Last Update:2003/06/09
週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!
>>第116回
株式会社ノイズ
ディレクター
見城 こうじ さん
今回は、『カスタムロボ』シリーズのディレクター、見城こうじさん。懐ゲーファンには、某誌の名物ライターとしても馴染みの深い方です。なるべくしてゲームに携わるようになった人…そんな印象を、今回のインタビューから感じてください。新旧ゲーマー問わず必読です!
(C 2003 NOISE/Nintendo.

見城さんは『カスタムロボ』シリーズのディレクターとしてお馴染みですが、以前はナムコさんにいらしたとお伺いしております。ナムコ時代に携わった作品はどんなタイトルだったのでしょうか? また、前回ご登場いただいた二村さんとはナムコ時代の同僚の間柄とのことですが、当時の思い出話などがありましたら聞かせていただけますか?

  見城氏
 1990年にナムコに入社してアーケード系のゲーム開発に6年間携わった後、1996年に仲間と株式会社ノイズを設立、代表取締役を務めています。ナムコで携わった製品は、『コズモギャング・ザ・ビデオ』『コズモギャング・ザ・パズル』『エメラルディア』『ティンクルピット』『ゼビウスアレンジメント』などです。どれもディレクターとして参加しています。
ノイズでは、N64で2作、GBAで1作、『カスタムロボ』シリーズを開発しています。先日、最新作のGC版『カスタムロボ for GAMECUBE(仮称)』がE3で発表されたばかりです。こちらは年内の発売を予定しています。

 二村氏は、ナムコ時代の僕の一年後輩に当たります。入社3年目の春、僕は『コズモギャング・ザ・パズル』の企画を立てていました。当時、彼はゲーム開発部署を希望していたのに別部署に配属されそうになっていて、ゲリラ的に試作を始めたいという僕の話に一も二もなく飛びついてくれたんです。とりあえず絵は前作で使ったデータを改造して流用し、サウンドは『ワルキューレの伝説』のROMをどこからか持ってきて、ツギハギでゲームを作ったのをよく覚えています。プログラム作業が始まってからが早くて、4日でゲームが遊べるようになりました。この試作の評判がけっこう良くて、二村と「やったな!」と言って、意気揚揚と本制作に入ろうとしたら、いきなり彼が病気で入院してしまい、結局『コズモギャング・ザ・パズル』は他のプログラマの人と作ることになりました。やはりこの男はゲーム開発部に来られない運命なのかと彼のために大粒の涙を流してやったんですが、後日彼は無事復活してきて、そのあとの『エメラルディア』と『ティンクルピット』を一緒に作ることになりました。
 この時期のいろんな経験と反省が、彼は『ソウルエッジ』『ソウルキャリバー』という立派な製品に、僕は『カスタムロボ』という製品に活かされているのだと思います。
 あっ。あのとき彼が病の床から復活できなかったら、『ソウル』シリーズは全然違う歴史を歩んでいたかもしれないのですね。うむぅ。
 


 その経歴もさることながら、『コズモギャング・ザ・パズル』の雛形ができるまで(?)に、そんな過程があったとは…驚きです!
 では、見城さんがゲーム業界に入ろうと思ったのは、どんなことがきかっけだったのでしょうか?


  見城氏
 もともとゲームが心底好きだったので、ゲームセンターのバイトから始まって、今は亡き「マイコンBASICマガジン」誌のライター、サン電子という会社でアイディアスタッフのバイト、ナムコがファン向けに開設したゲームスクールへ通うなど、学生時代からいろんな形でゲーム業界の匂いみたいなものに触れていました。ですので、ゲーム業界に入ったのは自分にとって自然な流れでした。
 でも学生時代の経験は、むしろナムコから独立するときに役立ったように思います。比較論で言えば、ゲーム業界をいろんな角度から見ていて、会社の外にも世界があるんだということを肌で知っていたので、一歩踏み出す勇気が持てたのだと自分では思っています。ただ、独立後の現実は想像をはるかに超えて大変でしたけど(笑)。
 


 なるほど。ゲーム業界といえども、かなり幅広いですね…ゲームが好きでも、ここまで多くのことに触れた経験をお持ちの方は、そういらっしゃらないと思います。
 そんな数々の出来事の中で、見城さんの人生に影響を与えた出来事はありましたか?そのエピソードをお聞かせください。

  見城氏
 若い頃は誰かから影響を受けるなんて考えもしなかったのですが、ノイズを立ち上げてからというもの、会う人会う人優秀で、そのたびに圧倒されることばかりです。そういう意味で、会社を出てからすごく世界と視野が広がりました。特に、会社の枠に収まらずに仕事をしている人たちって、こんなにもバイタリティがあるものなのかと何度も思いました。中でも、マリーガルを立ち上げられた香山哲さん(2003年6月9日現在、株式会社セガ 代表取締役)と、『カスタムロボ』でプロデューサーをしていただいた石原恒和さん(2003年6月9日現在、株式会社ポケモン 代表取締役)のお二方は、僕の中で傑出した存在です。
 あと人生が変わったというほどのことではないのですが、社長という立場になってから、今まで気にも留めなかったこと(お金の話から人事やら庶務やら)を考える必要に迫られたり、法務局とか公証役場とか、それまで全く縁のなかった場所に行く機会ができたり、それはそれで新しい体験ができてちょっと楽しいです。
 そして、N64第一作目の『カスタムロボ』は、あらゆる意味で自分の転機になった作品です。生まれて初めてシナリオを書くなどすごく楽しい経験もしましたし、完全に一からオリジナル企画を立ち上げて製品化することができて、何よりプレイヤーに喜んでもらえて、その後シリーズまで作ることができたという、本当に思い出深い作品です
 


