 |
 |
本能を刺激する最高のアクション!『デッドライジング』プレイレビュー |
2006.10.23 |
|
|
アメリカでは、日本よりも1ヶ月以上早く発売され、瞬く間に50万本以上ものセールスを記録した『デッドライジング』。「ゾンビパラダイスアクション」という聞き慣れないジャンルの本作は、その名のとおり一画面に1,000体以上もの膨大なゾンビが登場する、まさに次世代ハードに相応しい(?)アクションゲームである。 |
| フリィィィダァァム!72時間、生き残れれば、あとは何でもOK! |
 |
 |
| いっぱい、いるいる。ウヨウヨウヨウヨ。なんとか生き残るのだ |
|
 |
本作の最大の特徴は『Grand Theft Auto』級ともいえる、圧倒的な自由度の高さ。プレイヤーはフォトジャーナリストのフランクとなり、たった1台のカメラを持って巨大なショッピングモールに潜入する。目的は、72時間、つまり3日間のサバイバルを生き延びて、事件の真相に迫ること。ただし、それはあくまでも数ある目標のうちのひとつでしかない。いざモール内に入ったら、あとはプレイヤーの判断にお任せとなる。そう、フォトジャーナリストだからといって、かならず「スクープ写真を撮らなければならない」という決まりはないのだ。
そのため、自分なりの目標を設定してゲームをプレイすることが可能。たとえば「生存者を全員救出する」「マルチエンディングをすべて制覇する」「すべての実績を解除する(解除することで特典アイテムが追加される実績もある)」「クリア後の追加モード(ゾンビだらけのモール内で何日間生き延びることができるか、という∞INFINITY MODE)をひたすらやり込む」などなど。
メインモードである「72HOUR MODE」では、とにかく、迎えが来る時間に屋上のヘリポートに移動できればクリアとなる。自分がやりたいことをやれば、それでいいのだ。 |
 |
| ストーリーとサブシナリオ、全部見るには複数回プレイ必須! |
 |
 |
 |
| いたるところでドラマが展開中。事件は現場で起こるんだよねぇ |
|
 |
本作のストーリーは、時間制限が設けられた複数の「CASE」で構成されており、ひとつの「CASE」をクリアすると、次の「CASE」が始まる。ただし、タイムオーバーで進行中の「CASE」をクリアできないと、その時点で以降のCASEは消滅! ストーリー攻略の道は非情にも完全に閉ざされてしまう。
このとき、プレイヤーが取れる行動は「そのままゾンビ化の真相究明は気にせずに、迎えのヘリを待つ」か、あるいは「ひとつ前のセーブポイントから再開する」か、「現時点のレベル等を引き継いだ状態で最初から始める」の三択となる。なお、ストーリーと同時に本筋とは無関係のサブミッションもリアルタイムに進行するため、両方を同時に進行させるのはなかなか大変。これはプレイヤーにとってなかなか手厳しいシステムといえる。
とはいえ、少なくともファーストプレイですべてを同時にこなすのはほぼ不可能だし、ゲームが元から二周、三周して楽しむ内容に仕上がっている(としか思えない)以上、一周目ですべてを制覇しようとするほうが間違っている。そこで考えられるのが、メインとサブのどちらかを切り捨てるという割り切りプレイだ。つまり、ストーリー攻略に重点を置いたプレイと、サブミッション攻略に重点を置いたプレイのどちらかに的を絞ることで、プレイが散漫にならなくて済むのである。これは、一見すると邪道なように思えるが、結果がエンディングに影響することもあるので、本作を遊び尽くすうえでは非常に重要なテクニックといえる。
