新作紹介  
職人のセンスが詰まった、家庭用ならではのRTS『グリムグリモア』
2007.04.11
関連URL:『グリムグリモア』公式サイト
『グリムグリモア』メインページ
 

 4月12日(木)に発売予定の、日本一ソフトウェアの最新作『グリムグリモア』。本作は『プリンセスクラウン』などで有名な神谷盛治氏が率いる、ヴァニラウェア社が企画・開発を担当する魔法ファンタジーRTS。『魔界戦記ディスガイア』や『ファントム・ブレイブ』をはじめ、シミュレーションゲームには定評のある日本一ソフトウェアの新作ということで、発売を心待ちにしていた人も多いだろう。
  今回は編集部に届いたサンプルROMを使用して、そんな『グリムグリモア』の序盤をさくっと体験してみた。当初はジャンルが「RTS」ということで、期待半分、不安半分といったところだったのだが……。

※画面写真をクリックすると、拡大したものを見ることができます。

■繰り返される「5日間」、学園を襲う災厄の謎に挑む

 本作の舞台は、偉大な魔導士ガンメル・ドラスクが治める魔法学校「銀の星体の塔」。物語はここに見習い魔法使いのリレ・ブラウが入学してくるところから幕を開ける。
  慣れない塔での生活に戸惑いつつも、尊敬する魔導士ガンメルの教えを受けながら、リレはめきめきと魔法を身につけていく。しかし入学5日後、突如学校を謎の「災厄」が襲い、リレを除く教師や生徒たちはみな命を落としてしまう。そして最後に残ったリレもまた、絶体絶命の窮地に陥ってしまうのだが……。

 ストーリーは、入学から「災厄」までの5日間が何度もループする形で進んでいく。襲い来る「災厄」のなか、ふと我に返ったリレは、自分が入学初日の夜に戻っていることに気付く。先ほどまでの出来事は夢だったのか? 現実だったのなら、なぜ自分だけが過去に戻ることができたのか? ただ一人「時間の環」に囚われてしまったリレは、「時間の環」の謎を解き明かし、学校を襲う「災厄」を食い止めるべく奮闘していくことになる。

 魔法学校というユニークな世界観と、ループを繰り返すたびに深まる謎が、序盤からプレイヤーをぐいぐいと物語に引き込んでいく。2周目以降は、過去の記憶や経験を活かして「災厄」が繰り返されないよう周りに働きかけていくのだが、一方で新たな謎や事実も次々と明らかになっていき……。このへんの展開はプレイしてみてのお楽しみだ。
  物語を彩る登場人物たちも、魔法学校だけあって個性派揃い。錬金術の先生は呪いで顔“だけ”ライオンになってしまっているし、黒魔術の先生に至っては正真正銘ホンモノの悪魔だったりする。ちなみにキャラクタ原案は『プリンセスクラウン』や『ファンタジーアース』のキャラクタを手がけた神谷盛治氏が、キャラクタデザインは前納浩一氏が務めており、キャラクタの絵柄でも人気を集めそうだ。


■RTS初心者にもやさしい、プラクティスパート

 本作のもうひとつの魅力が、グリモア(魔導書)を使って戦うプラクティスパート(魔法戦)。ゲームはドラマパートと、このプラクティスパートの繰り返しで展開され、プラクティスパートで勝利することで徐々にストーリーが進展していく形となる。
  ジャンルに「魔法ファンタジーRTS」とあるとおり、プラクティスパートはRTS形式で進む。「RTS」というのは「リアル・タイム・シミュレーション」の略で、ターン制ではなく、その名のとおりリアルタイムで部隊を動かし、戦わせていくシミュレーションゲームのこと。ターン制が主流の日本では、これまであまり受け入れられてこなかったジャンルでもあったのだが、そこはさすが日本一ソフトウェア。RTS初心者でも遊びやすい「日本風RTS」に仕上げてきた。

 まず感心したのが、最初の5日間が丸ごと「授業」の形をとったチュートリアルになっていること。ここでプレイヤーは、マナの集め方から、使い魔の召喚、魔方陣の設置、使い魔を使った戦闘に至るまで、魔法戦の基礎をみっちり教えてもらうことができる。実は筆者もちょっとRTS恐怖症の気があったのだが、丁寧なチュートリアルのおかげで、意外なほどすんなりゲームに馴染むことができた。5日目はこれまでの復習も兼ねた実戦なのだが、ここも苦戦することなくサクッと突破。なんだなんだ、簡単じゃないかRTS!

