筆者自身もいちプレイヤーとして気になっている「名もなき島アップデート」の疑問点、そして先日発表された3次職をはじめとした様々な『RO』の予定に関しての疑問を、今回の取材の案内役を務めてくれた『RO』制作担当の廣瀬高志氏にお聞きすることができた。結果的に、名もなき島アップデートに留まらず、今後の日本の『RO』の方向性を垣間見るインタビューとなった。
●名もなき島アップデートと日本独自の施策に関して
――ではまずシステム関連の質問からおうかがいしたいと思います。韓国の名もなき島アップデートではNPCを雇って共に戦うことのできる「傭兵システム」が実装されましたが、これは日本では実装されないのでしょうか。
廣瀬氏:ユーザーの皆さんの中でも話題に上がっていると思いますが、傭兵システムはホムンクルスと同じAIシステムを使っているんですね。ですが、現在、公式ページでもお知らせしている通り、ホムンクルスのAIシステムにはいくつか不具合が存在しています。この状態で傭兵システムを実装しても、本来、ゲームを楽しませるためにある要素がユーザーさん同士のトラブルを招いてしまったり、不具合によって不利益を被ったりする恐れがあります。ですので、傭兵システムに関しては、日本の運営チームが開発元に伝えている不具合が解消されるタイミングまで実装を見合わせるということになります。また、傭兵システム自体に関しましても、バランスなどをそのまま実装するかどうか、検討中です。日本のユーザーさんのプレイスタイルに合わせて、アレンジするべきところはアレンジして実装したいと考えています。
――ではホムンクルスAIの不具合が解消された時点で、傭兵システムも実装される可能性がある、と?
廣瀬氏:ホムンクルスのAIの不具合が解消された時点で"最低条件"が整ったかなというところですね。それまでは開発チームのほうで検証を進めつつ、どのようなアレンジで実装するのかといったことを検討していきたいと思います。
――名もなき島に行くためのクエストでは、いくつか前提のクエストもあり、なかなか難しいものも含まれていますよね。このことからみても、名もなき島は熟練者向けのマップということになるのでしょうか。
廣瀬氏:すでに体験していただいた通り、ダンジョンや敵の難易度的なところはおわかりになっているかもしれませんが、今回のアップデートで、追加マップに関しては高レベル帯キャラクタ向けのものになっています。
――地上の敵はそれほどの数でもなかったのでレベルアップにも適しているかなと思ったのですが、低レベル向けキャラが入れないのは残念かもしれませんね。
廣瀬氏:前提となるクエスト自体が80レベル以上となっていますが、狩りを成立させようとなるとそれなりのレベルは必要になると思います。
――前段階として必須となるクエストでは、緑ハーブの大量消費とトール火山への進入が必要ということもあり、比較的難度の高いものになっていますね。ぶっちゃけて言うとかなりの手間がかかりますよね……(笑)。
廣瀬氏:(苦笑しつつ)はい、実は、アップデートと同時というわけにはいかないんですが、緑ハーブの件に関しては救済を考えなければと思っていたところなんです。
――ということは、ベインスの、緑ハーブを使ったクエストイベントの成功確率が高くなるのでしょうか。
廣瀬氏:難易度調整なのか、それとも緑ハーブが手に入りやすくなるのか、具体的にはまだ検討段階ですので、最終的にどうなるかは現段階では申し上げられないんです。ただ、何らかの救済策は考えています。
――なるほど。その他の部分でも日本独自の微調整などが進められる予定はあるのでしょうか。
廣瀬氏:クエストと直接結びつくところではないのですが、日本独自で調整している部分としては、先月の1月15日にマップに出現するモンスターの配置調整を行いました。国によって遊び方が違うと思うのですが、韓国で調整されたバランスをそのまま日本に移植して、今まで活気があった場所から人がいなくなってしまうというのは寂しいですし、ユーザーさんからもそういった意見をいただきます。先日の配置調整で言うとジュピロスダンジョンなどがそれに当たりますね。一時、モンスターの湧きが少なくなったのですが、以前と似たような状態になるように再調整させていただきました。このように、ユーザーさんからの要望が多いものに関しては、できるだけ手を入れていきたいな、と。前述のクエストに関しましても、手を入れられるところは入れていきたいと思っています。
――クエストで言うと、神器クエストの報酬なども、今となっては錐以外は見劣りするものになってしまったという声もありますね。
廣瀬氏:うーん、神器クエストのように、1キャラ1回しかできないという前提の上で、報酬のために何度でもやりたいと思うようなものに関しては、調整を入れてしまった場合、すでにクリアされてしまった方が再挑戦できないという難点がありますからね。難しいところです。新しいキャラを作って挑戦してください、という短絡的な回答では納得できないものもあると思います。
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神器クエストは4部からなるクエスト。ワールド内に神器が作られると1次クエストに挑戦できるようになる。前段階のクエストを一定の人数がクリアすることで開放される各クエストをクリアすると様々な報酬がもらえる。特にレア武器のもらえる4次クエストは開始から10分で終了してしまうことも多い。だが、現状では性能のよい武器が多数実装されたこともあり、「錐」以外は人気が低くなりつつある様子。(この画像は一般ワールドのものです) |
――うーん、なるほど。では、ちょっと話が変わりますが、今回の名もなき島アップデートで新規実装される装備では転生キャラ用の装備が多く、また有用なものも多いように見受けられます。転生キャラと未転生キャラとの、いわゆる"性能差"がますます広がってしまうように思えますが、日本の運営側としてはこの点に関してどうお考えですか?
