Last Update:2003/02/17
週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!
(C)1995-2000 Nintendo/Creatures./GAME FREAK inc.
>>第102回
漫画家・イラストレーター
あしゅら紅丸さん
今回はゲームのみならず、アメリカの新聞で「ポケモン」の漫画を連載したりと、非常にグローバルなご活躍をされている漫画家・イラストレーターのあしゅら紅丸さん。ヒョウ柄好きな謎の人(?)としても有名だそうですが…。本当に次から次へと色々楽しいお話が飛び出しましたよ!
あしゅらさんは、色々"謎多き"人(!?)というウワサをお伺いしております。まず最初に、プロフィールと近況をお伺いしてもよろしいですか?
あしゅら氏
:
「業界の鵺(ぬえ)」を自認しているワタシですので、一言でプロフィールを言えないのですが……高校生のころから、マンガやイラストを発表しだしたました。その後もずっと漫画家・イラストレーターとしての仕事をして現在に至ります。でも、並行して数々の仕事をしましたね。手塚先生の虫プロを手伝わせていただいたこともあります。
ゲームの仕事は、未完に終わってしまった『サウンド・ファンタジー』が最初です。このソフトは後にマクシスから「ミュージック・インセク」として発表されますが、それも作例で参加しました。『Mother2』もちょっとお手伝いした後APEやクリーチャーズで『Mother3』『モノポリー』そして『ポケモン・スタジアム1・2&金銀』『ポケモン・スナップ』など、『任天堂スマッシュ・ブラザーズ』も64版、GameCube版とも参加しています。
2000年にはアメリカの新聞で「Pokemon」の4コマ漫画を連載しました。で、一昨年ニューヨークにオープンした「PokemonCenter NY」のコンセプト・デザインなどをさせていただいたので、1年くらいNYと日本を行ったり来たりしていました。この時はクリーチャーズの役員だったんですが……われながらアキレルほど好き勝手やってますね。
昨年クリーチャーズを退社させていただいたあとは、HAL研究所のお手伝いをさせていただいてます。昨秋発売の『星のカービィ・夢の泉DX』(GBA)に参加して、現在は『カービィのエアライド』(GC)に参加しております。
任天堂系のゲームが好きな方には、あしゅらさんのファンが多いとお伺いしておりましたが、プロフィールを聞いて納得です(笑)。では、あしゅらさんがゲーム業界に関わったのは、どんなことがきっかけだったんでしょうか?
あしゅら氏
:
かつて糸井重里さんが社長をしてらした「APE」が編集していたゲーム攻略本にイラストレーターとして協力したのが、業界に入るキッカケです。採算を度外視した「濃い仕事」を見て、みんなが呆れたんでしょう。その後、糸井さんの紹介でNOAが発行している「ニンテンドーパワー」誌に、石ノ森章太郎先生の後釜として、「スターフォックス」や「スーパーメトロイド」のコミックを描かせていただいて、宮本さんや坂本さんなどともお付き合いが深くなりました。(今はお二人とも、仕事よりもギター友達ですが…)。本当は、最初に宮本さんとお会いした時に「あ~、こういう絵柄…昔は好きだったんですが…」て断られちゃったんですよね。で、ワタシも「それじゃ、仕事の話は終わりにしてギター弾きましょう!」って二人で真夜中までギター弾いていました。で、こんな人と一緒に仕事したいもんだ。と思って新たな絵柄を提案したら、それが気に入ってもらえて「スターフォックス」の漫画を描くことになりました。
で、この頃に、私の運命を変えた『マリオペイント』(SFC)にはまって、トンでもない作例をたくさん作ったんです。コンピュータは金食い虫だから、(歯を食いしばって)触れるのを我慢していたので、マウスを持ったのはこの時が初めてでした。で、当時APEの副社長をしていた石原恒和氏(現・株式会社ポケモンCEO)が「こんな濃いオヤジを放って置くことはない!」って思ったのか、私が憧れていたコンピュータの「AMIGA」をポン!と貸してくれまして。まんまと彼の術中にはまって、以後3DでCGを作るようになって、ゲーム製作にも携わるようになったわけです。石原氏がクリーチャーズを創立された時の発起メンバーに誘われたことで、ゲームとのお付き合いが更に深くなりました。この『マリオペイント』を作ったのが、現・クリーチャーズ社長の田中宏和氏(当時任天堂・開発一部に在籍)ですから、不思議なもんです。
きっかけだけでも交友関係の広さが伺えます。凄いです。前回ご登場いただいた任天堂の田邊賢輔さんは、あしゅらさんのことを「ギターのお師匠」とご紹介してくださいましたが…田邊さんと知り合ったのは、どんなことがきっかけだったのでしょうか?
