Last Update:2003/05/20
週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!

(C)TECMO., LTD. Team NINJA 2003
>>第113回
テクモ(株) 開発プロデューサー
板垣 伴信 さん
今回の「クリエイターズ・トーク」は『DEAD OR ALIVE』シリーズのプロデューサーでお馴染み、テクモ"Team NINJA"の板垣伴信さん。たE3帰国直後のお忙しい時期にもかかわらず、熱いお話をいただきました!

まず最初に、板垣さんがゲーム業界に入った理由をお伺いしたいのですが…。

  板垣氏
 ゲーム業界を選んだのは、やっぱりモノづくりが好きだからですね。テクモを選んだのは、家から一番近いゲーム会社だったからです。
 普通は「好きなゲームを出してる会社」とか「業績が良い会社」とかいうので選ぶんでしょうが、僕の場合はゲームが作れりゃどこでも一緒だとタカをくくってたんで、家から市ヶ谷まで直通電車で一本!という点でテクモに決めました。1992年に入社して以来、ずっとテクモですよ。
 


わかりやすい理由です(笑)。そこからテクモ一筋!なわけですね。入社後、さまざまなタイトルを手がけてこられたと思うのですが、これまでを振り返ってみて、何か変わったエピソードなどはありましたか?


  板垣氏
 最初の仕事は新人研修を受けることでしたね。もともと企画志望だったんですが、新人研修中にプログラムを書けることが会社にバレまして、プログラマにされてしまいました(笑)。そのかわり「好きなジャンルに就かせてやる」と当時開発部長だった中村(現・テクモ代表取締役社長)が言うんで、「シミュレーションゲームをやらせてください」と答えました。「おおそうか、それならちょうどいいのがあるよ」と配属されたのがSFC版『キャプテン翼4』……。まあ一応スポーツシミュレーションではあるんですが(苦笑)。自分がやりたいのは「ウォー」シミュレーションだとちゃんと言えば良かったですね。
  そのあとは、ずっとSFCのグラフィックプログラマをやってました。『TECMO SUPER BOWL』はGENESIS(メガドライブ)版と2ラインで同時開発していて、競作のような感じで作っていたので楽しかったですね。プロダクトマネージャーにGENESISで絶対に出来ないことをやってくれとオーダーされたので、素直にいろいろとやってしまいまして。誰にでも分かるようにSFCにあってGENESISにはない機能を使いまくったんですが、おかげでGENESISのプロダクトマネージャーに目をつけられてしまいました(笑)。
  リーダーとして最初の仕事は、アメリカ用の業務用プロジェクトだったんですが、見事に大失敗。どの程度の失敗かというと、一日のインカムが1ドルとか、そういうレベルです。遊びじゃなくて技術主導で作っちゃったのがいけなかったんでしょう。1年間かけて作ったものが発売されないというのは結構ショックでした。ただ、あれが良い経験になったのかなと今では思いますが。
  次の仕事というか、最後のチャンスとして与えられた仕事がセガの業務用基板「MODEL2」を使ったプロジェクトです。命令の内容は「No.1の格闘ゲームを作れ」というシンプルなものでした。型落ち基板でNo.1と言われても困るんですが、まあ贅沢を言ってられる立場ではないし、非常に分かりやすい仕事なので引き受けました。それで作り始めたのが『DEAD OR ALIVE』シリーズと言うわけです。意味としては「生死を問わず」ということですが、そのときはそういう気分だったんで、『DEAD OR ALIVE』という名にしました。
 今になってみれば最初のアメフトが失敗してよかったなと思いますよ。あれが売れてたら今頃『フットボールファイター2K3』とか作ってたかもしれませんからね(笑)。
 


失敗転じて吉と出た、というわけですね。では、次の質問です。前回ご登場いただいたセガ・杉野行雄さんと知り合ったのは、どんなことがきっかけだったのでしょうか?