廣瀬氏:まず、前提として、転生したキャラクタのみが扱える装備が登場すること自体は問題はないと考えています。転生してはじめて装備できるというのは、それ自体が育成のモチベーションの維持にも繋がりますよね。問題は、転生までの道のりが、現段階では……一般的なユーザーさんにとっては、ハードルが高いと言わざるをえない点だと思うんです。
――確かにそうですね。
廣瀬氏:先日の弊社でのカンファレンスでも発表されましたが、3次職なども現状ではハードルは非常に高くなってしまっています。ここで少し補足させていただきたいのですが、カンファレンスでは何が言いたかったのかというと、3次職は未転生の2次職からしか転職できないというような噂も流れていましたので、転生したキャラクタから3次職になれるということも伝えなければと思ったんです。3次職を見越して転生を躊躇なさっておられるユーザーさんに、安心して転生してほしいというメッセージも込めたかったんです。
――いやしかし、転生してから再度99レベルのほうがハードルが……(笑)。
廣瀬氏:はい(笑)。現状はまさにそんな意見だと思います。我々も、そのハードルの高さは調整すべきだろうと考えています。3次職になること自体を諦めてしまうのでは本末転倒です。もちろん、転生を行うこと自体もハードルが高いですし、そこを諦めてしまわないようなゲーム内バランスの再調整なり施策なりを入れていく必要があるだろうと。
――現状では転生や3次職を諦めていた人でも、それらを目指すモチベーションが維持できるようなバランスということですね?
廣瀬氏:そうです。転生してオーラ(99レベル)間近の方々だけが楽しめるアップデートとなってしまってはいけないと考えています。……新しい職業というのは、新規に『RO』を始める方にとっても、きっかけになると思うんですよね。パッとデザインだけを見て「カッコイイな」「やってみたいな」と思って(『RO』を)始めてくださる方もいるでしょう。そういった方々が雲の上の存在のような高いハードルを目の当たりにしてモチベーションが維持できるかというと、もちろんそうは思えませんよね。
――そうですね(苦笑)。
廣瀬氏:そこで話は戻りますが、つまりは転生と既存2次職との差というより、その距離を縮めていきたい、と思っているんですね。もちろん、一概にカンタンにするというわけではなく、現状、転生しておられる方ですとか、すでに3次職への転職条件を整えつつある方々にとって不利益にならないようにバランスを取っていくことが必要だと考えています。
――つまり、職性能の差を埋めるのではなく、スムーズに上位の職を目指せるようなバランス調整を目指していくと。そういえば、先日のアニバーサリーイベントの一環として日本独自に行われた「モンスターサイドストーリーズ(モンスターにスポットを当てた期間限定の連作クエスト)」の報酬なども、70台~80台でレベルアップするような経験値をもらえるなど、停滞しがちなレベル帯の人のモチベーション維持への施策に思えましたね。
廣瀬氏:イベント制作チームのほうでも、どのあたりのユーザー層に対してどういった報酬がいいのか、またアイテム(スモールブックペンダント)に関しても考えて設定しています。実は、モンスターサイドストーリーズのように、実益もありつつお話を楽しめるというようなコンテンツに関しては、今後もやっていきたいと考えているんです。モンスターサイドストーリーズは中級者向けになっていましたが、初心者の方がゲームに入ってきてから、スムーズに慣れるための導線を用意することが今の課題です。今後はそういった、"道のり"を整えるものを実装していく予定なんです。
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アニバーサリーイベントに向けて昨年夏から行われていた「モンスターサイドストーリーズ」。全7話のオムニバスストーリーで、最終的には150万の経験値が2連続(計300万)で獲得でき、アクセサリのスモールブックペンダント[1]が入手できた。(この画像は一般ワールド) |
●どうなる!? ワールド統合と3次職
――さて、話は変わって、ワールド統合に関してお聞きしたいと思います。発表以来続報が気になっているのですが、その後のユーザーへのアンケートの日程や概要などは固まりつつあるのでしょうか。