事実、「CASE」の制限時間がシビアなことと、同時進行するサブミッションの多さから考えても、どちらかに集中した方がストレスなくゲームが楽しめるはず。思うに「舞台は用意したので、あとは好きに遊んでください」というのが、このゲームの基本スタンスだろう。究極的な話をすれば、たとえスタート地点で何もせずに過ごしても、モール内で延々とゾンビ狩りをしていても、ちゃんと3日後の12時に屋上へ行けば一応クリアはできてしまうのである。だったら、自由を満喫しようではないか。 |
 |
| バイオレンスの中にユーモアを交えた奥の深いゲーム性 |
 |
 |
| もちろん、通常の銃器も登場。とはいえ、他の物をあえて工夫して使ったほうがおもしろい |
|
 |
さて、サバイバルの舞台となるショッピングモール。これは、本作の自由度を象徴する広大なプレイフィールドとなっている。正直な話、ここでできることを逐一挙げると、ページがいくらあっても足りないぐらい。もはや「できないことはないのでは?」と思えるほどに制限のない自由空間が、リアルスケールでプレイヤーを迎え入れてくれる。
その“自由”の中で、特に気に入ったのが「豊富なオブジェクトを武器にできる」こと。無造作に置かれている植木鉢やベンチをはじめ、緻密なディテールで再現された店頭の商品など、これらがほぼすべて武器として使用できる点には素直に驚く。
ゴミ箱、段ボール箱、工具箱といった収納系は、投げつけることで中身を取り出すことができるし、CDや食器皿の束はまるで手裏剣のように連続で投げ飛ばすことができる。チェーンソーやハンマーといった工具類については、当然ながら破壊力抜群の武器アイテムとして活用でき、照準操作が必要な銃器類よりもはるかに使い勝手がよかったりする。商品の中には、確かに使えないものも多いのだが、そこは元々戦う場所ではないモールなのだから、当たり前と言えば当たり前。そんな“ご愛嬌”も楽しい。
ただし、いざ機転を利かせて使い方を変えてみると、途端に便利グッズに大変身するオブジェクトも多いから侮れない。たとえば、ボーリングの球はゾンビの集団をピンに見立てて投げることで、立派な武器になる(ゾンビを弾き飛ばせる)し、おもちゃのレーザーブレードは夜間消灯時のライト代わりに活用できる。フライパンもそのままでは攻撃力が低いが、コンロで熱してゾンビの顔に押し当てれば効果倍増。ガスタンクは、殴りつけるのではなく投てきして離れた位置から射撃すれば、爆風で集団を一気に吹き飛ばせる。
このように、ただ使うだけではなく“応用する”ことで、意外な効果が楽しめるというのが本作の遊び心であり、奥の深いところ。これは、ファミコン時代から丁寧なゲーム作りを心がけてきたカプコンならではの職人芸であり、プレイヤーの欲求を満たす優れたアイディアの結晶ともいえる。個人的には、複数の液体(本作の場合はミキサーでミックスジュースを作成)を調合して体力回復に役立てるという要素が、どことなく『バイオハザード』を彷彿とさせていておもしろかった。
他に目立ったおもしろ要素といえば、コスチュームのコーディネイト。バリエーションが豊富で、なかなかキテいるのだ。ファッション系のショップには子供服から婦人服まで揃えられており、それらを好きに着替えることができる。そう、女装だって思いのまま! さらに、ヘアスタイルや靴もそれぞれの売り場で自由に変更可能。つまり、容姿をプレイヤーの意思でいくらでも変えられるのである。これは楽しい!