 ゲームの流れとしては、まずフィールド上にあるクリスタルからマナを集め、これを使って使い魔を召喚し、敵を撃破すればマップクリア――といった感じ。逆に敵に攻め込まれ、自分の魔法陣が破壊されてしまうと敗北となる。
  戦略マップ上で、資源集めやユニットの生産といった、いわゆる「内政」の要素までこなさなければならないあたりがRTSのややこしいところなのだが、ゲームに慣れるに従って、その「ややこしさ」がじわじわと「面白さ」に変わっていくのが面白い。海外の作品なんかで遊ぶと、そこまで辿り着く前に挫折してしまうことも多かったりするが、本作はちゃんと「面白さ」がわかるところまで、プレイヤーを引っ張り上げてくれる。難易度もSWEET、EASY、NORMALの3段階から選ぶことができ、どうしてもクリアできない人や、手っ取り早く物語を楽しみたい人へのフォローも万全だ。

 もうひとつ感心したのが、登場するユニットの種類を思いっきり絞ったこと。本作には全部で4系統の魔法が登場するが(精霊魔法・錬金術・交霊術・黒魔術)、各系統とも、召喚できる使い魔はたったの4種類(こちらの記事を参照)。それも採集用ユニット、小型ユニット、中型ユニット、巨大ユニットといった具合にだいたいの役割が決まっていて、場面に応じてどのユニットを使えばいいかすぐに憶えることができる。しかもそれでいて、戦略面での奥深さはまったく損なわれていないから大したものだ。


■活き活きとした使い魔たちの動きにも注目
 そのほかプラクティスパートで目を引くのが、使い魔たちの活き活きとした動き。エルフやフェアリーといったかわいらしいキャラクタが画面内をちまちまと動き回る様子は、いかにも日本製RTSといった印象だ。一方でドラゴンやキメラといった巨大ユニットは、それこそ画面を埋め尽くすような大きさで描かれており、こいつらが攻め込んでくると「ヤバい!」というのが一目でわかる。
  RTSとしては珍しく「横視点」を採用している点もユニークだ。やはり見下ろし視点よりも、横から描いた方がキャラクタの「動き」は映えるというもの。デーモンやファントムの迫力ある攻撃モーションや、せっせとマナを運ぶエルフたちの動きは、横視点ならではの魅力だろう。ただ、その分キャラクタに愛着が沸きすぎてしまい、最前線でバタバタと倒れていくフェアリーたちを見ているうちに、何とも言えず申し訳ない気持ちになったりもしたが……。
  もちろんマップも横視点になっているため、上下方向に移動するには、「階段」を上り下りする必要がある。マップによっては階段の制圧や、足場に関係なく移動できる飛行ユニットの使い方が大きなポイントとなりそうだ。

■単なるRTSではない、家庭用ならではのRTSを見た
  当初はRTSということでちょっと尻込みしていたのだが、かわいらしい絵柄や、隅々まで配慮の行き届いた丁寧なつくりはさすが「日本製」。魔法学校という世界観や、謎が謎を呼ぶストーリー展開も手伝って、いつしか仕事であることも忘れて熱中してしまった。

  個人的には、RTSというジャンルはあまり家庭用には向かないと感じている。もともとRTSはPCで進化したジャンルであって、高解像度のモニタと、マウスによる操作がほぼ必須。別に無理して家庭用で遊ばなくても、PCで遊べばいいじゃない! というのが持論だった。
  でも、本作にはそんなハンデを乗り越えてでも「遊んでみたい!」と思わせるだけの魅力がある。たしかに操作性や画面の見やすさなどPCには敵わない部分もあるが、世界観やストーリーなど、本作でしか味わえない要素もまた多い。何より、ユニット数が各系統たったの4種類という思いきった割り切りや、使い魔たちの細かなアニメーションなど随所に職人のセンスも垣間見え、PCからの単なる移植ではなく「家庭用で遊べるRTSを作ろう」という真摯な姿勢もうかがえる。これまでRTSで遊んでこなかった人や、他のRTSで挫折してしまった人にこそ、遊んでもらいたい作品だと思う。

■『グリムグリモア』関連記事
【新作紹介】
● 2006.12.07 魔法学校を舞台に使い魔召喚!新作SLG『グリムグリモア』
● 2007.03.16 使い魔大活躍!PS2『グリムグリモア』魔法戦を大解剖!
 
【スペック】
タイトル:グリムグリモア
ジャンル:魔法ファンタジーRTS
プラットフォーム:PS2
発売日:2007年4月12日(木)
価格:7,140円(税込)
メーカー:日本一ソフトウェア
(C)2007 VANILLAWARE Ltd./NIPPON ICHI SOFTWARE INC.
※画像は開発中のものです。
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