 これまでのお話をお伺いすると、見城さんも十分バイタリティをお持ちだと感じますよ!
私事ですが、N64版『カスタムロボ』は、当時のお正月に小さな従兄弟と一緒になって、延々と遊んでいたので…本当に大人から子供まで楽しめるゲームだと思います。
 それでは、見城さんの目から見て、今後のゲームはどんなものになると思われますか?

  見城氏
 今世紀の前半には、据え置き型ゲーム的なものは全てホログラフィックイメージになり、もっと早いタイミングで、携帯ゲーム的なものはみんなウェアラブルPC等とくっつくのかなと勝手に想像しています。前者はまだ技術的な課題が山積みだそうですが、これが実現するとゲームの有りようもずいぶん変わるのではないかと思います。
 近々の話で言うと、ゲームはもう孤高のメディアではあり得ないと思うので、今後どんどん他のメディアとの融合も考えて、しっかりポジションを確保していかないと、利益構造的にも苦しくなる一方だと思います。その意味では、ゲームはもっと"ゲームらしくなくなる"ことも必要なんじゃないかと感じています。
 


 ゲーム以外のメディアとのさまざまな融合や試みが続々発表されていますよね。近い将来「ゲーム」というカテゴリで括ることが難しい、そんなものが登場するのも近いのかも知れません。
 残念ながら最後の質問になってしまいました。では、見城さんが考える、ゲームにとって一番大切だと思う要素はどんなことでしょうか?また今後についての展望などもございましたらお聞かせください。

  見城氏
 ゲーム作りは三角形のようなもので、形が決まるためには三つの点、つまり核になる仕様とか方針が三つ程度必要だと思うんです。三つの点が決まると、そこに閉じた空間が出来るので、残りの仕様はその内側に収まるように配置していけばゲームは正しくまとまっていきます。観念論っぽいですけど、言いたいことは、ゲーム企画を思いつきでやらない、ということです。ゲームの仕様は、基本方針に添って理由を持って決めていくよう心がけています。
 あと、もう少し具体的な話としては、できるだけ少ない情報でその製品のセールスポイントが伝えられるようなゲームを心がけています。そして、そのセールスポイントが本当にプレイヤーの心に届くものになっているか、繰り返し自問自答します。あとは、プレイヤーの満足のために作り続けるだけです。
 最新作の『カスタムロボ for GAMECUBE』については、これまで子供っぽいと言われていたビジュアルを一新して、より幅広い層の人たちに遊んでいただこうと頑張っています。僕自身、やや低めの年齢層にきちんとターゲッティングして作った過去のシリーズには、強い愛着と誇りを持っています。でも周囲からは、「対戦バトルの完成度が高く、対象年齢を問わないゲームになり得るのにもったいない」とずっと言われていて、任天堂さんと相談のうえ今回のチャレンジに至りました。新規プレイヤーとシリーズファンの皆さん、いずれの期待も裏切らない作品に必ず仕上げますので、秋以降まで少しお待ちください。
 なお、弊社ウェブサイトはこちらになります。エッセイなども連載しておりますので、是非見にいらしてください。自分の会社をもっとしっかり育てて、より良い製品作りができる環境を整えていきたいです。もっともっと面白いゲームが作りたいですね。
 


 掲載させていただいたお写真は、その『カスタムロボ for GAMECUBE(仮)』のものなのですが、これまでのシリーズ作品とはずいぶんイメージが変わったと思います。発売が待ち遠しいです!よりよい作品になるよう、今後も頑張ってください!!
 それでは、次のお友達をご紹介していただけますでしょうか?

  見城氏
 『カスタムロボ for GAMECUBE』でムービー制作を担当していただきました、青山 敏之さんをご紹介します。フリーランスのCGディレクターの方なのですが、素晴らしい映像でカスタムロボのイメージを大きく広げていただき、大変感謝しています。ゲーム業界よりもCG業界でとても名の知れた方で、特にLightWave使いだったらこの人の映像をどこかで必ず見ているはずだ!というほどの方です。もちろん、ゲーム用のムービーも過去にたくさん手掛けていらっしゃいます。光の使い方とスピーディなコンテに特徴のある方で、その映像はカッコいい! の一言に尽きます。
 

 見城さんと青山さんのコラボレートを一足先に見たい!! という方は、こちらのページで『カスタムロボ for GAMECUBE』のムービーもぜひチェックしておきましょう。次回もどうぞお楽しみに!
 見城さん、今回はお忙しい中本当にありがとうございました。