また、自分で変更したコスチュームはリアルタイムムービーにも反映される。
そのため、たとえばクマやウマの被り物
をしたままイベントに突入すると、本来はシリアスなシーンも、見た目のギャップで一気に“爆笑コント”に変貌することになる(コスチュームは拠点の守衛室で元に戻せる)。
本作は基本的にゾンビを相手にしたバイオレンスであるが、実はプレイ次第ではユーモアたっぷりの作品にすることもできる。これも“自由”のひとつだといえるだろう。 |
 |
| プレイデータの引継ぎで、どんなプレイヤーでもクリア可能! |
 |
 |
| こんなに囲まれて絶望的な気分になってもノープロブレム!次は行けるさ |
|
 |
自由度が高い反面、本作はアクションゲーム初心者にとっては少々敷居が高い。特に、フランクのレベルが低い序盤は所持できるアイテム数や使えるスキルが少ないため、ゾンビを相手にするだけでも手一杯。モールが広大なので位置関係の把握も難しく、見逃してしまうイベントもきっと多いことだろう。
しかし、そんなビギナーを見捨てないのが、このゲームの懐の深いところ。本作はゲームオーバーになると「ロード」と「ステータスを保存して終了」という2つの項目が現れ、前者を選べばひとつ手前のセーブポイントからリトライになり、後者を選べば現状取得しているスキルや経験値を引き継いだ状態で最初からやり直すことになる。この救済処置により、根気さえあればどんなプレイヤーでも72時間生き延びられるようになっている。
なお、やり直しといってもプロローグやムービーはスキップできるし、フランクのレベルが始めから高いので、死亡した場所までのプレイは思ったよりも早く終了する。また、やり直す最中に初期プレイでは見逃していた部分も見えたりする。プレイヤーのアプローチ次第では、大きな流れは同一でも細部は異なる、ということになる。再プレイで、露骨に既視感を感じないのだ。
その「既視感を感じない」要因は他にもあるのでは? と思ったところ、気が付いた。BGMが控えめなおかげだ。
モール内では、館内放送でつねに心地良いメロディが流れる反面、場所によってはBGMすらかからない(ボスキャラ=各サイコパス出現場所は除く)。そのため、プレイヤーの行動スタイルによって、プレイのたびにまったく違う雰囲気を味わえる。したがって本作の場合、BGMよりもむしろゾンビの不気味なうめき声、ガラスが割れる音、チェーンソーの切断音、鉄パイプやバットの打撃音といった、作り込まれたリアルサウンドのほうが、プレイヤーの耳に強く残るはずである。 |
 |
| マクロスケールのプレイの中に発生するミクロなストレス |
 |
 |
| 見つけた! と思っても、その後がたいへんな人助け。ある意味、これもリアル? |
|
 |
とにかく、本作は非常にボリューム満点でなかなか飽きが来ない“スルメゲー”だが、不満がまったくないわけではない。
最も致命的なのは、小さくて読みにくい字幕文字。いくらHDテレビ対応だからといって、現在主流のSDテレビでのプレイを軽視する仕様は、あまりにもユーザー泣かせではないのか。
プレイに支障を来しているものは、残念ながら他にもある。それは、生存者救出時の“引っかかり”。生存者を安全な守衛室までエスコートする際、屋上のダクトを使用することになるのだが、生存者が2名以上いると必ずダクト手前にある段差で生存者同士がぶつかり合い、呼んでも登ってきてくれない。こうなると、押し合っている救助者を蹴るなどして切り離すしかないため、時間制限があるゲームにも関わらず余計なところで長い時間を取られてしまう。この不本意な状況には、きっと多くのプレイヤーが、戦闘中でも応答するまで平気で鳴り続けるトランシーバー以上にイラついていることだろう。 |
|
と、このように『デッドライジング』はちょっとした不満点があるものの全体的にデキが良く、Xbox 360ソフトの中では紛れもなく最高ランクに位置する傑作。たとえ本体ごと買ってもこれ1本でしばらく遊べるので損はしない。
ゾンビ映画を観ていて「自分だったらこうする」という欲求を、ものの見事に発散させてくれるこのゲーム。オンライン対応ソフトが人気を集める中、スタンドアローンな内容でここまでプレイヤーを釘付けにしてしまう“中毒ゲー”も珍しいだろう。まだプレイしていないという人には、試しにぜひ一度お手に取ってもらい、この圧巻のゾンビワールドを体験してほしいものである。 |
|
|
| (C)CAPCOM CO.,LTD. 2006 ALL RIGHTS RESERVED. |