あしゅら氏
:
ロック小僧だった田邊さんが「生ギターを買いたい」というので、宮本茂さんと連れ立ってクリーチャーズにお見えになった時に、ワタシが見繕ったのがキッカケです。実はワタシ、イラスト・ゲーム業界よりも、音楽業界の方が知り合いが多いんです。この時にも知り合いのギター・メーカーのアウトレットで破格の値段でギターをわけてもらいました。
田邊氏とは、その後、N64のゲーム開発でお仕事のお付き合いが増えましたが、未だにギター小僧同士のお付き合いの方が濃いですね。年に2回位、京都某所で仲間でワイワイとギターを弾きまくるイベントに参加させていただいてます。結婚式その他の際はゼヒご用命ください。アハハ!
なるほど、ゲーム仲間である以前に音楽仲間なのですね。では、あしゅらさんがこれまでに感銘を受けたエンタテイメント作品、また棺桶まで持って行きたいと思うほどの大切な作品を教えていただけますか?
あしゅら氏
:
ゲームならば、『スーパー・マリオ・ブラザーズ』(FC)。ゲーム=インタラクティブ・メディアとしての雛形を、最初に完成させた金字塔でしょう。エバー・グリーンなエンターテインメント性のある作品だと思います。で、DVDならディズニーの「ファンタジア」。漫画なら手塚治虫先生の「火の鳥」。
回顧趣味というわけではないんですが、やはり棺桶まで持っていくとなると、作り手として揺籃期にあった自分に影響を与えたモノになってしまいますね。手塚先生が亡くなられた時に、作家の夏目房ノ介さんが「手塚治虫は我々の世代の骨格である」と書かれていましたが、夏目氏と同年代のワタシにとって、とても納得できる言葉でした。今の自分の考えの深層には常に先生のマンガからの影響がありますから。
もっとも「棺桶まで持って行きたい」という比喩が、もうしゃれにならない年ですが…アハハ!
そんなことないです!では、たくさんの作品を目にされてきたあしゅらさんから見て、今後はどんなゲームが出てくると思いますか?またゲームの作り手にとって大切だと思うのはどんなことだと思いますか?
あしゅら氏
:
これからは、ライトで気楽に楽しめるものと、ゲーム性を突き詰めたマニアックなものとの二極化が進むんじゃないでしょうか?ゲーム創世記のビジネス・モデルが通じなくなって来るでしょう。って、もう既にその兆候が表れて来てるかも。近未来では今までのゲームの範疇に入らない、ヴァーチャルとリアルの境界線が引けないような体験デバイスが出るかも知れないですね。モニターを介してではなく、本当に体験できるようなモノ。なにやらディックや星新一のSFのようですけど……。
ゲームはエンターテインメントですから、作り手は常にユーザーを意識することが大事だと思います。あとは、常に好奇心を持っていること。ま、やりすぎるとワタシの人生みたいになっちゃうので考え物ですが…。
今製作している『カービィのエアライド』は、これまでのカービィの世界観とは違ったモノになりますよ(多分)。期待と不安を持ってお待ちください。
どんな「カービィ」になるんでしょうか…。まだまだお話を伺いたいのですが、残念ながらお時間になってしまいました。それでは次のお友達をご紹介していただけますでしょうか。
あしゅら氏
:
ビジュアルアーティストの
岩井俊雄さん
を。NHKの「デジスタ」の審査員などをしてらっしゃる方で、日本よりも海外で評価の高い方です。ワタシがAMIGAに触り始めた頃から、色々と教えてくれた大先生です。『サウンドファンタジー』は岩井氏の作品で、コンピュータ版の「ミュージック・インセクト」もお手伝いしました。最近は時間がなくてなかなかお会いできてないですが…。
今までご登場いただいた方々とは、ちょっと方向性が異なるクリエイターさんかもしれません。今回は楽しいお話をありがとうございました。次回もお楽しみに!