【CEDEC 2009】『テイルズ オブ』過去作の反省、次回作に生かす改善点

 
イベントレポート  

【CEDEC 2009】『テイルズ オブ』過去作の反省、次回作に生かす改善点

2009.09.02

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左から、ナムコ・テイルズスタジオ 第一開発部ディレクター・穴吹健児氏、バンダイナムコゲームス コンテンツ制作本部プロデューサー・樋口義人氏
左から、ナムコ・テイルズスタジオ 第一開発部ディレクター・穴吹健児氏、バンダイナムコゲームス コンテンツ制作本部プロデューサー・樋口義人氏
 バンダイナムコゲームスが制作する人気RPG『テイルズ オブ』シリーズ。多数のシリーズ作品を重ねるにつれて、新システムや改善点などは、どんな意図と共に追加されていったのだろうか。

 そんな話題について、同社のコンテンツ制作本部プロデューサー・樋口義人氏と、ナムコ・テイルズスタジオ第一開発部ディレクター・穴吹健児氏によるセッションが「CEDEC 2009」2日目に実施された。題目は「『テイルズ オブ』シリーズのゲームデザインからみたブランドの改良開発」。

◆“キャラブレ”しないことが強い人気キャラを生む秘訣

 まず、『テイルズ オブ』シリーズの人気を支える柱の1つである「魅力あるキャラクタ」の制作については、「ファンの求めるキャラを作るため、ニーズに応じて少年風のキャラやおっさん風のキャラを作成します」と穴吹氏が語り、「各キャラクタごとに、ボケ役だったり、ツッコミ役だったり、ダンジョンの仕掛けを解説する役だったりと、色々な役割を与えていきます」と話した。

 さらに穴吹氏は、魅力的なキャラクタを作るためには、キャラクタの個性がぶれてしまう“キャラブレ”を起こさないことが大切とコメント。イベントシーンや、キャラクタ同士が雑談を行う「スキット」、アイテムの説明文に至るまで、ベースとなるキャラ設定に各セリフが必ず準拠することを心掛けているという。
 そして、キャラクタの物語を作中で100パーセント語らずに、あえて“隙”を作ることで、アンソロジーコミックを制作したり、ファンがキャラクタ設定を創造する余地を与えているという。これにより、さらにファンの人気は高まることになる。

“キャラブレ”しないように、ゲーム制作に携わる各スタッフが非常に気を使っているとのこと アンソロジーコミックにおいてもキャラクタ設定に準拠しているかの監修が徹底されている

 続いて過去のシリーズ作品が例に挙げて説明がなされた。たとえばPS2『テイルズ オブ デスティニー2』のヒロイン・リアラは、イベントシーンではおしとやかなのに、戦闘中は元気一杯に戦っていたというズレがあったとは穴吹氏。「以降の作品では、シナリオ上でテンションが変化したキャラクタには、専用の戦闘ボイスなどを用意するようにしています」と改善策も披露した。

『テイルズ オブ デスティニー2』のリアラは、イベントシーンと戦闘シーンでキャラクタ性にズレが生じていた 『テイルズ オブ ジ アビス』のルークは、髪を切るイベント以降、しゃべり方や戦闘ボイスに変化を出した

 ほかにも、シナリオでシリアスな展開になっている時に、仕掛けの多いダンジョンを用意しないように気を付けるなど、シナリオをより生かす配慮がなされているとのことだ。

◆「前回の好評部分は継承」2D&3D戦闘システムの進化の流れとは

 樋口氏は、『テイルズ オブ』シリーズにおける戦闘システム「リニアモーションバトル」について、シリーズを重ねるにつれて進化してきた部分を説明。

 「リニアモーションバトル」は「2D格闘ゲームの操作感」を実現したバトルシステムで、爽快感があり、キャラクタが滑らかに動くという点が特徴的だ。

 「リニアモーションバトル」は、PS『テイルズ オブ エターニア』のシステムをベースに、2Dグラフィック作品のものと、3Dグラフィック作品のものの2種類に派生していった。

 2D戦闘システムの場合、『テイルズ オブ エターニア』では乱戦になりがちだったことを考え、『テイルズ オブ デスティニー2』では攻撃に制約を設ける「SP」を導入した。
 続くPS2『テイルズ オブ リバース』では、2D空間でも3D戦闘らしさを再現する目的で3ライン制が、PS2『テイルズ オブ デスティニー』では戦闘を簡略化し、空中コンボ要素などが登場している。2D戦闘の場合、様々なシステムを毎回変更し、モデルチェンジを重ねていった印象だ。

 一方の3D戦闘システムの場合は、GC/PS2『テイルズ オブ シンフォニア』でシリーズ初の3D化を果たした後、自由に3D空間を動き回れる「フリーラン」をPS2『テイルズ オブ ジ アビス』で追加。さらに様々な新要素を加え、よりシステムを昇華させているのが、Xbox 360/PS3『テイルズ オブ ヴェスペリア』である。3D戦闘の場合、前回までのシステムをほぼ完全に継承しつつ、より改善していったというイメージである。

色々なモデルチェンジを重ねてきた2D戦闘システム 3D戦闘システムは、順当に改良が重ねられてきた印象

 一方で樋口氏は「リニアモーションバトル」の弱点として、「4つの技しかセットできないので、各ユーザーのコンボ内容が似通ってしまう場合が多い」と指摘。その対策として、PS3版『テイルズオブ ヴェスペリア』からの新要素「アーツボール」で、セットできる技の数を増やすなどが行われている。
 ただし3D戦闘システムの場合、1体しかいないボスモンスターがタコなぐりにされて、対抗手段としてボスの無敵時間を作るしかないという現状があるという。

◆『テイルズ オブ』シリーズに残された、今後の課題点

 講演の最後に樋口氏は、「毎回のシリーズ作品でどこかしらの反省だが、次回作ではどう修正するかという点をスタッフ一同で図っていきたい。難しいのは、2D戦闘、3D戦闘のどちらか一方だけが好きだというユーザーを、どちらの戦闘システムも好きにするという点だ」と話した。

 そして穴吹氏は、「何が客に受けるのかを考え、ディベロッパーとパブリッシャーが強い連帯感を持って制作に臨むことが重要。ネットやブログを見て、ユーザーの意見を知ることも大切です」とコメントしている。

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