廣瀬氏:初動としては、意識調査を実施するのが第一だろうと考えています。先日のカンファレンスでは補足の時間が取れずに誤解を招いたかもしれませんが、計画表の6月付近に(ワールド統合キャンペーンが)決定事項のように書かれていましたよね。ですが、あれは仮にワールド統合が実行された場合の計画表ですので、ワールド統合自体がすでに決定しているというわけではありません。実施する際にも慎重に進めていきたいと考えております。そのうえで、ユーザーさんへのアンケートに関しては……例えば以前マイグレーションを実施した際にどういった方式がいいかアンケートをしたこともありましたが、そういったような問いかけも行っていきたいと考えています。ユーザーさんの中には『RO』を愛してくださっている方も多く、「たとえ自分にとって不利益になっても、みんなが楽しめるようにするためにはこのほうがいい」という意見をくださる方もいらっしゃいます。ワールド統合を実施するかどうか、そういったところも含めてアンケートなどで声を聞いていきたいと思っています。
――ちなみにどのくらいの時期にアンケートを行っていく計画でしょうか。
廣瀬氏:うーん、なるべく早く行いたいと考えてはいるのですが……。本来2月中にアンケートを実施する予定ではいたのですが、ユーザーさんに提示できるだけの資料が若干足りない状況なんです。もしかするとアンケート時期は延びてしまうかもしれませんが、そうなった場合でも、2月中には何らかのご案内を出せるとは思います。
――ちょうどこの記事が掲載された直後くらいになりますね。ワールド統合に関して一点お聞きしたかったんですが、キャラクタごとのクエストのクリアフラグというのは、もしワールドを移動したとしても持ち越しできるものなんでしょうか。例えば神器クエストのフラグなどのようにワールド全体に関わるものが気になっているのですが。
廣瀬氏:キャラクタ単位で完結しているクエストクリアフラグは問題ないと考えています。が、おっしゃる通り、特にワールド全体で行う神器クエストやラヘルの神殿開放クエストなどは気になるところだと思います。それに加えて、ブラックスミスやアルケミスト、テコンキッドなどのワールド内ランキングの件もありますね。今の時点ではそういった様々な事項がどうなるかはハッキリとは申し上げられないのですが、ワールド統合のアンケートの際には、そういったメリットやデメリットというのも可能な限り提示して、判断材料にしていただきたいと思っています。詳細はそのときの情報をお待ちいただければと思います。
――先日公開された3次職に関してですが、ユーザーさんの反応はいかがですか?
廣瀬氏:ご意見は日々、目を通させていただいているのですが、3次職の仕様が発表される前と比べると投稿数が20倍くらいに激増しました。3次職に関しても、プランが決まりましたら、やはりアンケートを取るなりして、より多くのご意見をうかがいたいと考えています。もちろん、グラヴィティ社さんから情報が来た場合には継続的に情報公開を行っていきたいと思います。グラヴィティ社さんのほうで作っていきたい構想はもちろんあると思うのですが、「日本のユーザーさんはこう思っている!」という説得力のある意見を取りまとめて中継ぎをするのが我々の仕事だと思っています。
――3次の敷居を下げるにしても、まずは多くの人が下げてほしいと願っているという意見の「数」が重要ということでしょうか。
廣瀬氏:そうですね。ちなみに、3次職に関してはグラヴィティ社さんが弊社の子会社化したという発表の翌日に公開したため誤解を受けている面もありますが、カンファレンスの準備はもっと前から行われていましたので、直接の影響はなかったんですよ(笑)。
――タイミング良すぎだろうとか思ってしまいました(笑)。では最後になりますが、不正対策としてパケットの暗号化が行われましたが、ウルド以外は不具合によって延期されましたよね。その後に関してお聞かせ願えますか?
廣瀬氏:実はウルド以外で不具合があったというよりは、どちらかというと、ウルドワールドにネックとなる問題があったために今は動作を見ている状態なんです。で、通常ワールドに関しては、暗号化に関しては準備が進んでいる最中ですね。内容もウルドとは少し違うものになる予定です。日にちに関しては申し上げられないのですが、目標としては2月中、遅れても3月頭という早い段階での実施を予定しています。
――なるほど。継続して不正対策も進んでいるということですね。期待しています。
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