  板垣氏
 MODEL2基盤を使ったときからセガさんとはずっとお付き合いさせていただいてるんですが、杉野さんとはじめてお会いしたのは、たしか『DEAD OR ALIVE2』をNAOMI基盤用に作っていた頃ですね。うちの兼松(テクモ執行役員)の紹介で飲みに行きまして、それ以来飲み友達です(笑)。
  このあいだも、この「友達の輪」企画にかこつけて、ずいぶん遅くまで飲んでました。杉野さん、あんとき言った事は全部マジですからねー!
 


一体どんなお話をされたのでしょうか!? 非常に気になるところなんですが…(笑)。では次に、思い入れのあるゲームについてお伺いします。これまでにプレイしたゲームの中で、「名作」をどれか1本だけ選ぶとしたら、どの作品を挙げますか?また、ご自身で手がけられたタイトルで、一番思い入れがあるのはどの作品でしょうか?

  板垣氏
 名作はファミコン版『ウィザードリィ』ですね。自分の関わったタイトルは…どれかひとつって言われても選べないですよ。そのときそのときで、そのときなりに精魂込めて作ってますから、思い入れはどれも一緒です。
  ただ自分の作ったものを振り返ってみると、作ってたときの気分でだいぶ色合いが違うな、とは思います。だからそれぞれのゲームについて自分で評点をつけると、ぜんぶバラバラですね。一番評点が高いゲームがどれかといえば、最新作のDEAD OR ALIVE Xtreme Beach Volleyballになりますね。
 ファミコン版の『ウィザードリィ』は、1000時間以上遊んだんじゃないかな。あれがなければゲーム業界には入らなかっただろうし、『DEAD OR ALIVE Xtreme Beach Volleyball』のゴミ箱システムも思いつかなかったんじゃないでしょうか(笑)。
 


う~ん、元ネタが『ウィザードリィ』とは!これは意外でした。最後の質問なのですが、今後のゲームに対して一番興味があるのはどんなことですか?また、作品製作の信条などがありましたら、新作への意気込みと合わせてぜひお聞かせ下さい。

  板垣氏
 業界で興味があることは、やっぱりゲームハードの次の形ですね。とにかくハードはパワフルなやつが良いです。パワーはあればあるだけ綺麗に使い切っちゃうわけですから。いままでに使ったハードを愛したことはあっても、そのハードの性能で十分と思ったことは一度もないですから。たまには絵の具の残りを気にしないで、絵を描いてみたいですよ(笑)。
 大切なことは、「作る人」と「送り出してくれる人」と「遊ぶ人」の三者が、みんな幸せになれるゲームであれということでしょうね。それ以外の基準では一言で定義できません。あと作品って簡単に言うけど、僕らはアーチストじゃないから。言うならばアルチザンですよ。だからこそ目標を達成するためには何事も徹底的にやるわけで。
 今は、先日E3で発表した『DEAD OR ALIVE Online』と『NINJA GAIDEN』を作ってます。どちらも気合を入れて作ってますので、ファンの方には楽しみにしてほしいですね。あらゆる意味で徹底的にやりますよ。
 


徹底的ですか!タイトルの続報が非常に楽しみです。これからも、アルチザン=職人魂のこもったゲームを期待しております!それでは、お時間となってしまいました。次週のお友達を紹介していただけますでしょうか?

  板垣氏
 それではエコールソフトウェアのプレジデント、真鍋賢行氏を。伝説のガンシューティング『デスクリムゾン』を作られた方です。 プレジデントとは「裏東京ゲームショウ」という謎のショウでお見かけして以来、お付き合いさせていただいています。というかやっぱりただの飲み友達なんですが…毎年会っちゃあ「変わらんのは俺たちだけだね」と業界を笑い飛ばして飲んでますよ(笑)。 プレジデントはほんとうにバイタリティ溢れる方なんで、きっと楽しいお話が聞けると思います。
 

「裏東京ゲームショウ」とは一体何なのか!? というのも気になりますが(笑)。エコールソフトの真鍋氏といえば、コアで熱烈なファンも多いと聞いております。今回はお忙しいところどうもありがとうございました。次回もお楽しみに!