たけど…。お母さん、薬を買って帰れなくてゴメン…!」と言って死んでいったのです。一人の人間の人生を終わらせた自分。その犯した罪を体感させるとは、それはとても衝撃的な体験でした。(リセットは好みではないのでしませんでした)最近では『侍』(PS2/スパイク)をプレイして似た衝撃を味わいました。
 ゲームでしかできないインターラクションするドラマを体感し、以降『サクラ大戦』等のADVゲームも楽しんでいますが、できの良い選択肢を見ると思わずニヤリとしてしまいますね。プレイヤーの選択が結果を招くというあたりまえのことが、ゲームでは組めますし、自分が組む際にも意識して組み込んだりしています。
 


『ファイアーエムブレム』は完クリのためにリセットがある意味「お約束」になっていますよね。そこをリセットしなかったところに、プレイ中のドラマを大切にしている赤司さんのポリシーを感じます。それでは、赤司さんが今後プレイしてみたいと思っているゲームは、どんな要素を持ったものでしょうか?

  赤司氏
 文字、映像、シミュレーション(ゲーム)と、進化してきたメディアの最後に位置する「ゲーム」ですが、ゲーム化する現実との間で面白さを見失っているような印象を持っています。一方にシミュレーターとしての技術的な進化があるとして、本来ディフォルメとイマジネーションにより現実以上の刺激をプレイヤーに与えることができるはずのゲームは、現状大量のデータ作成に追われ、作り手がイマジネーションを込める時間を失いがちのようです。ゲームとしての原点回帰が行われた現在のGBAのように、3D系でもシンプルな中に普遍性を秘めたゲームらしいゲームが還ってきても良いような気がします。
 初代『バーチャファイター』や『ジャンピングフラッシュ』が好きな自分としては、ディフォルメ、分かりやすさ、普遍性辺りのキーワードでプリミティヴなポリゴンが活躍するゲームをまた気楽に遊んでみたい気もします。
 


なるほど。できることが多くなって、その事がクローズアップされるようになった分、なおのこと原点に戻った面白さが重要になってきているのかもしれませんね。それでは、今、一番興味を持っていることはどんなことですか?また作品の「作り手」として、今後どんな作品を世に送り出して行きたいと考えていらっしゃいますか?

  赤司氏
 昔からですが、興味があるのは『人間の可能性』というあたりになります。この仕事をしていると、仕事自身も面白いのですが様々な作り手の方々に出会えることがまた面白いところです。この業界の人の良さですが、基本的に面白いものが作りたい、見てみたいという意識がある者同士であるなら、価値観や方法論は違えども、いかにしてより面白いモノを作るかという話ができます。足の引っ張り合いや競争は本質的には意味が無く、それぞれの人間がどんなものを作りたいのか、それを自然に素直に正しく望めば望みはかなって行くのだと思います。いかに独りよがりにならず、自分の思いを人にも伝え実現していくか、難しいながらも興味深く、人が何かを願い創り出していくこと、その無限の可能性はそれこそ無限に興味がわいてきますね。
 自分は、ゲーム作り、映像作りに限らず、すべての仕事は本質的にサービス業だと考えています。どこかで誰かが喜んでくれるから仕事になるのです。作り手である自分たちは独りよがりにならずに、いかに人に伝わる何かを作るかが永遠の課題だと思います。自分も多くのすばらしい作品を観て遊びながら育って来ましたから、少しずつは恩返しをしていきたいと思っています。
また一つの作品を作るには多くの人の力が必要になります。自分の会社のスタッフだけでも現在20名、外注の方をあわせると40人近い方と仕事をしていますが、皆優秀でそれぞれ個性的ないい仕事をしてくれています。その仕事が、なるべく多くのお客様に伝わるようにプロデュースしていきたいと思っています。
 現在開発中の案件では、ブロッコリー社の『ギャラクシーエンジェル MoonlitLovers』というPCタイトルが8月22日に発売予定で進行中です。物語としては「女の子との幸せ」を演出家として色々と心がけて組んでいます。また「宇宙モノなら他には負けない」(笑)と言ってブロッコリーのプロデューサの大高氏にバックアップしていただきながら制作したリアルタイムシミュレーションパートは、宇宙戦闘ゲームとして一見の価値のあるものに仕上がっていると思います。ぜひご覧ください。
 


 「女の子の幸せ」と「宇宙戦闘」、1本で2度オイシイというわけですね(笑)。これからも、スペクタクル感あふれる作品の数々、期待しております!…といったところで、お時間が来てしまいました。それでは、次のお友達を紹介していただけますでしょうか?

  赤司氏
 レッドエンタテインメントの久保 亨さんをご紹介します。久保さんとは『ガングレイヴ』でご一緒して以来、お付き合いさせていただいているのですが、自分の魅力的な人物の規定にぴたっとはまるナイスガイです。面白いモノの狩人として日夜、企画、プロデュースや自らの創作に明け暮れている方です。
 

 久保さんは『サクラ大戦』シリーズのスタッフとしても長くご活躍されている方ですね。次回はどんなお話が伺えるでしょうか…?お楽しみに!赤司さん、今回はどうもありがとうございました。